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経験を力に。3シーズンぶりのV・プレミアリーグで得られた自信

2017/03/10COLUMN

経験を力に。3シーズンぶりのV・プレミアリーグで得られた自信

初めてのファイナル6。
負けたら終わりの短期決戦は、きっとこれまでのV・レギュラーラウンド以上に熾烈な戦いになる。ファイナル進出へ向け、負けられない戦いをどう勝ち抜くか。1人1人が強い覚悟を持って、2月12日(日)、ファイナル6初戦である東レアローズとの一戦に臨んだ。

発展途上のチーム

絶対に負けられない試合で、今リーグ初となるスタメン出場を果たしたのが入部2年目のウイングスパイカー、橘井友香だ。体調不良のオヌマー・シッティラックに代わり、レフトに入った橘井は、ミドルブロッカーの奥村麻依が「ミスの少ない、安定したプレーができる選手」と言うように、ファイナル6での大抜てきにも臆さず、持ち前の守備力や相手ブロックをうまく利用した攻撃で存在感を発揮した。
相手のサーブも難なく返し、素早く攻撃に参加するだけではなく、広い守備範囲でリベロの小幡真子と共に強打も拾う。V・レギュラーラウンドを終えてから、吉原知子監督が「ブロックとレシーブの関係を徹底してきた成果が出ていた」と語ったように、チームとして取り組んできたシステムが構築されたのに加え、橘井の守備力は新たな武器となった。
東レ戦は惜しくもフルセットの末に敗れたが、田中美咲が「負けるとダメなところがフォーカスされがちだけれど、まだ発展途上のチーム。試合を重ねるごとにどんどんよくなっていきたい」と話したように、これからにつながる新たな力と、さらなるステップアップの兆しが見えた初戦でもあった。

最終戦のフルセット勝利に涙

これまでも苦しみながら勝ち抜いてきた。そしてその度に力をつけ、また新たな壁も乗り越えてきた。吉原監督が「その経験こそが、チームにとって一番大きな収穫」と言うように、重ねた経験は間違いなく自分たちの力になっている。エースの田中瑞稀もこう言った。
「厳しい戦いになったときでも、自分たちはこれだけやってきたんだ、という思いや自信があった。そういう部分では、少し強くなれたのかなと思います」

まさにその成果が形となって表れたのが、3戦目の久光製薬スプリングスとの一戦と、日立リヴァーレとの最終戦だ。
2戦を終え2敗と苦しい状況で迎えた久光製薬戦は、まさに今リーグのJTマーヴェラスが目指し、貫き続けてきたバレーボールスタイルが存分に発揮される試合となった。相手の強打にもレシーブで食らいつき、ひたすらつないで攻撃に託す。相手が高いブロックを揃えてきても、田中(瑞)や奥村が要所でスパイクを決める。中でも光ったのは、攻守で活躍した橘井だ。試合が始まった序盤こそ相手ブロックに捕まる場面もあったが、吉原監督が「試合中に『こうすれば決まる』という感覚をつかんだ。よく頑張ってくれた」と称したように、ブロッカーとレシーバーの間にうまく落とすフェイントや、相手ブロックに当ててコート外へ飛ばすスパイクなど、強弱をつけた攻撃で得点を量産した。そして勢いに乗る20歳をベンチから支え、ポーカーフェイスを緩ませる潤滑油になったベテランがいた。位田愛だ。タイムアウト中や、メンバーチェンジで橘井がベンチに下がってくるたび「顔が硬いよ、笑って、笑って」と声をかけて励ます。その言葉に橘井は「すごく支えられたし、リラックスしてプレーができた」。一人で戦うのではなく、みんなで戦う。そんなチームスタイルが随所でうかがえた。

与えられた役割を全うしたのは位田だけではない。主将の井上琴絵も「今までやったことがなかった」というピンチサーバーとしてコートに立ち、際どいコースを狙ったサーブでブレークを重ね、チームに勝利を呼び寄せた。
「私や愛さんはV・プレミアリーグの経験はあるけれど、今のリーグのシステムは初めてで、ファイナル6も初めて。最初は負けた後に気持ちを切り替えるのも難しかったです。でも、トモさん(吉原監督)から『失うものはないからどんどんチャレンジして、やってきたことを信じてできれば絶対チャンスはある』と言われて、みんながチームを信じて、一つになって戦うことができた。私も『とにかく思い切り、自分のできることをやろう』と思っていました」
全員が、仲間を信じ、助け合い、支え合って前を向く。
ファイナル6最終戦は日立リヴァーレとの対戦。たとえ勝利してもファイナル3へは進出できないことが決定した中で臨んだ試合だったが、気持ちが折れそうな、苦しい状況でも選手たちは最後まで諦めずに戦った。
シーズンを通して徹底してきたハードワークをやり切り、第1、2セットを連取したが、対する日立もファイナル3へ弾みをつけるために負けるわけにはいかないと応戦。互いに2セットを取り合い、最終セットへ突入し、いきなり1-5と4点差をつけられる。しかしそれでも勝利の執念を見せ、諦めずにボールをつなぐと、最後は中村亜友美が2枚ブロックを打ち抜き、19-17。大熱戦を制した選手たちの目には、涙が浮かんだ。

目指した日本一には届かず、悔しさは残った。だが、それでも最後の一戦を堂々と戦い抜いた姿を、吉原監督も「戦う気持ちに持っていくのが難しい状況から、自分たちがどうしなければならないのかが明確になった。そういう意味でも、最終戦はよく頑張った」と称えた。

苦しみ、悩みながらも乗り越えた2016/17シーズン、3年ぶりのV・プレミアリーグの戦いは幕を閉じた。
培った経験を力に変えて、次こそは頂点に――。すぐにまた、新たな戦いが待っている。

JTマーヴェラス