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vol.158 作家 水野敬也
水野敬也 | Keiya Mizuno Page Index
1976年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。2003年に発売された笑いのパターンを38通りに解剖した処女作「ウケる技術」(共著)がベストセラーに。2007年、笑いと自己啓発を組み合わせた著書「夢をかなえるゾウ」が95万部のベストセラー(2008年4月時点)となり、ドラマ化・ゲーム化・舞台化が決定している。他の著書に「BADLUCK」(インデックス・コミュニケーションズ刊)がある。作家活動以外にも、「義務教育に恋愛を!」をモットーに老若男女に恋愛を教える恋愛体育教師・水野愛也として、著書に「LOVE理論」(大和書房刊)、講演DVDに「恋愛体育教師水野愛也のスパルタ恋愛塾[ソフト編・ディープ編]」(ポニーキャニオン)がある。また、DVD作品「温厚な上司の怒らせ方」(ビクターエンターテイメント)の企画構成・脚本を手がけるなど、活動は多岐にわたる。

>オフィシャルサイト『ウケル日記』
エンターテインメントの人だと思っていた。水野さんが手掛ける作品は、いわゆる『マニュアル本』のパロディみたいなものが多い。笑いのメカニズムを、ゆる〜いトーンで解説している『ウケる技術』。『モテる技術』を、厳しく、優しく指南してくれる『恋愛体育教師水野愛也』。そして、関西弁を喋るやたらフレンドリーな神様が、人生に関する様々なことを教えてくれる『夢をかなえるゾウ』。でも、これらの作品の目的は、実は人を楽しませることだけではないらしい。
『マニュアル本』、『ハウツー本』。なんとなく、後ろめたさを感じる言葉だ。『こんなものを買ってる自分って・・・』、『あいつ、マニュアル本読んで勉強してるらしいぜ〜』・・・基本的には、肯定的に捉えられることが少ないジャンルだと思う。人前で読むのが、なんとなく恥ずかしい本というか。なぜだろう?やっぱりみんなどこかで、『こんな本から学べるものなんて、何もないよ』。そう思っているのかもしれない。それでも、『すがる』思いで手に取ってしまう。そんな自分の必死さ加減が、恥ずかしさの原因なのかも。
今回のゲスト水野さんは、とにかく必死な人だ。自分の嫌いな部分を、びっくりするような努力で、1つ1つ本気で消そうとしている。そして実際、そうやって1つずつ、コンプレックスを克服してきたらしい。『まずは努力する技術を養って、それから必死で努力する。そうすれば、夢は絶対に叶います。』・・・本当だろうか。それは、どんなに才能や資質がない人でも?『はい。そう、そこでそのギャップを埋めるために必要なのが・・・』マニュアル、とのこと。大嫌いな自分を変えるために命を懸けて走り続けている彼の姿、あなたにはどう見えますか?
  <Yusuke Sawaki>

「マニュアルを作りたいだけなんですよ(笑)。」
95万部突破の『自己啓発本』。『夢をかなえるゾウ』
「これは、自分を変えたいと思っているんだけれど、なかなか変えられない・・・。そんな主人公が、いろんなことをきっかけにどんどん成長していく。そんなストーリーの本ですね。主人公はある日、先輩に連れられて、すごく豪華なパーティーに行くんです。周りには有名な芸能人や実業家、スポーツ選手なんかがたくさんいる。『有名な人をたくさん見れてよかったなあ』。横にいる先輩はそう言っている。でも、彼はその場に居場所がないことにすごく悔しさを感じちゃうんです。そこで彼は帰ってから、家にあったガネーシャ(※ヒンドゥー教の神様。象の頭を持つ。)の置物に『こんな人生は嫌だ。なんとかしてくれ』って、泣きながら頼み込むんです。そしたらあくる日、ガネーシャが本当に出てきて、主人公の彼にいろんなことを教えてくれるようになって・・・。これはそんな話の中に、自分を変えるための様々な要素が詰まっている、『自己啓発本』ですね。」
松下幸之助さんは、『幸ちゃん』
「この本の中では、世の偉人たちは全てガネーシャに育てられたことになっていて、ガネーシャは彼らの言葉を引いたりしながら、主人公にいろんなことを教えてくれるんです。『幸ちゃんはよくこんなことを言ってた・・・』。これ、『幸ちゃん』っていうのは松下幸之助さんのことです。自己啓発本の構成って大体決まっていますよね。まず、教祖様みたいなのがいる。で、教えられる方はそれに対して何の疑問を抱かず、ただ受け入れる。そんな感じですよね。僕はそういう構造、あんましよくないんじゃないかと前から思っていて。内容的にはすごくいいことを言っていても、『経営の神様、松下幸之助はかく語りき・・・』みたいな書き方をされると、なんとなく敬遠しちゃう人も出てきちゃいますから。そこで、この本では、ガネーシャを介して、松下幸之助さんを『幸ちゃん』って呼んだりすることによって、読者の方との距離を縮めたいなって思ったんです。しかもこのガネーシャ、主人公と殴り合いの喧嘩をした際、ボコボコにされたりもしますからね。つまり、作品中のヒエラルキーとしては、主人公、ガネーシャ、世の偉人たち。この順番です。こうやって、あえてピラミッドを逆転させることによって、普段は『自己啓発系の本はちょっと苦手で・・・』みたいなことを言ってる人にも楽しんでもらえるんじゃないかと思って。もちろん、自己啓発的な部分を無視して、ただのエンターテインメントとして読んでもらっても面白く感じていただけると思います。でも、内容が本質的なことを突いているかどうか。書く上で、それもかなり大切にしましたので、読んだ後は必ず、今よりもほんの少しでも前に進める。そんな内容になっていると思います。」
『自己啓発』、『マニュアル』を必要とする人
「この『夢を叶えるゾウ』、現在の時点で95万部を突破したらしいです。ありがたいことですね。世の中の多くの人がマニュアルを必要としているか? うーん、どうなんでしょうね。でも、自己啓発とかマニュアル的なものを必要としている人は、人よりも成功欲があるとかっていうよりは、むしろ自分に自信がなくて不安な人だと思います。『このまま生きているだけでは、誰も認めてくれないんじゃないか?』そういうことに怯えている人たちですね。・・・というか、そもそも僕がそういうタイプの人間なんですよ。」
全てのモチベーションは、コンプレックスの払拭
「ほんとに最近はいろんな活動をしていますが、僕の中で、自分がやっていることはどれも変わらないと思っています。才能を持っていない自分が、どうやったら才能がある人に勝てるのか。それを一生懸命考えて、実践する。それだけなんですよね。そもそもなんでこんなことを始めたのかっていうのを突き詰めていくと、中学、高校の6年間に原因があるんです。とにかくモテなかった(笑)。それが滅茶苦茶悔しかったんです。まあ、そういう人は他にもたくさんいるでしょうけど、僕は6年間で話をした異性が母親だけ、っていうレベルでして。しかも、僕は自分が大好きなので、自分を否定する方向にはなかなかいかないんですよ(笑)。だから、自分でも何とかできると、一生懸命努力する訳です。でも、それでもやっぱりどうしようもないのが、顔の問題。中学時代、吉田っていう、めちゃめちゃモテてる奴がいたんですよ。僕は全然モテないのに、そいつはやたらモテてた。これ、何が違うのがを自分なりに分析すると、やっぱり顔なんですよ。で、その時すごい腹が立ったんです。顔は自分で選べない。そんな先天的なことで人生が決まるのはおかしい、と(笑)。もう、差別されているみたいな意識すらありましたから。その時から僕は頑張り続けているんですよ。士農工商がなくなったといえど、顔1つで差別される世の中。しょうもないですよ(笑)。でも、自分を否定する訳にはいかないから、『持たざる者』でも、なんとかして戦って、自分を上にあげていかなきゃいけない。もう、僕のモチベーションは完全にコンプレックスですね。」
マニュアルは、世の中と戦っていくための武器
「でも、やっぱり『持たざる者』ですから、なんらかの装備は必要になってくるんです。無いものを、補わないといけないですから。そのための武器が、マニュアルなんです。例えば世間的には、笑いにもファッションにも持って生まれたセンスが必要で、それがないとダメだとされてますよね。でも僕は『そんなことはないはずだ』と。笑いにもファッションにも何らかのメカニズムがある訳で、それをとことん研究して自分の身にすれば、『持てる者』にも勝てると思ったんです。それで最初に書いた本が、『ウケる技術』という訳です。つまり、僕はそもそも何かを表現したい人ではないんです。実は自分が、自分よりも強い奴に勝つための、マニュアルを作りたいだけなんですよ(笑)。」
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