特別展Exhibition


塩湖・ソーダ湖〜塩を集めていく水   


死海 死海(イスラエル) 撮影:片平 孝
湖面の標高はマイナス397メートル。地上で最も低い場所であるため、水は流れ出すことができず、塩分を含んだ水が周囲から一方的に流れ込み、水だけが蒸発して濃縮が進む、典型的な塩湖。流れ込む塩分は、周囲の山に含まれている岩塩に由来している。しかし、塩(塩化ナトリウム)がすでに飽和に達して湖水から沈澱として抜け出しているため、湖水中には塩化マグネシウムの方が多く、“にがり”の湖になりつつある。製塩業よりも、マグネシウムや臭素などの成分を抽出する“にがり”工業が発達している。そんな不毛な湖の湖畔にも、植物はしぶとく花を咲かせている。
地上で最も濃い空気、様々なミネラルを含む湖底の泥、大きな比重による浮遊体験など、世界的な保養地としても有名。

空から見たナトロン湖(タンザニア)
撮影:片平 孝

タンザニアとケニアの国境にあり、年間降水量は約400mmと少ない。ナトロンとは天然ソーダ(炭酸ナトリウム)のことで、ケニアのマガディ湖とともにアフリカ大地溝帯を代表するアルカリ湖である。暗赤色は好塩基性の微生物によるもので、色がつくことによって太陽光線の吸収が強められ、乾季には湖は数週間で干上がる。降雨と乾燥により、塩分の沈澱層は収縮と拡大を繰り返し、湖面にウロコ状の模様を形成する。
強いアルカリ性にもかかわらず鳥類も生息しており、フラミンゴのあでやかな色もこの微生物の色によるという。
天然ソーダは、付近の遊牧民により、家畜に与えるナトリウム源としても古くから利用されてきた。
空から見たナトロン湖

【ウユニ塩湖】
アタカマ砂漠からアンデス山脈を越え、ボリビア側へ降りたところに、巨大なウユニ塩湖がある。この一帯はアンデス山脈が隆起する前は海底だったため、土地は塩分を含んでいる。約2万年前、気候が温暖になり、溶け出した氷河の水によって地中の塩分が盆地状の土地に集められて塩湖となった。富士山と並ぶほどの3,650メートルという標高にもかかわらず、まわりをさらに高い山々に囲まれ、乾燥した気候で蒸発量の多いウユニでは、湖の水が山を越え川として流れ出すことはない。塩分を含んだ水が次々に流れ込んでは蒸発していくため、次第に塩分濃度は高くなり、今では湖底に結晶が堆積するようになった。四国の約半分の面積を持つこの湖は、乾季には完全に干上がり、塩の結晶でできた全く平らな土地へと変貌する。

夕暮れのウユニ塩湖に沈むオリオン座 夕暮れのウユニ塩湖に沈むオリオン座
(ボリビア)
撮影:片平 孝

夕暮れの光と星によって、単調な景色のウユニ湖が一変して、劇的な姿を垣間見せた。

ウユニ塩湖で塩のブロックを切り出す
(ボリビア)
撮影:片平 孝

乾季に入り湖面が塩の結晶に覆われる4月になると、塩を採って生活しているケチュア族の人々が、東岸のコリチャーニ村から10km沖合いの湖上にやってくる。塩が厚く堆積した場所を選んで斧を振るい、交易用・家畜用の塩のブロックを切り出す。塩のブロックは30cm角くらいの大きさだが、一人一日150個程度を切り出すのが限度である。3,650mの高地では空気は平地の1/3ほどと薄く、切り出し作業はかなりの重労働である。
ウユニ塩湖で塩のブロックを切り出す

ウユニ塩湖、表面をかき起こして食用塩を採集 ウユニ塩湖、表面をかき起こして
食用塩を採集(ボリビア)
撮影:片平 孝

3月までの雨季の間に湖の表面にできたきれいな結晶は食用の塩となる。乾季に入ると良質な結晶が厚く堆積した湖面を選び、表面を鍬のような道具で、畑を耕すように10cmほどかき起こし、スコップで集めて小山を作る。小山には集めた人のイニシャルを刻みつけておき、トラックに回収してもらう時の目印にする。一人一日2tほどの塩が採集できる。ウユニ湖では塩の採集で一日1,000円ほどの収入になるが、これはこの地方ではかなりの高収入である。塩を集めるだけではあるが、高地での作業はきつく、顔を隠すマスクとサングラスがなければ、寒風と結晶による強い太陽光線の反射により作業はさらに困難となる。

 


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