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Appassionato ─ 響きにこだわり、奏でる音楽家たち

8人が奏でる“今だからこその音楽”を聴いてほしい──ラ・ルーチェ弦楽八重奏団

公演概要

ラ・ルーチェ弦楽八重奏団 La Luce vol.1

公演日 2014年4月18日(金)
プログラム
モーツァルト 弦楽五重奏曲 第6番 K.614 変ホ長調
チャイコフスキー 弦楽六重奏曲 Op.70 「フィレンツェの思い出」
ショスタコーヴィチ 弦楽八重奏のための2つの小品 Op.11
メンデルスゾーン 弦楽八重奏曲 Op.20 変ホ長調
出演 ラ・ルーチェ弦楽八重奏団
大江 馨(ヴァイオリン) 城戸かれん(ヴァイオリン) 小林壱成(ヴァイオリン)
毛利文香(ヴァイオリン) 有田朋央(ヴィオラ) 田原綾子(ヴィオラ)
伊東 裕(チェロ) 笹沼 樹(チェロ)

プロフィール

ラ・ルーチェ弦楽八重奏団

東京藝術大学、桐朋学園大学(ソリストディプロマコースを含む)で学ぶ8人の弦楽器奏者によって2013年6月結成。弦楽八重奏曲を中心に五重奏以上の編成の室内楽作品をレパートリーとして2014年から年に1度の「La Luceシリーズ」を継続予定。コンセプトは“今だからできる音楽を楽しむ”。

生き生きとした音楽の応酬が会場を大いに盛り上げた!
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「今だからできる音楽を表現したい」「同世代で室内楽の楽しみを分かち合いたい」という想いとともに、昨年6月に結成されたラ・ルーチェ弦楽八重奏団。東京藝術大学と桐朋学園大学それぞれ4名ずつの、気鋭の若手演奏家によって構成され、まずは3年間、年に1度の「La Luceシリーズ」を継続する予定で活動を行っている。

その記念すべき1年目のシリーズ。JTアートホール アフィニスでの公演は、すでに大阪などで数回の本番を重ねた後ということもあり、呼吸ぴったりの演奏を聴かせてくれた。

前半はモーツァルトの「弦楽五重奏曲 第6番 K.614 変ホ長調」で始めた。気品ある軽快な音楽で会場を温めると、続いてチャイコフスキー晩年の作である「弦楽六重奏曲 Op.70 『フィレンツェの思い出』」。ドラマティックな起伏をもって各楽章の世界観を見事に描き分け、力強いアンサンブルを聴かせた。

そして後半はいよいよ全員が揃っての演奏。ショスタコーヴィチの「弦楽八重奏のための2つの小品 Op.11」では、各人が細部を緻密に描き、それが調和するアンサンブルの妙を見せる。そして、メンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲 Op.20 変ホ長調」で、個々の音を際立たせながらひとつのみずみずしいハーモニーを紡ぎ、華やかなフィナーレを迎えた。

鳴りやまない拍手に応え、アンコールで演奏されたのは、作曲家・山中惇史さん編曲によるピアソラの『リベルタンゴ』弦楽八重奏版。オーケストラ顔負けのスケールとともに、予定調和でないアグレッシブな演奏を聴かせ、会場を大いに盛り上げた。

室内楽を聴く楽しみは、演奏家の間で繰り広げられる音の応酬、呼吸を合わせる空気感までを感じられるところにもある。当夜の公演は、まさにそんな化学反応の瞬間、共に音楽をする喜びを肌で感じられる時間となった。
“今だからこその音楽”を生み出す、8人の仲間たち
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写真左より 伊東裕さん(チェロ)、有田朋央さん(ヴィオラ)、田原綾子さん(ヴィオラ)、毛利文香さん(ヴァイオリン)、城戸かれんさん(ヴァイオリン)、小林壱成さん(ヴァイオリン)、大江馨さん(ヴァイオリン)、笹沼樹さん(チェロ)。

後日、メンバーのうち、城戸かれんさん(ヴァイオリン)、小林壱成さん(ヴァイオリン)、毛利文香さん(ヴァイオリン)、有田朋央さん(ヴィオラ)、田原綾子さん(ヴィオラ)、笹沼樹さん(チェロ)の6名の方々にお集まりいただき、お話を伺った。

この弦楽八重奏団は、毎年宮崎で開催されている「ミュージック・アカデミーinみやざき」に参加していた、城戸さん、毛利さん、田原さんが中心となってメンバーを集め、結成されたのだという。

毛利:「アカデミー最終日のコンサートで、徳永二男先生をはじめとする講師の方々に混ざってメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲を演奏させていただく機会がありました。これがすごく楽しくて、自分たちでもできないだろうかと考えたのが、結成のきっかけです。3人がこれまでに共演したことのある仲間や興味がありそうな友人に声をかけて実現しました」

田原:「その場限りの集まりにしたくなかったので、まずは3年を目標に活動することになりました。本当はずっと続けられたらと思っています。八重奏曲の演奏会というのは、ふたつのクァルテットが合わさったものになることがほとんどです。私たちの場合は一人一人が集まる形なので、昨年6月からと普通より長い時間をかけて音楽を作って、最初の本番を迎えるように準備しました」

城戸:「続けるうちに留学するメンバーも出てくるかもしれませんが、そういう人が帰国して参加したら、また周りのメンバーも影響を受けて音楽が変わっていくかもしれないので、楽しみです」

小林:「まさに、その時々で“今だからこその音楽”ができるんです。室内楽というのは、その時々での変化、そのステージでしか起こらない会話が最も生まれる演奏形態だと思います。一人に変化が起きただけでまったく違う結果を生むのですから、本当に面白いと思いますね」
互いに聴きあい、反応する。異なるキャラクターが一つになった
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長い準備期間を取ったとはいえ、普段個々に活動する8人の若者が集うという状況で、一つの音楽をどのように創り上げていったのだろうか。

笹沼:「これまでの室内楽の経験では、方向性を決めてそれに向かって細かく意見を言い合うというイメージがありましたが、今回はなぜか自然と音楽がまとまっていきました。普通は楽譜が書き込みで真っ黒になるのですけど、そういうことがありませんでしたね。一緒にやっていくうちに方向が固まっていきました」

田原:「口で言葉を伝えるのではなく、耳で聴いて気持ちのやりとりをするというか。特に8人が仲良くなってきてからは、『ここはこう弾きたいんでしょ?』とか、『そうやって弾くならこちらはこう弾くよ!』という、お互いの反応で音楽を作っていく感じがありましたね」

有田:「そうやっていろいろな相手と同時に音楽で会話をしていくところが、本当に面白いです」

メンバーが同じ音楽大学の学生同士ではないというのも、この弦楽八重奏団のユニークなところだ。

毛利:「他の学校の人と室内楽をやる機会というのは、実はなかなかないんです。桐朋と藝大、それぞれのキャラクターがお互いにないものを補いあって、ちょうどよかったと思います」

城戸:「室内楽の創り方が少し違いますよね。藝大生側から見ると、桐朋のメンバーは個々がぶつかり合って一つのものを創り上げているという感じがします」

田原:「私たちからすると、藝大のメンバーは、緻密に音楽を作り、ハーモニーを大事にするという印象を持ちましたね。……桐朋のメンバーがハーモニーのことを考えていないわけではないのですが(笑)」

笹沼:「一人一人が見え、それでいて一つの響きになっている。室内楽というのは、すごく心地良い状態の音楽だと思います」
室内楽向きのホールだからこそ実現した、特別な空気感
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そんな一つ一つの楽器の「声」や「会話」を楽しむことができる弦楽八重奏にとって、室内楽向きとして知られるJTアートホール アフィニスは最適な空間だったという。

田原:「私と毛利さんは、以前『JTが育てるアンサンブルシリーズ』に出演したことがあります。そのときに素晴らしい響きだと思ったのですが、当時は室内楽も初めてに近く、必死すぎて、本番中にホールの響きを楽しむ余裕がなくて(笑)。ぜひもう一度このホールで演奏したいと思っていました」

毛利:「お客さんが入ったときに、ちょうどよい響きになるんです。お互いの音もすごく聴きやすく、客席でも、どの位置に座ってもちゃんと聴こえる。そのうえ学割料金があるのもとても助かって、会場は即決でした」

有田:「客席の雰囲気もすごく良かったです。最初のモーツァルトでステージに出たとき、空気が研ぎ澄まされている感じがしました。皆さんが『聴きたい』という気持ちを持って集まってくださったから、あの空気ができたのだろうと思います」

城戸:「普段から室内楽公演の盛んなホールだから、お客さまにも“室内楽通”な方が多いのかもしれませんね」

小林:「同じ雰囲気が他のホールで実現するかというと、そうとは限りませんよね。会場の空気を素晴らしいものにしてくれたホールに感謝しています」

実は今回の公演、メンバー自らが中心となって、会場のブッキングに始まり、練習に関する手配、チケット販売の管理から宣伝、当日の進行に至るまでを行ったのだそうだ。全員が口を揃えて「普段の演奏会でいかに多くの人が支えてくれていのるかがよく分かった。手伝ってくれた関係者や友人に感謝している」と語っていたのも印象的だった。

今後、回を重ねてゆくラ・ルーチェ弦楽八重奏団の演奏会。メンバーの音楽的な成長、そしてその都度集う聴衆の空気感が相まって、毎回新しい音楽を聴かせてくれることだろう。室内楽ファンにとって、年に1度、定番の楽しみになりそうだ。
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