いい休憩って何だろう? ゆっくりと呼吸し、誰かと、そして自分とつながる「呼吸する休憩所」

この記事を書いた人

ともこ

こころノート編集部

仕事と育児を両立させながら、こころノート編集部リーダーとしてスタッフをけん引。元新聞記者の経験を生かし、ビジネスから暮らしまで幅広いジャンルをカバー。中でも衣食住など、生活にまつわるテーマの取材に力を入れている。猫好き。

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「休憩」がもたらすものとは

 

ここのところ、新しい記事の企画提案に追われてバタバタ……。整理がつかず、頭の中がごちゃごちゃに。そんな時に私が訪れるのは、JTグループ本社内の「呼吸する休憩所」です。

 

ここは、一時的に仕事を離れて、ほっと一息つける休憩スペース。以前こころノートでご紹介した呼吸するクッション「fufuly(フフリー)」や、深い呼吸の習慣化をサポートするデバイス「ston s(ストンエス)」が設置されているんです。このスペースでfufulyを胸に抱き、fufulyの動きに合わせてゆっくり呼吸をすると、仕事で焦っていた気持ちが晴れていくよう。「さあ、もうちょっと頑張ってみようか」と再び仕事と向き合えます。

JT本社内の呼吸する休憩所
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失われがちなゆっくり「呼吸する」時間

 

ここ10年ほどでスマホやタブレットが広く普及し、いつどんな時もすぐに情報をキャッチしたり、コミュニケーションをとれたりすることが当たり前になっています。どんどん便利になる一方で、しばしば情報の取捨選択に追われてしまい、無意識のうちに疲弊してしまいがちです。

 

だからこそ、そんな状況をリセットして、まずは落ち着く時間がますます重要に。呼吸する休憩所は、ふらっと寄ってfufulyやston sを使って休憩することで深呼吸を促し、しばし立ち止まって自分と向き合いたい全ての人をサポートしているのだそう。

 

そのような機会をくれる呼吸する休憩所は、私にとってつかの間のオアシスにもなっていますが、一体どのような経緯で作られたんでしょうか? 「呼吸する休憩所」の企画やコンセプト設計を担当した横打明希(よこうち・あき)さんに、話を聞いてみました!

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一人でも、誰かとでも。新しい休憩の場

 

横打さんは、心豊かな未来を探索・創造する部署、「D-LAB(ディーラボ)」所属。D-LABはたばこ以外の新製品の開発や、子会社であるBREATHER社にてブランドマネージャーも務め、他社製品・子会社の運用ブランディング支援も行っています。

 
ともこ: 呼吸する休憩所は、仕事で行き詰まった時などによく利用しています。どういった経緯でこの休憩所を設置したんですか?
 
横打さん: JTはたばこを商材として扱う会社。私はたばこを吸う時期も、吸わない時期もどちらもあるんですが、たばこを吸わない時期に、ちょっとした休憩の時には何をしたらいいんだろう? と思ったのが発想のきっかけでした。単にぼんやりとするのも意外と難しく、だからといって休憩のたびにコーヒーを飲んだりお菓子を食べるわけにもいかないですし(笑)。どう休憩していいかよく分からないな、と思ったんですね。それで、新しい休憩の仕方を提案できれば「心の豊かさ」の実現につながるのではと考えたのが立ち上げの経緯です。
 
ともこ: 確かに、休憩所ができる前は、休憩というとスマホを触ったりトイレに行ったり……が中心だったかもしれません。
 
横打さん: 休憩を探る一つの方法として、まずはJTグループ本社の空きスペースを活用して休憩所を設けてみました。休憩所の様子を他部署とのセッションの時に紹介したり、社内SNSに投稿したりしたところ、本社以外から「うちにも設置したい」という声が寄せられて、現在では葉たばこ研究所や全国各地の支社など、計8つのJTグループ事業所への設置を進めています。
 

JT 葉たばこ研究所

所内の数カ所に、新しい休憩スペースとして「呼吸する休憩所」を設けました。「ペットを抱いているかのような安心感があって癒やされた」「心のモヤモヤを落ち着かせられて、リラックスできたと思う」などの声が寄せられています。

 

JT 京都支社

業務パフォーマンスの向上を狙いとして、期間限定で「呼吸する休憩所」を導入。「仕事モードの緊張感から解放され、リフレッシュできた」「心地よい時間が過ごせて、休憩後は柔軟に発想できそうな気分になった」との感想が届きました。

 
ともこ: JTグループ全体に広がっているんですね! グループ外への展開もしているんですか?
 
横打さん: 花王株式会社とのコラボが進んでいます。もともと同社は、オフィスに花王のホットアイマスク製品である「めぐりズム」を設置してリラックスの機会を提供する「オフィスめぐりズム」という取り組みによって、体だけでなく“心”の豊かさにも着目した休憩の創出に取り組んでいました。さらに、「豊かな共生世界の実現」をパーパスに掲げているんです。「心の豊かさを、もっと。」を掲げるJTとも親和性がありますよね。
良質な休憩の探索に取り組もうという両社の想いが合致し、期間限定でJTの呼吸する休憩所に「めぐりズム」を備えたり、花王のオフィスに呼吸する休憩所を設置したりしました。コラボは共同実験も兼ねていて、それぞれの休憩所の利用者にアンケートを取り、体験をデータ化して分析しました。良質な休憩が心のゆとりや健やかさを生み出し、対人関係やコミュニケーションも良好にすることに寄与できるのではないか、という仮説の下で取り組んでいます。
 
 
ともこ: 興味深い実験ですね! 他に、JTグループ外ではどんな展開をしているんですか?
 
横打さん: 国内のみならず、アメリカの「CES」、イタリアの「ミラノサローネ」、オーストリアの「アルス・エレクトロニカ・フェスティバル」など、世界各地の電子機器や家具、メディアアート関係の展示会に出展し、たくさんの方に利用いただきました。反響も上々で、来場者の方がリラックスして休憩している様子が印象的でした。個人的には、外国の方のほうがfufulyはどのようなものなのか、といったコンセプトをすぐに把握し楽しまれている方が多いように見えましたね。日本の方は「かわいいけど何だろう?」と不思議がりながら使ってくださり、使い始めると「そういうことか」と面白がってくださる方が多いように感じました。
ともこ: いろいろな国の方がfufulyを抱えてほっとしている様子を想像すると、私まで心が和みます(笑)。企業や地域を問わず急速に広がっているこの休憩所ですが、今後はどんな人に、どんな風に使ってほしいですか?
 
横打さん: 私自身もいろいろな可能性を模索中なのですが、必ずしも一人で内省的にゆっくりするだけの場所ではないと思うんです。誰かと向かい合いながら落ち着いて喋ったり、複数名でゆったりした空間を共有するといった使い方もあるのではないかと考えています。例えば、新入社員の方は会議室で話すよりも、この休憩所でfufulyを抱きながら喋ってもらう方がコミュニケーションしやすいかもしれません。また、新入社員に限らず、上の世代もテレワークで出社頻度が下がっていますから、普段会う機会が少ない人とコミュニケーションできる、誰でも立ち寄れる新しい場になればと考えています。世代を問わず、ストレスを抱えている現代、ゆっくりと呼吸できる時間を持ってみていただきたいですね。
ともこ: 誰かとゆったり休憩しながらつながるのもあり、ということですね。
 
横打さん: はい。完全に眠ってしまうような設計にはしていません。普段、誰かしらが周りにいるような環境で過ごしている人が、たまには人と離れてゆっくり内省したい。あるいは別のチームや部署、普段会わない人と気軽に雑談をして、リラックスした状態で一緒に過ごす、といった使い方を想定しています。自分も含め、誰かとつながる場になればと考えています。
 
ともこ: とてもポジティブな休憩のあり方ですね。今後の展望はいかがですか?
 
横打さん: 国内・海外の展示会やイベントなどで、呼吸する休憩所を使っていただきました。これまで延べ1,000人以上の方に、深い呼吸から生まれるいい休憩を体験してもらえましたが、もっともっと広めていきたいですね。 2024年は「将棋日本シリーズJTプロ公式戦/テーブルマークこども大会」の東京会場で展開しましたので、今後は他の都市でも実施したいです。あとは、「ゴルフ日本シリーズ JTカップ」やバレーボールの試合会場でも展開できればと考えています。加えて、現在も社外でのコラボに向けて、各方面の方と一緒に取り組みを進めているところ。いい休憩から生まれる豊かな時間を、たくさんの方へお届けしたいです!
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新しい休憩の場がもたらす「豊かさ」

 

質の高い休憩のあり方を模索するなかで生まれた、呼吸する休憩所。休憩のためのアイテムが意外と少ないというお話には、確かにそうだなと納得しました。また、そのために私が呼吸する休憩所に心引かれるのだな、とも。

 

心豊かなひとときは、豊かな休憩から。一人で内省するだけにとどまらない呼吸する休憩所は、そんな豊かな休憩のあり方を提案してくれています。自分との対話、誰かとの会話を通して、新しい休憩を提供する場は、今後もどんどん広がっていくみたい。どこかで見かけたら、ぜひ試してみてください!

profile

担当社員の
ひとことプロフィール

横打明希さん。JT D-LAB(ディーラボ)所属。最近、心の豊かさを感じた瞬間は、年末年始の休暇、久しぶりに実家に家族全員がそろったこと。パートナーや同僚などとの会話とはちょっと違う団らんを、ゆっくりと楽しんだ。

※プロフィール掲載内容は2025年1月の取材当時のものです

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