ひとのときを、想う。  JT

SMOKERS' STYLE

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vol.148 放送作家 鈴木おさむ(前編)
鈴木おさむ | Osamu Suzuki keywords
1972年4月25日生まれ。千葉県千倉町(現・南房総市)出身。O型。『SMAP×SMAP』『めちゃ×2イケてるッ!』他、多数のバラエティー番組の構成を担当する他、ドラマ『人にやさしく』など、数々のヒット作の脚本も手掛ける。2006年には愛妻・大島美幸さんとの出逢いと結婚生活を描いた著書『ブスの瞳に恋してる』がドラマ化され話題となる。2008年1月25日には初の小説『ハンサム★スーツ』(集英社)を出版。ますます活動の幅を広げている。

>オフィシャルサイト
本日のゲストは、初の小説『ハンサム★スーツ』が出版されたばかりの超売れっ子放送作家、鈴木おさむさん。2006年の4月にも一度ご登場いただいているのだが(Vol.57)、今回はエリーさんつながりでの再登場だ。
スタイルカフェにご登場いただくゲストの方たちは、みなさんがそれぞれ強い幸福論をお持ちの方ばかりなのだが、それでも、おさむさんほどそれを自覚的に実践なさっている方もなかなかいないように思う。多くの人にとって幸せのイメージはというと、要するに人からうらやましがられるような状況を手に入れることだろう。しかし、素晴らしい状況だけで埋められるほど人生は短くないし、それだけで満足できるほど人は単純ではない。結局幸せは自分の内側にしかないことなんて、みんな頭では分かっているのだが、それでも煩悩を捨てきれないのが人の性。おさむさんはそんな『普通』を軽々と飛び越え、幸せの高みから、人の性の悲しみを笑いに変えて僕らに届けてくれる。
奥さんの大島さんもいう、まさに『器のでかい男』。そんな鈴木おさむさんの、家庭での面白エピソードから仕事論まで、前後編に渡ってお届けします。お楽しみください!  <Shoji Smily>

「ジャズピアニストだと思っていないんです。」
エリー:「お久しぶりです。お世話になりっぱなしで、ごぶさたしてて、すみません。私が独立したとき、おさむさんには事務所の冷蔵庫買ってもらったんですよね。すっごく高いやつ。」
鈴木おさむ(以下、おさむ):「そうそう。でも、いつぶりですかね? エリーさんの映画が公開されたとき僕のラジオ番組にきてもらった以来かな。エリーさんがすっごい遅刻したとき。生放送なのにぎりぎり3分前という・・・。ハーハーいいながらね(笑)。」
エリー:「すみませんでした・・・。この間はスタイルカフェにおさむさんの奥さん(大島美幸さん)が来てくれて、うちの事務所の冷蔵庫は旦那さんが買ってくれたんですよって話をしたんだけど、知ってましたよ。」
おさむ:「そりゃ言いますよ。うち、お財布は別ですけど、言ってなかったら愛人だと思われちゃうじゃないですか。」
エリー:「奥さんも誤解しやすい人みたいだしね。おさむさんのあの本、『ブスの瞳に恋してる』が出版されたときは、あれを書くために私と結婚したんじゃないのかって泣いたんでしょ? その話を聞いてキュンときちゃって、なんてかわいい人なんだって。」
おさむ:「そうそう。かわいいですよ。かわいいでしょ? みんなそういうんだから!」
エリー:「(笑)。あと、台所の流しで女性の髪の毛を発見したっていう話も聞きましたよ。」
おさむ:「あーあー、あの話! なんかすっごいモジモジして、言いたいけど言えない事があるなんていいだすから、なんだよ、なんだよ、なんて言ってたら、台所の流しから茶髪の長い髪の毛が1本出てきたって。オレが女の子を抱きしめてそのまま帰ってきたからそれが流しに流れたんじゃないかっていう、その発想がすごいなと。そんなことないでしょ、普通。それに、そんなことしねーよって話をしてさ、それで逆にあなたじゃないの、って。あなたの方が、いろんな女の人と相撲をとったりいろいろやってるからその可能性があるんじゃないかって。そしたら、そうかー、って言ってたけどね。」
エリー:「あー、なるほど。でも、奥さん、自分も大人になったなんて言ってたよ。」
おさむ:「確かに昔だったらもっと引きずってたわ。2日間くらい。離婚だナンだって、そこまでいってたかもしれないね。恋愛経験が全くないから、嫉妬するにしても、普通の嫉妬以上にもっと感情が太いんだよね。
でも、恋愛経験が恋愛をジャマするとこってあるじゃないですか。恋愛経験があると、そのメモリーがデータとしてあるから、相手は違う人間なのに、同じデータをあてはめちゃったりするじゃない。変な情報があるから、ずるい行動に出ちゃったりとか。でも大島さんは、恋愛経験が全くないから、逆にどうしていいか分からないのね。好きになったら、その好きって気持ちをどこまでいっていいんだろうとか、性欲がわいてきたとき、男の人にエッチしたいっていうのが恥ずかしいのか恥ずかしくないのかとか、そんなことが全然分からない。だから、結局感情のまんま、ものすごいストレート。でも、それが言えなくてもじもじしたりするから、かわいいんだよね。一緒にいて新鮮ですよ。笑っちゃうもん。」
エリー:「私は恋愛経験あるけど、でも女は幾つになってもそういう感じってありますよ。でも、カンカンには入れないど。毛をカンカンには入れないなー。」
おさむ:「あっ、その缶に入れたってのは何? オレ知らないけど。」
エリー:「知らない? 証拠としてその髪の毛1本、ミッキーの空き缶にいれて置いといたんだって。でも大分時間がたって、もうあんまり考えてもしょうがないから、そのカンカンごとゴミ箱に捨てたって。いい話だよねー。」
おさむ:「いい話かー!? でも・・・へー、そうだったんだ。」
エリー:「まあ、でも普通カンカンには入れないから、そこはちょっと面白いなと思うけど、でも妄想しちゃうのって、女の子は結構そうだと思うなー。」
おさむ:「そっか。でも、拾った髪の毛をどうしていいか分からないから、カンカンに入れちゃうんだよ。恋愛経験がないことからくるかわいさだよ。やっぱかわいいなって思っちゃう、その話聞いて。
ただ、僕も変わってるし、経験ないからだと思うからすべて笑って許しちゃうところはあるけど、でも、もし違う人と付き合ったらこうはいかないぞってたまに言ったりはするの。『世の中の男性は、そうそうオレみたいに笑って許さないぞ』って。」
エリー:「まあ、そうだよね。普通の男の人だったらさ、メンドクセーって思うよね。何でおさむさんはそう思わないんだろうね?」
おさむ:「恋愛感情で付き合い始めてないからね。人間としての興味というか、この人と付き合ったら自分の人生が面白くなるんじゃないかなっていうところから始まってるから。8歳年下で女芸人っていうのが、オレにとっては新鮮だし、気構えなくてもいいっていうか。だから思うんだけどさ、よく50歳くらいのおじさんと25歳くらいのOLが不倫してたりするじゃない。なんであんなジジイと付き合うんだろう、なんて思ったりするわけだけど、もしかしたら同じような感覚があるんじゃないかなって。」
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「1番の理由は、人が好きだってことです。」
エリー:「おさむさんが本来ピュアな人が好きだっていうのもあるんじゃない?」
おさむ:「本当はね、そうかもしれない。だから1つ反省していることがあってさ。オレ、19歳の頃から21歳くらいまで、すっごく仲よくしてた女の子がいたのね。東京に出てきてからも近くに住んでて、週4とか週5くらいお互いの家を行き来してたりして。でも、その子はすごくブスなの。で、ある時その子に告白されたのよ。だけど、その時オレは、この子は付き合う子ではないって思って、うまく煙に巻いたような感じにしたんだよ。付き合ったりHをしたりする相手はキレイじゃなきゃとか、普通は思うじゃない。で、そのうちお互いの家庭の事情なんかもあって離れちゃったんだけど、今思えば、あの子とちゃんと付き合ってたらすごく楽しかったんだろうなって。その時は、ブスだから付き合うべきじゃないなんて思っちゃったわけだけど、『こういう人と恋愛したらいいんだぞ』なんて誰かが本気で教えてくれてたら、めちゃめちゃ良かったんだろうなって、今になって思う。」
エリー:「私、一回男の人を説得したことあるよ。確かに私はそんなにキレイじゃないけど、私と付き合うとこんなに面白いよって。でも、『確かに面白いけど、オレは今それを必要としていないんだ』って、すごい的確に断られたの。甘いな、絶対後悔するよ。長く付き合ってれば、私みたいな女の子といる方が楽だよって、いろいろプレゼンしたんだけど、分かってもらえなかった。恋とか恋愛とかはそういうもんじゃないんだ、頭で考えるもんじゃないんだよ、なんてことを言われて。」
おさむ:「でもね、それでも一回付き合ってみようっていう冒険心があった方が人間はもっとハッピーになれると思うんだよね。まあでも、奥さんと結婚しようと思ったのは、30歳になって、仕事も放送作家で10年やってこれた、という頃だったし、それまでいろんな女性ともお付き合いさせていただいてきたからこそ、そう思えるようになったのかもしれないよね。」
エリー:「私もいつもさ、なんか満ち足りちゃったような人でないと付き合ってもらえないもん。いろいろ遊んできましたみたいな人じゃないと、私のことを女として見てくれないんですよね、残念ながら。もうお新香でいいや、みたいな状況の人? 男の人ってそういうもんなんですかね。」
おさむ:「恋愛においてはね、好奇心旺盛な人ってなかなかいないんだよね。オレの場合はさ、ちょっと話は違うかもしれないけど、23歳くらいのときから10年くらい、親のすっごい借金を返してたじゃない。23歳といえば、ようやく仕事も順調になってきて、月100万くらい稼げたりしてて、そんな時に銀行に呼ばれて親父の借金が1億円ですなんていわれて、あんたが返すしかないなんてことになって。その時はものすごいへこんだけど、結果、そういうことがあったのもよかったかなと思うのね。あのまま調子よくやっていたら、もっと嫌な業界人になってたのかもしれないし、そういうことがあったから、今の奥さんとの結婚もあったのかもしれない、なんて思うんだよね。」
エリー:「それってどういう・・・逆境がクセになったとか?」
おさむ:「やっぱり借金が1億できちゃうと人生が激変するじゃない。毎月毎月、どんだけ働いてもっていう。闇金融からも借りてたんだからさ。そんな時に限って家にドロボーが入って、百何十万もとられたりとかさ。でも、そんなことも笑ってもらえるのがこの世界だし、いろんな仕事もさせてもらって必死にやってるうちに、30歳くらいになってようやく借金も大分なくなってきて・・・。そうするとさ、今度は自分の中で目標もなくなってくるわけよ。それでどうしようとなったとき、1つは自分の劇団をやろうと。テレビでは偉そうにしていられるようになったけど、実力はあるけど人気はないような人たちとやっても自分の書いたものがうけるのか、試してみたくなるじゃない。だから舞台でそれをやってみようと。そして、もう1つが大島との結婚だったの。
大島と会った初日に結婚しようといったのは、もちろん人は笑うだろうなって思ったけど、自分のなかでは、アドレナリンが出る瞬間だったというか。自分の人生のなかで、そういう瞬間がこれまで何回かあって、それは、放送作家になるって決めて大学を辞めるっていったとき、それから、親父の借金で銀行に呼ばれたとき。で、大島と出会ったときもそんな感じがしたの。大島と結婚すれば、また自分の人生がすごい方向に走り出すわけじゃない? どうせ普通に結婚してもこんだけ離婚する人も多いんだから、自分はこの直感を頼りにして、結婚しちゃおうかなって。もちろん、もともと大島のことは芸人として好きだったし。自分で舵をグッと思いっきり切らないと、人生って意外と変わらないから。だから、結婚のこととかよく相談されるんだけど、『じゃー、街をあるいて最初に会った人と結婚するってことに決めちゃえば』なんて言ったりするの。そのくらいしないと、人生ってなかなか変わらないんだよね。」
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「オーケストラと演奏してみたいです。」
エリー:「そういえば、初の小説も出版されるそうじゃないですか? もう出たのかな?」
おさむ:「そう。ちょうど昨日、1月25日に出ましたよ。タイトルは『ハンサム★スーツ』。ブサイクでモテない人生を歩んできた主人公が、国道沿いによくあるようなスーツ屋で、着るとかっこよくなれるスーツを発見するんですよ。そのスーツには顔も手もついてて、それを着るだけでカッコイイ二枚目になれるという。主人公は定食屋の主人なんだけど、そのスーツで変身して、急にモテちゃったりするわけです。最初はそれで浮かれてたりするんだけど、でも、だんだんその幸せに疑問を感じるようになってきて・・・、というようなストーリーなんです。」
エリー:「小説を書こうと思ったきっかけは何かあったんですか?」
おさむ:「小説を書きたいとはずっと思ってて。テレビっぽくてラブコメで、自分らしいかなって思える構想が固まったんで。笑えるラブコメを作りたかったんですよ。ハリウッドの『いとしのローズマリー』っていうラブコメが大好きで、向こうって、ぶっとんだ設定のラブコメディーがいっぱいあるじゃない。日本にはそういうのがあんまりないから、そういうのがずっと作りたかったんですよ。それに、文章で勝負してみたかった。ブス恋のときもエッセイじゃなくて小説でだせばよかったのにっていろんな人にすごく言われて、その時はあんまり意味が分からなかったんだけど・・・」
エリー:「でも、相当忙しいでしょ? よく書けますよねー。」
おさむ:「品川庄司の品川君が、オレと同じ歳なんだけど、あんなに忙しいのに小説書いてちゃんとヒットしたし、大したもんだなって思って。それでオレも去年の9月に8日間くらい夏休みをとって小説を書いたの。みんなにもそう宣言して、ipodとスピーカーを持って渋谷のホテルに自分でカンズメになって。オレって書くとき音楽がすごく大事だからさ。
一昨年はブス恋がヒットして、ドラマ化もされたりしたでしょ。で、去年はテレビの仕事を超まじめにがんばって、テレビのヒットを出そうとすごく意識した年だったの。今年はもっといろんな仕事をしたいなと思って。小説を出すのもそうだし、あと、映画の脚本とか舞台の演出とか、今年もいろいろやりますよ。」
エリー:「でも8日間で小説書いちゃうってすごくないですか!?」
おさむ:「テーマも決まっててプロットも自分の中でできてたからね。でも書き始めると全然違う方向に話が膨らんだりするのよ。だから、結局2週間くらいかかったかな。すんごい、しんどかったけどね。それに、はりきって2週間で原稿用紙500枚書いたんだけど、編集者に渡したら200枚も削られて、結局300枚になっちゃって。こういうのはいりません、こういう小細工はダメですとか、すっごく厳しくて。こんなに赤ペンいれられたのは5〜6年ぶりですよ。初めてドラマをやったとき以来かな。編集者からは予め、『いいものをつくりたいからバシバシきついこともいいますけど、いいですか?』なんていわれてて、『いいですよ!』なんていっちゃってたんだけど、ほんとにものすごい厳しいことも書かれて、最初ゲラの戻りがきたときには、まー、へこみましたよ、数日間。久しぶりだなって、こんなにへこむことがまだあったのかって、もう笑っちゃったくらい。小学校みたいに文章のクセとかまで指摘されちゃって・・・。でもこういうのもいいな、とも思ったよね。」
エリー:「そんなにいっぱい仕事する秘訣はなに? 疲れない? 心折れたりしないの?」
おさむ:「やっぱり好奇心じゃないかな。あとは心を折る暇を自分に与えないってことですよ。」
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一問一答
 
■ 好きな音楽・・・サザンオールスターズ
■ 好きな映画・・・『ムーラン・ルージュ』 − バズ・ラーマン監督
■ 好きな本・・・『湘南爆走族』 − 吉田聡
■ 好きな食べ物・・・おすし
■ 嫌いな食べ物・・・にんじん
■ 好きな場所・・・奥さんの横
■ 好きな土地・・・京都
■ 好きな色・・・オレンジ
■ 好きな言葉・・・努力(女の又に力あり=生み出すために力を注ぐこと、という意味で)
■ 好みの異性タイプ・・・自分の弱点を言ってくれる人
■ 趣味・・・仕事
■ 自分の好きなところ・・・超ポジティブ/td>
■ 一番お金をかけているところ・・・特にないけど、超高い時計を去年・・・
■ 影響を受けた人物・・・奥さん
■ 自分を動物に例えると?・・・ファルコン(映画『ネバー・エンディング・ストーリー』)
■ 生まれ変わったら何になる?・・・スッゴイ美人の女の人
■ 子供の頃の夢は?・・・家業を継ぐ(実家が自転車屋とスポーツ用品屋)
■ 得意技をひとつ・・・なし
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