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2017/18シーズンを締めくくる黒鷲旗優勝
ラストゲームで見せた来シーズンにつながる希望

2018/05/11COLUMN

「2017/18V・プレミアリーグ」ファイナルでの悔しさを乗り越え挑んだ今シーズンラストゲーム、第67回黒鷲旗。
決勝の対戦相手は雪辱を晴らすには絶好の久光製薬スプリングス。見事ストレート勝ちで優勝を遂げたJTマーヴェラスの黒鷲旗の軌跡を振り返る。

フルセットの激戦を制し決勝進出

ハードワークなら、どのチームにも負けない。追い込まれても、選手たちの表情は自信で満ち溢れていた。
事実、準決勝は2セットを岡山シーガルズに先取された状況からの逆転勝ち。チーム最多得点を挙げた金杉由香が言った。
「相手はミスが少なく、守りがよくて粘りのあるチーム。長い試合になることは始めから想定していたし、それでも自分たちのほうが絶対に粘り負けない。だから、追い込まれても絶対に諦めず、自分が点を取るんだ、と思って強い気持ちでプレーし続けることができました」
15点マッチの最終セット23-21という、大逆転かつ大熱戦を制し、2年ぶりの決勝進出。全日本に選出された選手を欠き少ない人数で戦い抜くのは、体力的にも精神的にも少なからずプレッシャーがかかる。だが、たとえ疲労はピークでも最後の一戦、決勝戦はどうしても負けたくない。ルーキーの林琴奈には、必勝を誓う理由があった。
「V・プレミアリーグの決勝ではボロボロに負けた久光製薬。お互いリーグとはメンバーも違いますが、久光は久光。絶対に負けたくないと思っていたので、今度こそ、自分たちのやるべきことをやって勝ちたいです」

個々の役割を果たした完璧なゲーム展開

V・プレミアリーグの決勝でコートに立ったメンバーと違いがあるとはいえ、やるべきことは変わらない。常に全力で守り、打ち、走り、ボールをつなげる。それぞれが何をすべきか、役割分担も明確だった。
久光製薬も若手主体で思い切りのいいプレーを展開する中、序盤から主導権を握ったのはJTマーヴェラスだった。前後に揺さぶるサーブや、相手のブロックに当てて飛ばしたかと思えば、コート後方を警戒するのを見てネット際に落とすフェイントなど、常に先手先手で得点を重ねていく。
攻撃面の柱になったのは金杉だ。リーグではチームの得点源であったブランキツァ・ミハイロヴィッチが今大会は出場しないため「外国人選手がいなくても勝てる、と証明したかったし、とにかく自分の仕事は点を取ることだと思っていた」と言うように、前衛からでも後衛からでも持ち前のパワーを生かした強打で次々得点を重ねる。加えて、林、橘井友香が安定したサーブレシーブと、相手ブロックをうまく利用したスパイクや、ブロックとレシーブのいない場所を狙った巧みな攻撃で貢献。さらに圧巻だったのは、敵将も思わず「JTの守備が完璧だった」と感服したミドルブロッカーとリベロを軸としたディフェンスだ。

ミドルブロッカーの小川杏奈、橋本梨紗がブロックでスパイクコースを塞ぎ、ワンタッチやブロックポイントを重ねるだけでなく、抜けたコースはリベロの小幡真子が拾ってチャンスにつなげる。セッターの田中美咲が「相手はサイドに対して警戒を強めていたので、意識的にミドルのクイックを使った」と言うように、ディフェンスだけでなく、小川、橋本のスパイク本数も多く、高い守備力を誇る久光製薬も翻弄した。
JTマーヴェラスだけでなく、リーグとは異なるメンバーで臨むチームが多く、これまでは試合に出場する機会が少なかった選手にとってはこの黒鷲旗は大きなチャンスでもある。リーグ中と変わらぬ準備を重ねて来た、と言いながらも、この大会で初戦から最終戦までコートに立ち続けた小川も、自信をつかんだ1人だ。
「自分はブロックよりも攻撃のほうが自信はあるので、ブロックがダメでも攻撃でチームに貢献しようと思っていました。大会前の練習では自分自身に納得がいかないことも多かったですが、大会に入ったらそういう気持ちは忘れて自信満々にプレーしよう、ミスしてもガンガン攻めて行こうと思って臨んで、最初から最後まで貫き通すことができました」
得意のスパイクだけでなく、ブロック、サーブでも存在感を発揮。試合で得られた自信をすぐに体現した小川や橋本を、吉原知子監督も高く評価した。
「なかなか試合に出る機会はありませんでしたが、いつもきちんと準備はできていて、あとはきっかけをつかむだけだった。大会を通して試合に出続けたことは大きな経験になったはず。ここで得られた自信は、選手たち個人にとっても、チームにとってもいい収穫になりました」

強くなるためにはチーム内競争が活性化することが第一。常々吉原監督が口にしているように、黒鷲旗でチャンスを生かし、自信をつかんだことは大きい。6連戦というハードな日程にも関わらず、「4日目からもう一度リセットできたので、疲労も残らなかった」と笑みを浮かべ、小川が言った。
「全日本のミドル2人がいないから大丈夫かな、と思われるだろうから、余計にJTのミドルが私でも勝てるんだ、と証明したかった。なかなか試合に出る機会がありませんでしたが、チャンスをいただいたので、そのチャンスをものにしたいと思った大会でした。リーグになるとまたもっと厳しくなると思いますが、このチャンスを生かして、もっと自分で工夫しながら勝負していきたいです」

最高のフィナーレを次へのスタートに

吉原監督も「6日間の中で一番いいパフォーマンスだった」と言わしめたように、相手を十分な状態で攻撃させないためのサーブ戦術や、攻撃を切り返すディフェンス、さらにチャンスをつないでからの多彩な攻撃など、決勝戦はまさに圧巻のパフォーマンスを見せた。それぞれが持ち味を発揮し、個の力をチームとして集結させた結果、3-0で久光製薬に勝利し、2年ぶり5回目の頂点に立った。
長いシーズンを締めくくる大会であると同時に、新たなシーズンへ向かう第一歩でもある黒鷲旗。最高のフィナーレ、そして最高のスタートを切ったJTマーヴェラスのさらなる進化はここから始まる。

JTマーヴェラス