2021年度一回戦第一局
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・谷川九段の講評
対局前の両者のコメントでは、丸山九段は「『JTプロ公式戦』は3年ぶりなので、不安もありますが楽しみでもあります。今回は無観客ですが、指し手に対して観客の反応がある公開対局はやりがいがある特別な棋戦です。
広瀬八段は発想が柔軟で、大変な強敵です。思いきりぶつかっていきたいと思います」と意気込みを語った。
一方の広瀬八段も「『JTプロ公式戦』は早指しというのもありますが、限られた棋士しか出場できない特別な棋戦です。そういった意味で華やかな印象があります。
丸山九段は得意な戦法に磨きをかけているように思います。決断よく自分らしさを発揮できるよう集中して頑張りたいですね」と抱負を語った。
振り駒は歩が3枚で、丸山九段の先手と決まる。
先手丸山九段は得意の角換わりを選択、▲4五桂と攻めの姿勢を見せるもその後に思わしい手がなく82手で千日手に。
指し直し局は、先後を入れ替え、初手より一手30秒未満の戦い。後手は一手損角換わりから腰掛け銀に、先手は棒銀から銀を繰り替えて戦機を待つ。
丸山九段に失着が出て、優勢になった広瀬八段がそのまま押し切って二回戦進出を果たした。
大盤解説の谷川九段の講評は以下の通り。
「指し直し局も角換わりとなりました。後手腰掛け銀に対し、先手は棒銀で臨みましたが、丸山九段の△3三金の形が手厚く、やや後手が作戦勝ちでしょうか。
先手は仕方なく▲2六飛の形にして攻めを狙います。▲4五歩~▲7五歩がそれですが、良さそうに見えた△4六歩の突き出しがどうだったでしょうか。
▲4六同飛と取らせて後手は馬を作りますが、その馬が封じられてしまいました。
65手目▲5二馬切りから広瀬八段が優勢になりましたが、実戦的にはまだ大変な局面です。
70手目△4五歩に対し、△同桂と取ったのが良い決断でした。△4六馬と飛車は取られますが、▲6二飛の攻めが厳しく、そのまま押し切ることができました。
広瀬八段の指し手が安定していました。序盤の指し方には不満があるでしょうが、丸山九段の角換わりを受けて立った気合いが生きましたね」。
勝利棋士・広瀬八段のコメント
今日は丸山九段の角換わりを受けて立つつもりで準備してきたのですが、後手番は千日手になり、指し直し局も△3三金が想定外に手厚くて作戦負けになってしまいました。
仕方がないので、▲2六飛と浮いて▲4五歩~▲7五歩はやや無理気味な攻めです。△4六歩は嫌な手ですが、香損でも馬を封じることができて勝負になりました。▲5二馬から望外に好転しましたが、途中は難しかったです。
△7五香のところで、△6八馬▲同金△7六桂だったら、まだアヤがあったと思います。次は豊島JT杯覇者ですが、タイトル戦などでいろいろやられています。借りを返すつもりで頑張りたいと思います。
動画
対局の動画をご確認いただけます。
- 動画内で実施している「クイズキャンペーン」は終了しています。
棋譜(差し直し局)
まで89手で先手の勝ち
消費時間=10分10分
棋譜(千日手局)
まで82手で千日手
消費時間=10分10分