将棋日本シリーズ JTプロ公式戦/テーブルマークこども大会

《インタビュー》

2017年初春 豊島将之JT杯覇者に聞く『将棋日本シリーズ』
─JTプロ公式戦─

豊島将之JT杯覇者スペシャルインタビュー「目の前の局面に集中することをすごく意識して指すようにしています」

17年ぶりとなる20代同士の決勝戦となった2016年度「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」において、佐藤天彦名人を破り、見事初優勝を果たした豊島将之JT杯覇者。
平成生まれの初のプロ棋士は、プロ入り10年目にしてこれが棋戦初優勝。一見順風満帆と見える将棋人生の裏には、常にストイックな姿勢で真摯に将棋と向き合う姿勢がありました。
次世代の将棋界を背負って立つ実力派若手棋士の内に秘めた思いを、スペシャルインタビューで語っていただきました。

勝ちを確信したのは最後の詰みが分かったときです

──この度は初優勝、おめでとうございます。決勝戦終了後に「ホッとしています」とコメントをしておられましたが、プロになって10年目での棋戦初優勝、今の心境はいかがですか? 優勝できて非常にうれしいですが、これまでずっと結果を出したいと思っていながらなかなか出せていませんでしたので、それが「ホッとした」というコメントにつながったのだと思います。もし優勝できなければ、自分の活躍度合いからすると来年の「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」には出場できないだろうなと思っていましたので(笑)、優勝できればいいなという思いはありましたね。

豊島将之JT杯覇者
──本シリーズには2回目の出場ですが、初出場の前年度大会から学んだもの、また大会に対するご自身の心構えの変化はありましたか? “こうすればいい”というのは特になかったとは思いますが、初出場のときよりは気持ちの上で落ち着いて指すことができていたと思います。

──まずは今大会を振り返って、各対局についてお話を聞かせていただけますか? 一回戦第三局の広瀬さん(広瀬章人八段)との対局は厳しくて、勝てたのは幸運だったように思います。二回戦第三局の渡辺(明)竜王との対局は──これまで渡辺竜王にはほとんど勝ったことがなかったのですが、この対局では一直線な展開になったので、自分にしてはうまく指すことができました。準決勝第二局(佐藤康光九段戦)も結構苦しい対局でしたが、苦しいなりに何とか勝ち目を残すという戦い方ができました。それでも決勝戦の対局が一番印象に残っていますね。

──その決勝戦の序盤は佐藤天彦名人の優位に見えましたが・・・・・・。 完全に苦しい戦いでした。佐藤さんの研究のほうが自分よりも上回っていたというか、佐藤さんが研究されてきた手に対して、対応できなかったところがありました。
振り返れば、途中で相手の局に必死がかかったときがありましたが、そのときはまだ完全に必死がかかっているかどうか分かっていませんでした。ですから、勝利を確信したのは、最後の詰みが分かったときですね。
考慮時間も全部使い切ってしまっていましたし、非常にギリギリの状態でした。他の棋戦であれば、持ち時間も十分にあるので早い段階で勝利を確信できることが多いのですが・・・・・・。

2016年度 将棋日本シリーズ 東京大会 JTプロ公式戦 決勝戦

佐藤天彦名人との「決勝戦 東京大会」では終盤まで佐藤(天)名人の優勢で対局が進んだが、見事逆転勝利。大盤解説の木村一基八段は「苦しい将棋を粘り強く指し続けたのが勝因です。これはなかなかできないことですよ」と集中力を讃えた。


最初から最後まで全力で対局に挑んでいます

──豊島JT杯覇者にとって、「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」とはどのような棋戦ですか? 初出場する前は、すごく出てみたい棋戦でした。でも一方で持ち時間が短かったり、大盤解説の声が聞こえたり、自分にとっては困難な状況になることも考えられるため、苦手な棋戦だろうなと思っていました。また公開対局に関しても、将棋まつりでは経験がありましたが、ほとんど負けていましたし、そういう状況では集中力を持続することができなかったので・・・・・・。しかし、実際に昨年出場してみると、そんなに気になりませんでした。相性がいいのかもしれませんね。

この棋戦は持ち時間が最も短いので、集中することが大切だと思っています。持ち時間の長い他の棋戦であれば最後に向けて集中力を高めていくことができますが、この棋戦では最初から最後まで全力で対局に挑んでいます。また公開対局は多くの方に観戦していただけるので、それが非常に励みになりますね。この棋戦に初めて挑んだ2015年度の一回戦第三局(佐藤康光九段)のときは、前列で観戦していたこどもの「次はあの手を指すだろうな」という声が聞こえてきて、しかもそれが結構筋のいい手だったので、「すごいな」と思いながら指していました(笑)。

対局前の習慣もいつもとは違いますね。他の棋戦であれば、対局前は将棋の勉強を一切せず、早めに盤の前に座って駒を並べます。そうすると気持ちが高まるというか、リセットされる感じになりますね。あと、並べ終わった後にもう1回全部の駒に触って整えたりすることも多いです。でも「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」ではそれができないので(笑)、対局前に詰め将棋を解くことで頭の体操をし、最初から考えられる状態にしておきます。

豊島将之JT杯覇者
──豊島JT杯覇者は早指しは得意なのですか? 棋士になったばかりのころは非常に苦手でした。自分の納得がいくまで考えられない状態で指してしまうと、納得がいかなかった局面のことが頭の中に残ってしまってなかなか勝てなかったんです。でも、最近は目の前の局面に集中できるようになったことで、これまでよりも勝つことができるようになってきましたね。だからといって得意と言えるかどうかまでは分かりませんが。ただ、悪手が出てしまうのも今の自分の力では仕方のないことですし、「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」では前の手は気にしないようにして、目の前の局面に集中することをすごく意識して指すようにしています。

──2017年度大会はディフェンディングチャンピオンとしての出場になりますが、抱負をお聞かせいただけますか? 自分はディフェンディングチャンピオンではありますが、出場棋士の12名の中では恐らく一番実績がないと思っています。格上の方ばかりなので、挑んでいくというかぶつかっていく気持ちで、目の前の一局に集中して頑張りたいですね。
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