バレーボール選手が、JTで“会社員”に転身⁉ ── アスリートが歩むセカンドキャリア

元バレーボール選手の井上さんと高橋さんのセカンドキャリアとは。JT広島サンダーズ、大阪マーヴェラスで活躍した彼らが、なぜ畑違いの営業職を選び、どんな挑戦をしているのか? 普段は聞けないアスリートの“退部後”のリアルな想いと、意外な共通点が見えてきました。

読了目安時間:約8分

01

一緒に仕事をしているあの人が、実は元JTのバレーボールチームの選手!?

 

最近、新たに仕事で関わるようになった他部署の方がいるんです。仕事ぶりがとても丁寧で、感じの良い方だなあと思っていたのですが、先輩から「知らないの? あの人って全日本代表にもなった、元スポーツ選手なんだよ」と聞かされて、本当に驚きました!

 

詳しく聞くと、JTのバレーボールチームである広島サンダーズや大阪マーヴェラスを退部後、JTで働くことを選ぶ選手がいるそうなんです。どうやら、そのままバレーと関係のない仕事で長く働き、管理職に就く人もいるみたい。アスリートから、まったく異なる世界への転身。どんな想いで働いているんだろう? それに、バレーボール選手と会社員との共通点ってなさそうだし、大変なのでは……?

02

退部後の選択肢、「社業に就く」というセカンドキャリア

 

興味が湧いた私は、2024年の春まで広島サンダーズ、大阪マーヴェラスでプレーしていた井上航(いのうえ わたる)さんと、高橋茉莉奈(たかはし まりな)さんにアプローチしました。

 

広島サンダーズや大阪マーヴェラスを退部後にJTで働くことは、「社業に就く」と表現され、そこから会社員としてのセカンドキャリアがスタートするんだそう。お二人は、現在営業の仕事に取り組んでいます。井上さんはJTの東京支社に、高橋さんは大阪支社に所属し、コンビニエンスストアやたばこ店を回って、新商品の提案や売り場の改善などに従事されているとのこと。どんな想いで働いているのか、インタビューしました!

03

「チームのために何ができるか?」はバレーボールも仕事も同じ

 
ゆみ: 井上さんの現在の仕事について、詳しく教えてください。
 
井上さん: 主にコンビニエンスストアなどのお得意様に対して、営業活動をしています。店舗ごとの特性を把握しながら、売上の最大化に向けた施策や企画を考えて提案し、実行するのが主な仕事です。
 
ゆみ: 営業活動で難しさややりがいを感じることはありますか?
 
井上さん: 社内用語や会社の仕組み、数字を基に戦略を立てることなど、全てが初めてで苦労の連続です! パソコンを使うのも初めて。なので、分からないことは素直に「分かりません!」と聞いています(笑)。会社員としての基礎を学び、助けてもらいながら仕事をしています。簡単なことでもチーム内で発言すると拍手が起きたりして(笑)、皆さんが優しく雰囲気をつくってくれてありがたいですね。そうした日々の中で、自分の提案がお得意様の売り上げにつながったときや、それによってお得意様から「ありがとう」と言っていただけたときはやはりうれしく、やりがいを感じます。
 
ゆみ: 一方で、今も9人制のバレーボールを続けていらっしゃるそうですね。
 
井上さん: はい。JT東京ブラスターズという実業団チームで週2、3回練習しています。加えて、土日に練習試合や試合をすることも。ずっとやってきた6人制とはルールも大きく異なりますし、同じバレーボールという種目とはいえ、プレー感覚としては別物ですね。例えば、私のポジションは守備専門のリベロで、6人制ではサーブは打たなかったんです。9人制になって初めて打つことになったので、狙った場所に打てるよう、サーブの練習を注力しています。
JT東京ブラスターズの、試合前の一コマ
 
ゆみ: 広島サンダーズへの入部当初から、退部後にJTで働くという考えはあったのですか?
 
井上さん: 正直、現役時代は目の前の一試合、一試合に集中していたので、退部後の明確なビジョンはありませんでした。でも、退部が決まって改めてこれまでを振り返った時、「自分は広島サンダーズに育ててもらった」という感謝の気持ちが沸き起こりました。この恩を何かしらの形で返したいなと思い、JTで働く道を選んだんです。
 
ゆみ: 広島サンダーズへの想いが、今のキャリア選択のきっかけになっているんですね。お仕事をする中で、選手時代の経験が生かされていると感じることはありますか?
 
井上さん: チームで目標に向かって努力することや、逆境でも前向きに取り組んできた経験は、今の仕事に役立っています。広島サンダーズ時代の終盤は控えに回ることが多かったんですが、そういう状況でもチームのために何ができるかを考えて行動していたので、今のチームでも同じように考えながら、仕事をしています。
 
ゆみ: チームのために何ができるか……確かに、バレーボールも営業活動もチームで目標に向かって頑張る、という共通点がありますね。でも、なぜその考え方が大切だと思うようになったのでしょう?
 
井上さん: 広島サンダーズ時代の経験が大きいですね。選手たちがいろんな方向を向いていてバラバラな時って、勝てないんですよ。試合に出ている選手たちが一つにまとまるだけではダメで、チーム全体で一つの方向を向いていないと、良い練習ができないから強くなれない。一方で、チームみんなが一丸となれたときは、タイトルを取ることもできました。

みんなが当事者意識を持って一つの方向を向くのは大変ですが、それができたときの強さは本当にすごいものがある――気持ちを一つにすることの大切さや、それから発揮される力を学びました。その時の経験を糧にして、今のチームにも働きかけています。
 
ゆみ: バレーボールの第一線で戦ってきたからこその、説得力のあるお話ですね! 井上さんの、今後の目標を教えてください。
 
井上さん: 一番は、もっと仕事ができるようになること。そして、ゆくゆくは広島サンダーズに、選手としてではなく運営や事務の領域で関われたらいいなと思っています。それも、「元選手だから」という理由ではなく、事務局から「仕事ができる井上が欲しい」という理由で呼んでもらいたい。そのために、まずはチームの一員として目標を達成できるよう、日々の営業に取り組んでいます。メンバーを巻き込んで一丸となることに、寄与できる存在になりたいですね。
04

JTで働くことへの憧れは、入部したときからずっとある

 
ゆみ: 高橋さんの仕事について教えてください。最近注力していることはありますか?
 
高橋さん: お得意様を回っての営業活動に加えて、最近は販売会での営業活動も担うようになりました。喫煙所でお客様に直接お声がけし、商品を試していただく取り組みです。その後に商品を購入していただけるよう、日々アプローチを工夫しています。
 
ゆみ: 仕事をする上で、大切にしていることを教えてください。
 
高橋さん: 特に意識しているのは、お得意様やたばこを買われるお客様の視点に立つことです。例えばコンビニの売り場の棚を変更するとき、番号が変わると、お客様が「あれ、いつもの銘柄はどこ?」と戸惑ってしまう。変更があってもお客様に分かりやすい売り場作りを研究し、試行錯誤していますね。それと、お得意様を訪ねる際には、なるべくお礼を言う機会を作るようにしています。営業では「発注をお願いします」という依頼で終わってしまうことが多く……なので、お得意様が発注してくださったら、その後お店を訪ねたときに必ず感謝の言葉を直接伝えています。
 
ゆみ: 丁寧に仕事をしていることが伝わってきます! 退部後にJTで働くことを選んだのはなぜですか?
 
高橋さん: 実は、最初から退部後にJTで働きたくて大阪マーヴェラスを選びました。大阪マーヴェラスには高校を卒業する時に一度お誘いいただいたのですが、けがの事情などでお断りしたんです。その後、大学時代にバレーボールを続けることはできましたが、卒業後にプロ選手になるとは思っておらず、教職課程では教員免許を取得。でも、大学4年の時に、大阪マーヴェラスから再度お誘いがありました。チームの方とお話しし、実際に試合を観たら、JTの従業員の方が応援に来ている雰囲気がすてきで。退部した後にこんな方々と一緒に働きたいな、という気持ちで入部を決めました。JTでは、大阪マーヴェラスに入部した選手に、実際の営業活動を見せる研修を行っているのですが、そこでの先輩方の仕事ぶりが本当にかっこよくて! そこで、退部後にJTで働くことへのイメージがより具体的になりましたね。
 
ゆみ: 退部後、バレーボールへの想いは変わりましたか?
 
高橋さん: 基本的には変わっていません。ただ、バレーボールを観る視点は変わりました。選手のときは、「今のプレーすごいな」と勉強のために観ていたんですが、今は退部したばかりで知っている選手も多いので、みんなが元気にプレーしているのを応援しています。試合会場でチームのグッズを持って、客席から応援ムードに入れるのがすごく楽しくて。もともと、バレーボールはプレーするよりも観る方が好きなんですよ(笑)。
 
ゆみ: それは意外ですね(笑)。選手時代から、今でも変わらず意識していることはありますか?
 
高橋さん: 丁寧に人と接することですね。私は大学を出てから大阪マーヴェラスに入部したこともあって、高卒で入部した選手に比べると年齢的には中堅。自然と若手のメンバーを引っ張る役割になり、チーム内では若手もベテランも分け隔てないコミュニケーションを担っていました。なので、例えばプレーについて話す時にはまず相手の気持ちに立って、どの選手にも伝わりやすく、納得感をもってもらえる言い方を丁寧に考えていました。

会社員になった今でも、それは意識して続けています。先ほどお話しした「お客様の目線に立つ」ことも、その延長ですね。選手時代に比べるとメールやチャットなどによる文字のコミュニケーションが増えましたが、その時も相手の気持ちや立場を考えて文章を作っています。とはいえ、メールでのビジネストーンの文章はまだ少し苦手で……。経験豊富な先輩にアドバイスをもらいつつ学んでいます。
 
ゆみ: 試合や練習のために行っていたコミュニケーションの工夫が、今でも生きているんですね。最後に、仕事でうれしかった瞬間を教えてください。
 
高橋さん: 担当のエリアを持って業務をする中で、最初は探り探りだったお得意様との関係が少しずつ構築できてきたのはうれしいですね。会話をする機会が増え、私の提案を受け入れていただけるまでの時間が短くなったと感じています。また、販売会でも、最初は経験不足で思うように販売できませんでしたが、先輩方に声がけのアドバイスをいただいたり、自分でも提案方法を工夫したりして、だんだん販売数も伸びています。丁寧に努力を積み重ねられるのが自分の強み。それを生かしてもっと成長し、憧れの先輩たちに近づきたいですね!
05

フィールドは変わっても、ひたむきに成長する

 

試合に出て熱いプレーを見せることで、感動という「心の豊かさ」を観客に届けていたお二人。その後はバレーボールから学んだことや、そこで培った力を武器として、JTでの充実したセカンドキャリアを歩んでいました。ポジティブに、ひたむきに頑張っていれば、どんなフィールドでも成長できる――。お二人が体現している姿を見習って、自分ももっと仕事を頑張ろう! と、なんだかパワーをもらったような気持ちになりました。

また、取材を受けて、JTグループって多様な人が働いているんだな、と改めて感じました。今度はどんなバックボーンや価値観をもつ方と知り合えるんだろう……? そう思うと、ちょっとワクワクします!

profile

担当社員の
ひとことプロフィール

井上航さん。JT東京支社。最近、心の豊かさを感じた瞬間は、JT東京ブラスターズのメンバーで、試合後にご飯を食べながら話をしたとき。広島サンダーズを退部した今でも、バレーボールついて語り合えたり、土日に試合ができたりするのはいいものだなと実感した。

※プロフィール掲載内容は2025年5月の取材当時のものです

高橋茉莉奈さん。JT大阪支社。最近、心の豊かさを感じた瞬間は、大阪・関西万博に行ったとき。イタリア、アメリカ、韓国などさまざまな国のパビリオンを巡り、海外の料理を楽しんだ。特にドイツ館のソーセージセットやオーストリア館のザッハトルテがお気に入り。

※プロフィール掲載内容は2025年5月の取材当時のものです

気になったらシェアしよう!