『わが ひととき』

畑 正憲さん

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サプリは要らない、それより抱きしめてあげて

こんばんは、ムツゴロウです。今日の話は、僕はどうして動物と仲良くなれるのかということの、理論的なところです。本当に不思議なことですが「よーしよしよし」と言うと寄ってくるんです。声の調子が合い、琴線に触れるのでしょう。一つ二つ例を挙げます。ある日私の同級生から「俺困ったよ、女房が鬱で、認知症になって」と電話がありました。そこで僕は「お前、手をつないで散歩しているか」と聞くと「そんなことはしていない」と言うんです。でも、それが大切なんです。彼が奥さんと一緒に歩くようになったら、日ごとに症状は回復してきました。

ハグされると「愛のホルモン」が出る

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認知症について最近、ある種のホルモンが非常に関係することが分かってきました。この「オキシトシン」というホルモンは、スウェーデンの学者がコミュニケーションで一番大事なものだと説明し、スウェーデンで学校が荒れた時に「ハグしましょう、握手しましょう」としたら、平和なクラスがよみがえった。魔法みたいに効いたんです。男性にハグされた女性の血液では、オキシトシンの(濃度を示すグラフの)角度がグーっと上がる。「愛のホルモン」が出ているんですね。オキシトシンの働きが知られるようになると、それを注射したら、錠剤にして飲ませたら、という人が現れます。サプリメントの考え方です。

オキシトシンは出産に非常に役に立つホルモンです。子宮の収縮を助け、お乳が出るときには乳房の筋肉に働きます。私の父は医師、母は助産婦で、子どものころから出産は日常でした。動物でもセントバーナードを一度に14匹取り上げたことがあります。僕は犬の帝王切開をするのが早くて、10匹出すのに1分もかからない。出てきた子犬は食べちゃいたいくらいかわいい。親犬も子犬をなめたがります。なめることが、オキシトシンの受け渡しなんです。その後、初乳を飲ませます。初乳はとても大切で、ネズミは初乳を飲まないと死んでしまいます。おっぱいが出ないという人も結構います。僕の娘もそうでしたが「絶対出るから飲ませろ」と励ましました。オキシトシンは「わが子の幸せのためなら」という豊かな気持ちを起こし、お乳を出します。娘にはまず、赤ん坊のいい匂いを嗅ぎ、旦那には(乳房を)マッサージし、乳首を吸ってもらうよう言いました。その後聞いてみると「出てる」ということでした。

本当の肌の触れ合いが「極意」

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母親に3カ月育てられたヒグマを飼い始めた時、とにかく僕は噛まれました。体に1000以上も噛み跡ができたある日、ヒグマの前に裸でごろ寝しました。そうするとそばに来て、手を甘がみしてなめるんです。どの動物にも怖がらず近づく。これが極意かと思いました。シロクマの子どもや世界中の噛み犬も懐いてくれました。今はいろんな病気や事件がありますが、これは人間と人間が本当に肌を触れ合わせていないせいだと思います。サプリメントなんて要らない。それより、子どもを抱きしめてあげることが、一番いいことではないかと思っています。

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