ひとのときを、想う。  JT

SMOKERS' STYLE

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vol.154 シンガーソングライター 中納良恵(後編)
中納良恵 | Yoshie Nakano keywords
1996年、ギタリストの森雅樹とともにEGO‐WRAPPIN'を結成。2000年にリリースしたミニアルバム『色彩のブルース』がロングヒットとなり認知度を高める。『くちばしにチェリー』はテレビドラマ『私立探偵 濱マイク』の主題歌となり注目を集めた。また、EGO WRAPPIN'として活動をするかたわら、2000年2月より中納良恵ソロプロジェクト・JuJu KNEIPPを始動させ、ミニアルバム『algolagnia』をリリース。その後もローリング・ストーンズのトリビュート・アルバムをはじめさまざまなアーティストのアルバムに参加。ゲストとして他アーティストのライブへも多数参加する。昨年9月にはソロとして初のアルバム『ソレイユ』が発売。2008年度はEGO‐WRAPPIN'としての活動に注力する予定。

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「やっぱり苦しいよ。」
エリー:「旅から帰ってきて、今は毎日どんな感じ?」
中納:「今年はエゴ(EGO‐WRAPPIN'のこと)としてアルバムを出す予定やから、今はそれに没頭してる感じかな。詞や曲をいろいろ考えてる時で。毎日すごく大変。」
エリー:「でも、それが楽しいんやろ?」
中納:「楽しい。そう、これを楽しいと思えてるうちがええよな・・・。でも、やっぱり苦しいよ。何にも思い浮かばない時は。ただ、何かが出て来た時はそれだけでもう、最高に楽しい。そういう時は興奮して寝れなくなるなあ。布団に入っても、あるメロディーとかフレーズだけが、自分の頭の中にずっと流れていたり。そういう瞬間は、本当に最高やな。」
エリー:「いつも大体、どれくらいの期間で作品が仕上がるとかってあるの?」
中納:「それは毎回全然違うかな。どれだけ一生懸命やってても、何も思いつかん時は本当に何も浮かんでこないし。逆に、ノート2ページ分くらいのアイデアがザーッと出てきたりする時もあるし・・・そればっかりは自分でも全然分からん。ダラダラやっててもアイデアは出てこないし、かといってずっとバリバリにやってても・・・。うーん、うまく言えへんけど、ただ1つ言えるのは、『降りてきた』みたいなのは、私の場合はないなあ。『降りて』きたらどれだけ楽かなって思う。」
エリー:「そこが意外だよね。よっちゃんの作品って、天才的な雰囲気のするものが多いから、いつも『降りて』きてるんじゃないかって思ってた。」
中納:「全然そんなことないよ(笑)。私は昔から試験勉強とかでも、『ヤマをはってここだけ勉強』みたいなの、絶対に無理なタイプやったもん。試験範囲を全部まんべんなく人の2倍勉強してやっと60点取れます、みたいなタイプやから。毎回かなり苦しんで、自分を追い詰めてやってるで。」
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「なんか、吐き出したいんやろなあ。」
エリー:「今みたいに旅行から帰ってきたばかりで、気持ちのスイッチが『お休みモード』みたいになってる時でも、少し休んでたらやっぱり『音楽作りたいなー』ってなってくるもん?」
中納:「幸い今はそういう感じかなあ。なんやろ? なんか、自分の中にあるものを吐き出したいんやろなあ。」
エリー:「毎回、作品を作るときのモチベーションというか、『私はこういうことを考えて作ってます』みたいなものってある? 例えば私の場合だったら、自分が抱えてるコンプレックスとか悲しみを、笑いに変えたりしていく中で消化するってことが1つのテーマなのかなって最近気付いて。あと、『幸せ』っていうのが自分にとって大事なキーワードになってるなって。その辺のところが昔からすごくもやもやしてるのよ。『幸せになりたい!』っていう漠然とした思いはあるんだけど、『じゃあ、幸せって何?』って考え始めると、その答えがはっきり分からなくて。それはいい大学に行ったりすることなのか、結婚したりすることなのか・・・。で、私の場合はそういうもやもやしたものを解決する手助けになる作品を作っていけたらって思ってるの。そしたら、その過程で自分の気持ちを整理できるから自分のためにもすごくいいなって。」
中納:「なるほどなあ。すごく分かるけど、私の場合はどうなんやろな・・・。なんか、言葉でうまく説明できないな・・・」
エリー:「じゃあ、よっちゃんの場合は音楽作品として自分の中のものを吐き出すと、具体的にはどうなるわけ?」
中納:「うーん、でも、やっぱり自分の中のものが整理されるから、気持ちがすっきりするのかな。あと、自分の日常に向かいながらそれを膨らませていくと、どんどん非日常の世界になっていったりして・・・何やろう? 言葉にするのはすごく難しいけど、音楽とかって、すごく夢のあるもんやん?そういうところが、やっぱり好きなのかもしれへん。」
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「明日死ぬかも分からんやん?」
エリー:「今年はまたソロもやるの?」
中納:「ライブは何本か誘ってもらっているけど、アルバム作りはエゴに集中せなあかんから、今年の基本はエゴかな。もうバンド自体も12年目やし、気合を入れてて。周りからも『頼むで、頑張ってくれよ』って、めちゃめちゃケツ叩かれたりもしてるし。」
エリー:「『頑張れよ』って言われても・・・みたいなのもあるけどね(笑)。」
中納:「そうやねん(笑)。でも、日々生きてることを実感できていいかなって。この先どうなるか分からんからね。だって、明日死ぬかも分からんやん?」
エリー:「でも、明日タクシーの運転手になってることもないやろ?」
中納:「明日はないかもしれんけど、10年後は分からんで。ずっと歌だけを歌っていきたいけど・・・」
エリー:「やっぱ、歌ってる時が1番楽しいん?」
中納:「うん。でも、ライブも楽しいんやけど、レコーディングしながらいろんなものが出来ていく過程もやっぱり楽しい。むっちゃ楽しい。もちろん、その過程に苦しみもかなりあるねんけど・・・何かがひらめいたりした瞬間はやっぱりすごく嬉しいな。とりあえず、今年はほんま気合入れていきます。そうや、そういえば今年は水に関連する星座の人がイケてる年らしいねん。」
エリー:「よっちゃん何座?」
中納:「うお座。だから、今年ええらしいねん。今からすごいワクワクしてる。『何があるんやろ? 結婚するんちゃうかな?』みたいな(笑)。」
エリー:「割と発想が単純やな(笑)。でも、今年は私も結構いい感じやで。お互い健康には気をつけて、いろいろ頑張っていきましょう!」
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似顔絵描きっこコーナー
大宮エリーとゲストが1分間で似顔絵対決!
 
大宮エリー by 中納良恵 中納良恵 by 大宮エリー
大宮エリー by 中納良恵 中納良恵 by 大宮エリー
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― 編集後記 ―
天才肌に見える人でも、ある程度世間で評価を得ている人であっても、今回の中納さんのように、フツーにいろんなことに悩んでいたりする。今回のような話を聞いて少し安心した、という人はたくさんいるだろう。それぞれ程度の差はあれど、誰でもどこかに不安定な心は必ず抱えているに違いない。11年間エゴ・ラッピンのボーカルを務めてきた彼女でさえ、将来タクシーの運転手になるかもしれない、なんてことを考えているのだ。『私は今、一切不安を感じていません』というような人なんて、いるはずがないと思う。例えそういう人がいたとしても、多くの人はそういう人にあまり魅力を感じないんじゃないだろうか。人は、自分よりも不安定な状況に置かれていたりする人を応援したくなるものだと思う。『あの人、何の保証もないのにあんなバカなことよくずっとやってるなあ・・・』とか、『きっとお金もなくて生活も辛いはずやのに、よくこんな作品作れるなあ・・・』とか。そういう意味では、この時代に音楽だけでご飯を食べている、という人は、それだけでも僕は応援したくなってしまう。
そういえば、去年の年末にエゴ・ラッピンのライブを観に行かせてもらったのだけれど、ふとした時にステージ上から中納さんがこう叫んだ。『音楽業界なんかに負けへんで!』。お客さんはみんな笑いながら嬉しそうに手を叩き、大きな歓声を上げた。
  <Yusuke Sawaki>
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