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第1Legは4勝3敗。光った「粘り」と覗く「脆さ」

2017/11/17COLUMN

ついに開幕した「2017/18V・プレミアリーグ」。「何がなんでも日本一になる!」を掲げてスタートしたJTマーヴェラスは3位という好位置で第1Legを終えた。とはいえ、優勝するにはまだチームは未完成だ、と皆が口を揃える。第1Legを通して見えてきた現在のJTマーヴェラスの実情とは……。

粘り強さの中に時折見える脆さ

第1Legを終えて4勝3敗。15名という少ない人数でカバーしあいながら戦い、一つ勝ち越して第1Legを終えられたのだからまずはそれでも十分な及第点ではないか。そう見る人も少なくない。
だが、この結果に満足する選手は一人もいない。
もちろんそれは選手だけでなく、チームを率いる吉原知子監督も同じだ。
「確かに人数が少ないことは大変です。でも、今いる選手、スタッフで何ができるか。それを全員が必死で考え、乗り越えなければならない。そのためにはまだまだ技術もメンタルも足りない。厳しい練習をしてきた成果を出すのは試合しかないわけですから。どんな状況でも、最低限のことはできるチームにならないといけないと思うんです」
開幕戦では日立リヴァーレに連続2セットを奪われ、あわやストレート負けという厳しい状況から再びチームが一つに結束。第3セットを奪取してフルセットでの逆転勝ちを収める粘り強さを見せたかと思えば、翌週の久光製薬スプリングス戦は2セット先取したにも関わらず、3セットを連続して奪われ、逆転負けを喫した。

劣勢に追い込まれても勝利まで立て直す力がある反面、時折見せるメンタル面の脆さ。
開幕戦からスタメンに抜擢された3年目のウイングスパイカー、橘井友香はこう言う。
「良いときはとことん良いけれど、悪いときはとことん悪くなる。そこでどう修正して雰囲気を変えるかがまずは大事だと思います。全員の調子が良いときはなかなかないですが、誰かの調子が悪いときにはフォローするとか、気持ちを強く持つこと。それを徹底できたらJTマーヴェラスらしさをもっと出せるのではないかと思います」
橘井も言うように、劣勢時、コート内の雰囲気が完全に沈んでしまう場面が目立つ。視野が狭くなり、「自分で何とかしなければならない」と責任感をプレッシャーに変えてしまい、周囲の選手に対していつもならできるはずの気配りができない。そこから小さなミスが生まれ、相手に流れを渡してしまい、コート内の空気はさらに沈み、掛け合う声も少なくなる。
そう指摘するのは、リベロの小幡真子だ。
「ミスが出たときも、本当ならもっと言い合わないといけないのに、試合中だからと遠慮して『いいよ、いいよ』で終わってしまうんです。でも一人一人が自分のポジションを全うしなければいけないし、もっとお互いダメなものはダメだと指摘しあうことが必要。リーグが始まればあっという間に時間は過ぎてしまうので、遠慮している暇はない。私も、もっともっと言っていかなきゃダメだ、と思う機会が多くありました」
負けたときには、辛くても「何が悪かったのか」「何が足りなかったのか」という課題と向き合わなければならない。第1Legの7試合が、JTマーヴェラスにとって課題克服のきっかけになったことは間違いない。

チームに勢いを与えた金杉の活躍

もちろん得たものは課題だけではなく、収穫もある。その一つが、4年目のウイングスパイカー金杉由香の活躍だ。
吉原監督が「パワーはチームナンバーワン」と太鼓判を押す力強いスパイクは他のチームにとっても脅威であり、今季のスタメンデビュー戦となった久光製薬戦では前衛からだけでなく、バックアタックも決め、存在感を発揮した。
点をもぎ取るパワーも大きな武器ではあるが、それ以上にコート内の雰囲気をガラリと変えることができるのも金杉の魅力だ。相手に流れが行きかけた場面や、長いラリーの最後に自らのスパイクやブロックで点を得ると、両手を突き上げ、ピョンピョンと飛び跳ねながら喜びを爆発させる。その姿はチームに何度も力を与え、金杉自身も自らを鼓舞する原動力になった、と言う。
「いつも試合を想定して練習をしてきたので、いざ試合に出るとなったときも緊張よりワクワクしていました。チームが沈んでいるときに自分の1点がどれだけチームに勢いを与えられるか、喜ばせることができるか、というのは常に意識していたし、自分に上がってきたボールは全部決めよう、と思って攻め続けました」

世界一の決定力を誇るセルビアの大砲、ウイングスパイカーのブランキツァ・ミハイロヴィッチの加入がチームにとって心強いことは確かだが、バレーボールは一人のスター選手の存在だけで戦いに勝つことができるスポーツではない。
どんな状況でも、それぞれが自分の役割を果たしチームとして個々の力を結束させる。スタメンに定着している選手だけではない。金杉、さらにはここまでなかなか出場機会が得られなかった若手選手の活躍も必要不可欠だ。第2Legでは一つ一つの経験を糧に、第1Legで露呈した問題がどれだけ克服できているかが勝負のカギになる。「これがJTマーヴェラスのバレーボールだ」と胸を張ることができるような、目指すべき全員バレーのスタイルに近づくため、チームが一つとなり強い心で、逞しく、戦い抜くだけだ。

JTマーヴェラス