将棋日本シリーズ JTプロ公式戦/テーブルマークこども大会

出場棋士インタビュー

斎藤慎太郎−2019年度「JTプロ公式戦」出場−

秀麗の棋士 〜JT杯覇者への道〜 斎藤慎太郎

将棋界の新たな歴史に名を刻む、秀麗の棋士にスペシャルインタビューを敢行。
今回は、2002年「将棋日本シリーズ こども大会」優勝から17年、昨年の「王座獲得」と「JTプロ公式戦」初出場が決定した斎藤慎太郎さんが登場。
過去の「JTプロ公式戦」で印象に残った対局の解説や将棋ファンの皆さまへのメッセージ動画も掲載していますので、ぜひ最後までご覧ください。

  • 本記事は2019年3月時点のインタビューに基づいたものです。
  • 文中に登場する棋士のタイトル・段位は対局当時のものとなります。
  • 大会名は2012年より「将棋日本シリーズ テーブルマークこども大会」に改称。

プロの対局姿勢や本気度が伝わる一局になれば

「少しの自信とかなりの悔しさ」を多くの経験で得られた

昨年、初めてタイトルを獲得されました。ご自身の周りに変化はありましたか?

純粋に今までになかった経験でもあり、自身の事以上に周りの方々や応援してくださった方々に喜んでいただけたのは、やっぱりうれしかったですね。これまでの将棋を観てくださっていて、喜びの声を伝えてくださる度に、「また頑張りたい」「また成果を上げたい」とより強く思えるようになりました。

ご自身の心境にも変化はありましたか?

今までと変わらず自分らしい将棋を、コンディションを整えて発揮していくというのが、タイトル戦中も目標の一つであり、そこは変わらない部分でもあります。ただ、王座獲得後に多くの公式戦で対局しましたが、肩書を預かっている以上「こんな将棋ではいけない」と、自身に厳しくなったというところはあります。ですが、それを重荷とせず、だからこそ「意欲的にもっと頑張れるだろう」とポジティブにとらえるようにしています。

ここ数年で、自身の成長を感じる部分はありますか?

プロになってからは、なかなか自身の技術的向上というのは自分の目では見えづらい部分ですが、多くの棋戦を経て「悔しい」と思うことも増えましたし、「思ったより指せた」と思うときもあり、「少しの自信とかなりの悔しさ」を多くの経験で得られたことは、この数年の大きな変化だったと思います。

逆に課題だと感じている部分はありますか?

まだまだたくさんあるというのが正直なところですが、「JTプロ公式戦」と絡めるならば、少し早指し棋戦の勝率が悪いかなと思っています。その局面でパッと最初に見えた手の精度が悪いところが、これからの課題だと思っています。そこが良くなれば、決断も良くなり、早指し棋戦も活躍できます。そのきっかけとして「JTプロ公式戦」は頑張りたいという想いはあります。

ここ数年で、印象に残っている対局はありますか?

数年前になりますが、第71期名人戦A級順位戦での三浦弘行八段(先手)と羽生善治三冠(後手)との対局です。これは、その年の名局候補にも入るほど話題になりました。将棋を観ていた中で、自身が一番盛り上がった将棋でもあり、観ている人に「面白い」や「すごい」「そんな手が」というのを感じさせる一局でした。

それはリアルタイムで観られたのですか?

順位戦でしたので、中継がありました。それを観ながら「うーん、すごいなあ」と感じ、「こんな将棋を指したいな」と思わされた将棋でした。普段の実戦では見られないような“将棋の不思議さ”が現れた将棋だったので印象に残っています。

現在、王座を保持されていますが、タイトルの中で意識されているものはありますか?

「王座」を獲得してから日にちも経ちましたし、この「王座」に愛着を感じているところはあります。それ以外では、初タイトルに挑戦したのは棋聖戦であり、右も左もわからない私に、十分な環境を組んでいただいた棋聖戦に、もう一度挑みたいという想いはあります。そして、こどものころから憧れていたのは名人戦です。そのほかの棋戦にはない構造というのもあり、歴史も長いので、思い入れはありますね。

次の王座戦では防衛となりますが、意気込みを教えてください。

どなたが挑戦されるかを待つというのは、今までにない感覚であり、どなたが来ても大変な防衛戦になると思います。その中でやはり、昨年の経験を活かしながら戦い、勝負の最後は自身がどうあるかで勝敗が変わることもあると思っているので、しっかりと自身を整えて防衛戦に臨みたいと思っています。

「JTプロ公式戦」は「あそこで対局したい」と思わせる楽しみな場

「JTプロ公式戦」には、どのような印象をお持ちですか?

やはり、棋士として「あそこで対局したい」と思わせてもらえる場なんですよね。トップ棋士の中の一人として出場できるわけなので、それを自身のパワーに変えて対局したい。また、公開対局では、観られて委縮するのではなく、観られているからこそパワーを発揮できる棋士でありたいと思います。そういう意味でも、本当に楽しみな場だと改めて思います。

昨年は大盤解説をされていましたが、実際の雰囲気はいかがでしたか?

観てくださっていたお客様は公式戦ということで、本当に静かにしてくださっていたなというのが印象に残っており、「この静寂はすごいな」と思いました。実際に私の解説が対局者のお二人にどのように聞こえていたのか、それは対局者側ではないとわからない部分でもありますので、楽しみと不安が半々で臨むことになりそうです。

「将棋日本シリーズ こども大会」に出場された際にも、間近で「JTプロ公式戦」を観戦されましたか?

その前日には先生方に握手をしていただいたり、写真を撮らせていただいたりというのがあったので、「昨日、握手してくれたプロの先生が、ムチャクチャ怖い顔で指している」というのをこどもながらに感じました。場の空気が変わる「本気の勝負」を間近で感じ、「プロはすごい」と思えましたし、自身もこの先を目指していくならこうなりたいと思えた、印象的な棋戦でした。

最後に、「JTプロ公式戦」への意気込みをお願いします。

自身が「将棋日本シリーズ こども大会」で出場していた棋戦から、「JTプロ公式戦」と立場を変えて出場できるというのは、純粋に感慨深く、楽しみでもあります。その気持ちを対局に良い形で持っていきたいと思っています。多くの方々の前で指せる喜び、トップ棋士の中の一人として戦える喜びを、前向きな力に変えて、コンディションを整えて臨みたい。本当に間近で観ていただける棋戦ですので、プロの対局姿勢や本気度が伝わる一局になればと思っています。

斎藤さんより将棋ファンの皆さまへ

私が選ぶ「JTプロ公式戦」この一局

斎藤さんに過去の「JTプロ公式戦」の中から一局を選んでいただきました。
特に印象に残った局面もワンポイント解説!

「2016年度二回戦第四局」三浦弘行JT杯覇者と佐藤康光九段の一戦

佐藤九段の得意の力戦に対して三浦JT杯覇者の穴熊という将棋で始まった一戦です。お互いが勝ちを目指しているのですが、やっぱり「負けたくない」という想いがぶつかって。そのぶつかり合いが印象的でした。

ワンポイント解説!印象に残ったこの局面
  • 「5六玉(170手目)」三浦JT杯覇者

この局面はその三浦JT杯覇者の穴熊が「5六玉(170手目)」まで飛び出しているという、すごい“逃走劇”となりました。その時点ですでに決着がつくと予想される局面であり、その逃走が成功して、「三浦JT杯覇者の優勢から勝勢なんじゃないか」と見ていたのですが、逃走されて入局されそうなところを、早指しならではといいますか、佐藤九段もあきらめずに粘りに粘られて。三浦JT杯覇者の方も優勢ではありますが、勝つのは大変なので、お互いに粘るといいますか、有利でも不利でも粘り合うような戦いに。

一見、泥仕合のようにも見えますが、私としては勝負をかけた一局、勝負を競う両者の想いが、とてもキレイに見えた一局でした。勝負に対する気迫が、その場にいなくても伝わってくる棋譜として印象的でしたね。

2016年度二回戦第四局の棋譜はこちら

プロフィール

斎藤慎太郎(王座)
1993年4月21日生まれ奈良県奈良市出身

  • 1999年6歳で将棋を始める
  • 2002年9歳の時に「将棋日本シリーズ こども大会 岡山大会」優勝
  • 2004年11歳で奨励会入会
  • 2012年四段に昇段、プロ入り
  • 2016年将棋大賞勝率一位賞と新人賞を受賞
  • 2018年王座獲得
  • 2019年「JTプロ公式戦」初出場

さらに詳しいプロフィールデータはこちら

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