ひとのときを、想う。  JT

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vol.151 ドラマー 中村達也(後編)
中村達也 | Tatsuya Nakamura keywords
1965年生まれ。パンクバンドのザ・スターリンなどを経て、1990年に浅井健一、照井利幸と共にBLANKEY JET CITYを結成。BLANKEY JET CITYの解散後もLOSALIOS、TWIN TAIL、FRICTION、JOY HEIGHTSなど、数々のバンドにおいて活動。また、役者として『バレットバレエ』、『男はソレを我慢できない』(脚本:大宮エリー)、『涙そうそう』など、映画にも度々出演している。

>LOSALIOSのオフィシャルサイト

「昔は・・・しょんぼりしてたね、ずっと。」
エリー:「達也さんって小さい時どんな子だったの?」
中村:「小さい頃? うーん、小さい時は漫画家になりたいと思ってた。それで、『漫画家入門』っていう本を買ったりとか(笑)。」
エリー:「はっはっは!(笑) それは小学生の時くらい?」
中村:「うん。3、4年生くらい。で、そうしているうちに『空手バカ一代』とかブルース・リーとかが流行りだして。それで次は『空手家になる』って言って空手を習い始めた。でも、型を全然覚えられなくて。昇段試験があるんだけど、ずーっと白帯。」
エリー:「やっぱへたれじゃないですか(笑)。」
中村:「うん、そうなの(笑)。」
エリー:「でも、昔はモテたんじゃないですか?」
中村:「いや、モテんかったよ。当時は今よりも顔が丸っこくて、ひどいあだ名がついてて・・・鼻がやけに大きくてにきびだらけになっているから、『鼻でか乞食』って。その前は『ごんべえ』っていうあだ名で・・・」
エリー:「達也さんがそんな風に言われていたなんて想像できないね。いじめられたりはしなかったの?」
中村:「それはなかったけど、俺、小さい時はすごく転校が多くて、学校によっては友達が1人もできなかったこともあった。だから昔は・・・しょんぼりしてたね、ずっと。」
エリー:「でも、その話って少年たちに勇気を与えられるよね? 小さい頃はそんなんでも、こんなにかっこよくなっちゃうんだよ? ほんと、達也さんって極端なことしか分からないような人に見られがちだけど、気持ちのひだが大きくって、繊細な人だよね。いろんな経験をしているから、傷ついた人の感じも分かるというか。それを敢えて口に出すことはないんだろうけど。」
中村:「そうだね。」
エリー:「そういえば、達也さんって写真撮るの好きだよね? 飲みの場でもよく写真を撮ってるし。写真が好きなのは何で?」
中村:「うーん・・・なんだろうな。寂しがり屋なのかな?(笑)。」
エリー:「ということは、いつも撮った写真を見て楽しんでるってこと?」
中村:「そうだね、見て楽しむね。あと、最近は今までずっと使っていたデジカメが壊れたから、オリンパスのOM−1っていう小学校の時に買った古いカメラを使っているんだけど、やっぱり古いカメラはいいね。こういうカメラで撮った紙焼きのタッチはデジカメじゃ出ないから。ここ1、2年は実家に帰った時に親父の昔の白黒写真を見たり、あと、布袋さんのツアーで昔の地元に行く機会があったんだけど、その時は以前住んでた町に行って『俺、ここにおったんだな・・・』って思いながら写真撮ったりもしたな。近頃は古いもんに愛着があるかもしんない。」
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「長男だし、『やっぱ俺だよな』みたいな。」
エリー:「達也さん、ちゃんと実家に戻ったりするんですね?」
中村:「するする。お正月とか。親父もお袋もだんだん歳をとってきたから、やっぱりちょっと愛しく思えてきたりするよね。いつまでも元気ではないんだなって思って、やたら会いたくなったり。で、実家に帰ると、親父たちが出逢った馴れ初めとか、俺が生まれる前の話を聞いたり。昔からそういう話はちょこちょこ聞いてはいるんだけど、話を聞く度に知らなかった話が出てくるから、すごく面白い。」
エリー:「いいよね、そういうの。」
中村:「でも面白いのは、お袋は昔から親父のことをすごく大事にしていたんだけど、最近は『ジジイ!うるせえ!』とか言うんだよね。いろいろ崩れてきてる(笑)。」
エリー:「でも、それはきっと愛情表現でしょ?」
中村:「なんだろうね、自分がそうなってみないとわかんないよね。親父たちは付き合いだしてから、もう50年くらいらしいし。そう言えばこの間は、俺は長男なんだけど、『やっぱお墓は俺が見ていかなきゃいけないの?』とか、『仏壇はどうすんの?』っていう話もしてきたよ。」
エリー:「そんなロックミュージシャンも珍しいよね。」
中村:「でもそれ、昔からずっと気になってんのよ。」
エリー:「いつから?」
中村:「こっちに来た時からだから・・・18歳の時から。」
エリー:「えー!そんな早くから親の墓のこと気にしてたの?(笑)」
中村:「長男だし、いとこの中でも俺が一番年上だから、『やっぱ俺だよな』みたいな。」
エリー:「ははっ(笑)! すごいね。達也さんってほんと誠実だよねー。」
中村:「なんかね。真面目なところもあるし、むちゃくちゃな部分もあるし・・・(笑)。」
エリー:「それを言ったら、達也さんはほとんどむちゃくちゃですよ。でも、それを挽回するくらいの誠実さがありますよね。・・・まあ、全体的に考えるとチャラにはなんない気がしますけど(笑)。」
中村:「なんないね。最終的には減点、マイナス(笑)。」
エリー:「だから、誠実な部分も狂って見えるよね(笑)。」
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「不吉なだけじゃねえぜ(笑)。」
中村:「おっ、人とこうやって喋っていると明るくなってきたなあ! 気分が。」
エリー:「本当? でも、ほんと表情がすごくいいですよ。今年は中村達也ビッグ・バンじゃない?」
中村:「とりあえずレコーディングをグイグイして、出せるチャンスのあるものはどんどん出していきたい。とにかく、人前で叩いていたいんだよね。見て欲しい。」
エリー:「へえー。ちょっとそれ、グッとくる言葉ですね。ほんと、最近はいろんなものを面白がれるようになったってことですね? 達也さんは完全にオリジナルというか、『俺は俺』みたいな感じがすごく強いイメージがあったけど、それも少し変わってきたんだね。」
中村:「うん、そうなんだろうね。例えば、『パンクしか聴かない』とか『セックスピストルズしか聴かない』みたいなことは今では全くないしね。以前は自分の思い込みで誤解していたことがいっぱいあったと思う。」
エリー:「最近、周りから『変わったね』って言われたりすることはある?」
中村:「一緒にバンドやってる奴から、『ビートの感じが変わってきたね』と。『前はもっと不吉な感じだったんだけど』って(笑)。で、『今は明るい・・・けど、不吉さも残ってる』みたいな。」
エリー:「すごいね。深みが出たのかなあ。『甘いだけじゃないぜ』みたいなさ。」
中村:「不吉なだけじゃねえぜ(笑)。」
エリー:「不吉なだけじゃないようにしてほしいよね(笑)。」
中村:「光もあってほしいよね。だって、明るくなりたいもんね。ま、もちろん暗い時もあっていいんだけどさ。最近はトム・ウェイツさんとか、ニック・ケイブさんの音楽を聴いたりするんだけど、彼らのアルバムには暗いものも入ってるけど、音楽に救われる感じがあるというか、前向きというか・・・。音楽って、ふと耳に入ってきた時にいろんな想像力が働きだして、やる気が満ちてきたりする時があるじゃん? そういうのが、ね。」
エリー:「うん。ほんと、前に達也さんのライブを観に行かせてもらった時は衝撃を受けたんだよね。メロディーも歌もないのに、ドラム1つでこれだけ人を魅了できるんだって。で、今はあれからまた達也さんが進化している訳じゃん? すごく楽しみだよね。」
中村:「そう、そういえば昨日も山下洋輔さんとライブやったんだけど、それがまたすごくよかったんだわ。山下さんはもう65歳になられたんだけど、衰えるとかそんなのは全然なくて、放射されているんだよね。音が。それを俺が受け取って、またそれを返して・・・、次は何がどんな風になっていくのかっていう即興の感じがすごくよかった。」
エリー:「ライブはまた今度絶対に観に行きます。あと、今度、何か一緒にやりたいですね。」
中村:「やろうや。」
エリー:「ドラムを絡めた何かを。また飲みながら考えましょうよ。でも、まずは音楽活動ですね。一区切りついたら、また。」
中村:「そうだね。っていうか、音が絡んでいるものはもう何でもやりたいと思っているので。」
エリー:「じゃあ是非。また声かけさせてください。今日はありがとうございました。」
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似顔絵描きっこコーナー
大宮エリーとゲストが1分間で似顔絵対決!
 
大宮エリー by 中村達也 中村達也 by 大宮エリー
大宮エリー by 中村達也 中村達也 by 大宮エリー
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― 編集後記 ―
ああ、人って1人1人ほんとに違うんだなあ・・・。毎回いろんな方々の話を聞きながら、よく思う。人が満足感とか幸せを感じる基準は、本当に多彩なんだなあ、と。でもその反面、人って、そんなに違わないものなんだなあ、なんてこともよく感じる。世間的にはどんなに幸せに見える人であっても、多くの人が抱えているのと似たような悩みを抱えていたりするし、あるいは、いつも人前で粗暴に振舞っている人、そしてそれとは対照的にいつも控えめでおとなしい性格の人が、それぞれ心の同じような部分に傷を負っていたり・・・。
そもそも今の日本であれば、それぞれが育った環境にそれほどの大差は無いはず。であれば、他人の考えていることが本当の意味で理解できないことなんてあんまりないんじゃないかと思う。実際、周りに中村さんのような知り合いがいない方でも、今回のような話に共感を覚える人はたくさんいるだろう。価値観が多様化しているというようなことをよく聞くけれども、少なくとも同じ日本人であれば、そこまで抜本的な違いはないと思う。ただ、同じような環境で暮らしてきたはずの僕たちが中村さんのようにドラムが叩けないことからも分かるように、ちょっとした感受性とか経験の積み重ねが、1人1人の違いを生むのだろう。そう、ちょっとした小さいことを感じられるとか、あるいは感じられないとか。『個性』って大げさなものじゃなくて、その程度のものだと思う。でも、だからこそ、繊細に物事を感じられるかどうかが大事になるのかもしれない。
まだまだセンシティブな心を失わず、小さな変化を受け入れ続けている中村さん。彼のドラムはこれからも、更に多くの人々の心を揺さぶることになるのだろう。   <Yusuke Sawaki>
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