『明るく生きるヒント』

里中 満智子さん

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“最悪”を考えれば、明るく前向きになれる

私はとても暗い性格で、幼い頃からいつも物事を悪い方向にばかり考えていました。大好きな本や漫画の中で簡単に人が死ぬのを見て、「私もいつ死ぬかわからない。お母さんも、妹も、友達も…」と、不安が広がっていくのです。夜、布団に入っても「今晩死ぬかも。死んだらどこへ行くんだろう」と考えると、眼が冴えて眠れません。それなのに呑気で、夏休みの宿題は最後の3日間で片づけていました。ところが小学6年生の夏休みに、明日死ぬかもしれないと思っている自分が、ダラダラと本を読んでいることに気づいたんです。人生長いと思うと、自分はもっとダラけてしまう。だから「人間はいつ死ぬかわからない」と考えていた方がいいのだと、感覚で悟りました。

過去の人々の経験から学べる幸せ

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人類の過去の考え方や知識を、私たちは今、本などを通して知ることができます。3千年前の古代エジプトの官僚が「自分たちは苦学して一生懸命頑張ってきたのに、子どもたちの世代はろくに勉強しない。これでは国は滅びてしまう」と嘆いたと知って、どの時代の親も同じだなと笑ってしまいました。これも誰かが石板を発掘し、それを研究者が読み解き、日本語に訳してくれたおかげです。高い単行本でも数千円、何てラッキーなんだろうと思います。

ほんの数十年前、多くの日本人が戦争で亡くなり、今も世界のどこかで戦いが起こっています。本などからこうした話を知るうちに、大変傲慢な言い方ですが「まだ自分は恵まれている」と少しだけ前向きになれました。

私は昔、がんを経験しています。30歳過ぎに「結核か、がんだな」と覚悟して病院に行きました。告知しない時代でしたが、私をよく知るお医者様は、言葉の端々で教えてくれました。漫画の題材で描いてきて知識もあり、さすがに「あーあ」という感じで、帰り道、改めて本を買い込んで読みました。

意外だったのは、体験談に励まされたことです。読むとほっとして、「自分もこの人のように元気になろう」と思えました。そして何よりの幸運は「がん」だったことだと気づきました。がんは症例も多く、巨額の費用が投じられて研究が進んでいます。患者数が多い病気は、ラッキー。そう考えると、「がんでよかった」とさえ思えてきました。

幸運だと思えるチャンスはいっぱいある

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こうしてたどり着いたのが、「不安を感じたら、勇気を出してとことん暗いことを考える」ことです。大抵の場合、現実はそこまではひどくならず「この程度で済んで良かった」と思えます。

病気が心配な方は、最悪のことを考えて病院に行ってください。呆けるんじゃないかと心配しているうちは大丈夫。悩みがある人は、自然に脳を使っているんです。トリックみたいですが、ちょっと考え方を変えれば、自分は幸運だと思えます。生きてきて、いろんな経験ができました。こうなればもっと長生きを楽しみたいと思います。楽しみながら、寿命を全うしていきましょう。

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