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vol.155 俳優 西島秀俊
西島秀俊 | Hidetoshi Nishijima keywords
1971年東京都生まれ。1992年、俳優としてデビュー。『あすなろ白書』、『アンフェア』、『純情きらり』など、今までに数々の人気ドラマに出演。また、1994年に『居酒屋ゆうれい』でスクリーンデビューした後、1999年『ニンゲン合格』で日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞し、その後は『Dolls』、『海でのはなし。』、『大奥』など数々の人気映画にも出演する。その他にもCMや舞台など、ジャンルを問わず幅広く活躍。5月17日には高橋伴明さんが監督を務める映画『丘を越えて』が公開予定。
どんな仕事をしている人であれ、『プロ』と呼ばれる人は自己評価がすごく正確だ。そういう人はいつも自分の得意なこと、不得意なことを含めた特徴を客観的に見ながら努力を重ねている。だから『プロ』と呼ばれる人は大抵すごく謙虚だ。全体の中での自分の位置が見えているからこそ、自分にできないことができる人間に対する尊敬の思いが自然に生まれ、誠実な態度となって表れる。そういう人の言葉は、聞いていてすごく気持ちがいい。西島さんも、そんな人だった。
でも、西島さんのような方でも、自分の能力に対する信頼は日々揺らぐものなのだそうだ。きっと謙虚さとか誠実さに結びつく自信って、才能とか能力とかそういうものから生まれるものではないんだろうな。ちゃんと自分と向き合って生きている手ごたえとか、そういうことの方がきっと大事なんだろうなと感じさせられた。
エリーさんの1つ1つの質問に、周りがびっくりするほど素直に答えてくれた西島さん。短いですが、いろんなヒントがあるはず。じっくり読んでみてください。  <Yusuke Sawaki>

「久しぶりに緊張しましたね。」
エリー:「西島さんって世間では二枚目とか言われてますけど、私の中では『お茶目』っていうイメージなんですよね。あと、すごくほっこりしてて。私が会社を辞めるときとかもすごく心配してくれましたし。そういえば、元々西島さんも大きな組織にいた人ですもんね?」
西島:「そうですね。ただ、やっぱり一般的な考えで言うと、大きな組織に属していた方が基本的にはいいんじゃないかって思っちゃいますけどね(笑)。」
エリー:「いきなり意見裏返っちゃってるじゃないですか(笑)。」
西島:「はは(笑)。ただ、人には合う、合わないっていうのがありますからね。」
エリー:「うん、そうですね。ところで、最近はどんな仕事をしているんですか?」
西島:「近々公開予定の映画がありますね。西田敏行さん、池脇千鶴さんたちと共演した『丘を越えて』という映画。これは西田敏行さんが菊池寛さんを演じている作品なのですが、すごくいいですよ。西田さんとの共演は初めてだったんですけど、それもすごく楽しかったですし。これは5月17日に公開の予定です。」
エリー:「楽しみですね。あと、他にも何かあるみたいじゃないですか? ETV特集(NHK教育テレビで放送している教養情報番組)?」
西島:「そう、これは大西巨人さんという方が25年かけて書いた『神聖喜劇』という本に関するドキュメンタリーなんです。番組の中で僕が実際に大西さんとお会いして対談させていただいているんですけど・・・久しぶりにすごく緊張しましたね。91歳の方なんですけど、もう『お元気』なんて言葉で表現するのが不自然なくらい、頭の回転も早くて堂々とした方で。」
エリー:「へえー。本の内容はどんな感じなんですか?」
西島:「軍に入隊したある男が主人公の、戦争中の話ですね。大西さんは、軍隊の理不尽さは日本社会の縮図であると主張されている方で、この作品には日本でタブーとされているあらゆる問題が出てきます。お話を伺いながら、僕もいろいろ考えさせられました。本もすごく面白いので、少しでも興味を持たれた方はぜひ読んでほしいと思います。『本はちょっと・・・』という方は、漫画も出ているのでそちらがおススメですね。ただ、漫画を読んでもきっと原作が読みたくなるんじゃないかなあ。」
エリー:「面白そうですね。結局その大西さんとはどんな話をしたんですか?」
西島:「大西さんに会う3週間くらい前からずーっと何を聞こうかと考えていたんですよ。でも、最終的に『もう、この1個しかないな』って。ただ、本当はそこにたどり着くまでにいろんな話をしてから最後にそれを聞こうと思っていたのですが、実際に現場に行ってみると僕もかーっとなって、いきなり『今日は1つだけ聞きたいことがあって、ここに来ました』なんて言っちゃって(笑)。で、そこで僕がある質問をしたら衝撃的な答えが返ってきて・・・。結局3時間くらいお話を聞かせてもらいました。このドキュメンタリーは4月13日の夜10時から教育テレビで放送の予定です。ぜひご覧になってください。」
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「やりたいことなんてどうでもよくなりますよ。」
西島:「最近大宮さんはどうしているんですか? ちゃんと休みとか取ってますか?」
エリー:「最近は忙しすぎてもう精根尽き果ててしまって、この前の土日は久しぶりに仕事のことを何にも考えない日を作りましたね。」
西島:「へえー。そういえば、仕事のことを何にも考えない日を作ったことなんて、もう何年もない気がしますね。仕事、映画のことはずっと考えています。そういうの、一度忘れた方がいいんですかね?」
エリー:「別に私も仕事が嫌いって訳じゃないんですけど、好きなことでもそれを仕事にすると、仕事っぽい、嫌な側面も出てくるじゃないですか? 例えば、映画を観るのは楽しくても、映画に出ると、ストレスが出てきちゃう、みたいな。そういえば昔西島さん、『僕は映画に出るより観るほうが好きだ』って言ってましたよ。」
西島:「それは素直じゃない答えですね。出るのも好きですよ。騙されましたね(笑)。でも、うーん・・・僕にとって映画って、簡単に『好き』と言っちゃえるような、単純なものでもない気がします。いろんな思いが詰まっていますからね。」
エリー:「じゃあ、映画のどんなところが魅力ですか?」
西島:「理屈で言っちゃうと、ドラマやCMに比べて、すごく自由度の高い表現であるっていうことが1つですかね。あと、そうやっていろんな主張や意見を表現に織り交ぜつつも、もちろん商業的にも成立させないといけないですよね。本当にすごくお金もかかっていることだから。そういうのも面白いですよね。他には、たった5秒のシーンのために大勢が必死になって数時間もかける、みたいな効率の悪さもいいですね。最近そういうものって、本当に少なくなってきましたから。」
エリー:「あと、映画ってやっぱり人がたくさん関わってくるじゃないですか? だから、人好きっていう側面もあるのかな?」
西島:「確かに、大勢で何かをやるのも好きなんでしょうね。自分で全てをコントロールしたいっていうのであれば、何か別のことをやってると思うんです。映画の場合はもうどうにもならないですからね。わずか数秒のシーンの中に、何十人もの考えが入ってきますから。そうすると、自分のやりたいことなんかほんとにどうでもよくなりますよ。」
エリー:「じゃあ、西島さんはいつもどういうモチベーションで映画に参加するんですか?」
西島:「うーん・・・分からない(笑)。今、いろんなことを言いましたけど、よく考えたらそんなにちゃんと分かってない気がします(笑)。」
エリー:「じゃあ、仕事をしていて嬉しいと感じるのはどんな時ですか?」
西島:「役者さんにもいろんな人がいると思うんですけど、それぞれになんというか、方向性がある訳ですよね。で、同じような方向に向かっている人はお互いをどこかで意識していると思うんです。 それで、僕もそうなんですけど、そういう人とは仕事とは全然関係ないところでも話しかけられたりするんですよ。そういう時に他の役者さんに褒められると、やっぱり嬉しいですよね。ただ、そういう時の話は、傍目からするとすごい危ないトークになっていますけどね。『あのシーンで1回瞬きしたでしょ? あれは負けたと思ったよ』みたいな話ですからね(笑)。」
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「結局正解なんて無いんですよ。」
エリー:「ちなみに西島さんはどういう方向に向かっている役者さんなんですか?」
西島:「うーんと・・・(笑)。えっと、これはまず、僕は演技や映画のことがよく分かってない、という前提で聞いてくださいね。ほんと、僕は『分かってる』人間では決してないですから。
大雑把に、乱暴に分けると2つタイプがあると思うんです。エモーションで演技をする人と、そうでない人。で、エモーションで演技をする人がどちらかというと多い気がするんです。でも、先輩の役者さんたちの中には、エモーション以外のもので演技をする方が何人かいらっしゃって・・・僕はそういう方の演技をいつも気にして観ていますね。エモーションを根拠にしないで演技をしている人は、自分の感覚とはまた別のものを根拠にして演技をしているんです。例えばそれは他の映画であったり・・・だから、そういう人は大抵むちゃくちゃ映画を見てます。そういう人と話をしていると、僕的にもすごく勉強になりますね。」
エリー:「エモーションで演技をしている人とそうでない人はどうやって見分けるんですか?」
西島:「うまくいえないですけど、見れば分かりますね。ただ、これはややこしいんですけど、もちろんエモーションで演技する人は全てにおいて感情だけで演技をしているかというとそうではないんですよね。逆に、僕みたいなスタンスで演技をしている人間も、全てを作為的にコントロールできる訳でもないんです。だから、最終的にはその割合とかの話になるのかな。
でも、僕もこうやっていろいろ言ってますけど、もちろん役者さんたちがエモーションで演技をしている映画の中にも素晴らしい作品がたくさんあります。そういうものがいっぱいあるので、実は僕も日々混乱したり、へこんだりもしているんです。『やっぱりエモーションの演技もいいなあ』って(笑)。つまり、結局正解なんて無いんですよ。ただ、自分のスタイルみたいなものはどこかにあって。そういうことをいつも考えながら、仕事に臨んでいます。」
エリー:「そんなにいろいろ考えながら仕事をしていたなんて、本当に私は申し訳ない気持ちでいっぱいです。前に一緒に仕事をした時は私、そんなこと全然考えていなくて・・・。」
西島:「いやいや、ほんとに僕も、いろんなことを分かっている人間ではないんで。また一緒に仕事しましょうよ。」
エリー:「そう言ってもらえると嬉しいです。今後何かやりたい仕事あります?」
西島:「実は最近、ワイヤーアクションもいいかなって思ってて・・・(笑)。僕は大体家の中でじっとしているみたいな役が多いですからね。そういうのもいいかなって。」
エリー:「ジャッキーチェンとか?」
西島:「あ、いいですね。じゃあ、ジャッキーVS西島秀俊とかどうですか?(笑) で、映画だとちょっと本気度が高すぎちゃうんで、CMとかで。15秒だったらジャッキーと戦ってももつかもしれない・・・って、こんなくだらない話ばかりで大丈夫でした? 『俺だったらジャッキーと戦っても15秒もつ』って、小学生レベルの会話ですよね(笑)。」
エリー:「いやいや、大丈夫ですよ(笑)。じゃあ次の仕事、楽しみにしています!」
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一問一答
 
■ 好きな音楽・・・マイルス・デイビス
■ 好きな映画・・・たくさんありすぎて答えられません。
■ 好きな本・・・映画に関する本
■ 好きな食べ物・・・巻寿司
■ 嫌いな食べ物・・・ドリアン
■ 好きな飲み物・・・お茶
■ 好きな場所・・・映画館
■ 好きな土地・・・多摩地区
■ 好きな色・・・オレンジ
■ 好みの異性タイプ・・・やさしいひと
■ 趣味・・・映画鑑賞
■ 自分の好きなところ・・・何でもおいしく食べられるところ
■ 自分の嫌いなところ・・・ぐうたらなところ
■ 一番お金をかけているところ・・・DVDと本
■ 影響を受けた人物・・・蓮實重彦さん
■ 自分を動物に例えると?・・・ナマケモノ
■ 生まれ変わったら何になる?・・・
■ 子供の頃の夢は?・・・学者
■ 得意技をひとつ・・・どこでも寝られること
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