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 一枚の錦絵のなかに描き込まれた人物や家屋などの部分品を切り抜いて、糊ではりあわせて 台紙の上に芝居の舞台などを作り上げる夏の遊びである。出来上がった作品は夕涼みの床几 の上などで蝋燭を灯して飾り、江戸・京・大坂の三都で盛んにおこなわれた。約二千種以上 のものが出版されたと考えられるが、元来が消耗品であるためかなりの作品が散逸した。 扱う題材としては芝居の演目が圧倒的に多く、他に歴史物語や風景・風物なども取り上げら れている。「組み上げ灯篭」「切組み灯篭」あるいは「組み上げ(絵)」とも呼ばれ、立版 古は上方の俗称である。版古は、版行・板行(はんこう)の意で、錦絵や摺物などを指すこ とばである。
 立版古は盂蘭盆会の供養の灯篭が玩具化したものとされている。おもちゃ絵の中でも古い歴史をもち、その期限は明和期(1764〜1772)以前に遡ることができる。寛政・享和年間(1789〜1804)には、葛飾北斎や北尾政美が多くの作品を描いたことが『武江年表』に紹介され、天保期(1830〜1844)前後には歌川国長・豊久の作品が多い。幕末から明治二十年(1887)頃にかけて、大阪では長谷川貞信・小信父子の立版古が数多く出版されている。歌舞伎の全狂言をほとんど網羅するほどで、大阪における立版古流行の最盛期であった。同時期の東京には歌川芳藤という名人がいたが、歴史物や新風俗物(上野公園競馬・吉原大門など)が組み上げ絵の主流であった。芝居の組み上げ絵は、明治二十七年以後、明治座、歌舞伎座、東京座の新狂言を扱ったものが次々と出版され、大正年間まで流行を続けた。今回展示した組み上げ絵の多くは、この東京での最盛期にあたる明治三十年代を中心に出版されたものである。大判錦絵三枚から五枚続きのものなどが多く、出来上がりはたいへん豪華で大きいものになっている。
Cyushin3 忠臣蔵三段目殿中刃傷の場
Cyushin4 忠臣蔵四段目城渡シ
Sanmon 明治座新狂言石川五右衛門楼門の場

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