JTマーヴェラス

5勝2敗、好スタートを切った第1Legでつかんだ「修正力」

2016/11/25COLUMN

5勝2敗、好スタートを切った第1Legでつかんだ「修正力」

3シーズンぶりに迎えた、V・プレミアリーグの開幕戦。
独特の空気と緊張感が漂う中、吉原知子監督は至って冷静だった。
「V・プレミアリーグに上がることができて、それで終わり、というわけではありません。私たちの目標はあくまでトップに立つこと。そのための練習をずっと重ねてきました」試合が始まると、その言葉の意味は聞かずとも分かる。
東京体育館に集った、全8チーム。その中でダントツの運動量と、破壊力。この1年、どれほどのハードワークを積み重ねて来たか。その成果は、選手たちの自信に満ちた動きが何よりも雄弁に語っていた。

開幕の快勝で得られた自信

大勢の観客が詰めかける中、響くいくつもの音。
選手たちがコートの中で掛け合う声。ベンチから送られるアドバイスや共に喜ぶ声。そして、思い切り助走に入り、高いジャンプから思い切りボールを叩き、相手コートに渾身の力を込めて打つスパイクの音。
その1本1本に、観衆はまたひときわ大きな声援を送った。
どんな相手でも自分たちがやるべきことをやるだけ。そう口にしながらも、エースの田中瑞稀は「自分自身も、チームもスタートは硬さがあった」と言う。ハツラツとしたプレーや表情からはうかがい知れないプレッシャーのもとで迎えた開幕戦のスタートではあったが、当たり前のプレーをいつも通りにする。1本、1点が決まるたび少しずつ緊張もほぐれ、本来の姿を取り戻した。セッターの田中美咲はこう言った。
「やはりV・チャレンジリーグⅠに比べて人の数も多いし、個人的には体育館に慣れるまでバタバタしてしまった感じがありました。でも、ここで戦えることに感謝したいという気持ちがいっぱいで、自分のできることを全力でやっていこう、という気持ちでプレーすることができました」

攻撃の的を絞らせない田中(美)のトスワークが冴え、アタッカー陣が多彩な攻撃を展開し、相手につけいる隙を与えることなく試合を運びリードが広がると、少しずつ表情も和らいでいく。どんなボールも落とさず自分たちの点数に結びつける。そんな強い意志を表すかのような思い切りのいいプレーを披露し、開幕戦はセットカウント3-0と快勝を飾った。
まだ試合前はフワフワしていた、と言いながらも、吉原監督も「見ての通りそんなに大きい選手たちではないので、とにかく全員で拾って全員で攻撃するバレーボールを目指してやってきました。今日(開幕戦)に関しては、全員の意識が高かった」と取り組んできた成果を出して自分たちらしく戦おう、という選手の姿勢を評価した。

善戦に満足せずさらなる高みを目指す

とはいえ、簡単に勝ち続けられるほどV・プレミアリーグの戦いは易しいものではない。
最初の試練は、開幕翌戦の第2戦、昨シーズンの覇者、久光製薬スプリングスとの一戦だった。
初戦同様、吉原監督は「選手たちのコンディションはよかった」と言うが、気持ちの面で開幕戦以上にどこか落ち着いていないように見えたとも言う。
「『最初の入りが大事だよ』と声をかけました。相手が久光製薬さんというのもありますし、何しろ私たちは下から上がって来たチームなので、V・プレミアリーグの舞台を経験することからだいぶ離れていました。そのせいか、いろんな意味で楽しみな部分と、自分たちが本当にやれるのか、と半信半疑の部分があったと思うんです。でも『やればできるんだ』という気持ちになってきていると思いますし、『トップを取りたい』という思いは変わらない。守るものは何もないですが、それでもどこかで自分たちにプレッシャーをかけているのかなという感じはあります」
見えないプレッシャーとの戦い。ようやくリズムを取り戻したのは、久光製薬に2セットを取られ、なおも追う展開が続いた第3セットの中盤だった。

絶対に勝ちたい。その思いが強すぎれば強すぎるほど、時に視野が狭まる。吉原監督が「気持ちの面で落ち着きがなかった」と指摘したように、冷静に、練習通り、いつも通りにできれば難なく対処できるはずのチャンスボールに対しても、力が入りすぎてしまって足の動きが一歩遅れる。後衛時にはベンチから試合を見るミドルブロッカーの奥村麻依も、まさにその点が苦戦の理由だったと言う。
「相手は強打ではなく、それほど難しくないフェイントなのに、自分たちがびっくりしてガチガチになってしまった。普段だったら上がるボールが上がっていなかったので『もうちょっと楽に考えて対応していこう』と話をしたら、1本目(のレシーブ)が落ち着くようになった。もうちょっとコミュニケーションをしっかり取っていかなきゃ、と改めて感じられた試合でした」
試合の中で立て直し、劣勢から第1、4セットを取るも、最終セットはあと一歩が及ばず悔しいフルセット負け。とはいえ相手に3ポイントを献上してもおかしくない状況から1ポイントを獲得しただけでもプラスのように思えるが、吉原監督が「それでヨシ、とは絶対にしない。惜しかったね、ではなく勝たないと」と言うように、高みを目指す以上、善戦に満足するチームではない。
事実として、久光製薬に敗れた翌日は東レアローズに3-0で勝利し、NECレッドロケッツに敗れた翌日は日立リヴァーレにフルセット勝ち。第1Legを5勝2敗と勝ち越して2位につけただけでなく、連敗をしない修正能力の高さを見せることができたのは大きな収穫であるはずだ。

好スタートを切った前半戦を終え、いよいよ勝負は中盤へ。戦力もデータもそろった中で戦う第2Legは、これまで以上に厳しい戦いとなるのは間違いない。
だが、だからこそがむしゃらに。ハードワークを乗り越えて培ってきた力を信じ、頂を目指して戦い続けていくだけだ。

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