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4年ぶりの日本一! オールストレート勝ちで見せた「広島に勇気を!」

2018/12/27COLUMN

5日間にわたり熱戦を繰り広げた「平成30年度天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会」(以下:天皇杯)にて、JTサンダーズが4年ぶりの頂点に輝いた。大会前の時点でリーグ戦では4位と満足のいく結果を残せていなかった。では、いかに頂まで登りつめたのか、その道のりを振り返る。

オールストレート勝ちの完全優勝

2014年以来、4年ぶり3度目に制した天皇杯は失セットゼロ、まさに完全優勝だ。勝利直後のコートで、ヴェセリン・ヴコヴィッチ監督は喜びを露わにした。
「我々は昨年から若いラインナップで臨む、まだ成長過程のチーム。しかし、このチームは2014年の時と同様に、頂点に立つ力を持ったチームだ。我々の挑戦をサポートしてくれたすべての方々に感謝を述べ、そして何より、素晴らしいことを成し遂げた我々の選手、スタッフに心から『おめでとう』と伝えたい」。
立つべくして頂点に立つ。JTサンダーズの戦いぶりは、平成最後の天皇杯王者にふさわしいものだった。

勝負のカギになった「攻めのサーブ」

初戦から危なげなく勝利する中、ひとつ、勝ち上がるまでの山があったとしたら転機になったのは準々決勝。現在リーグで首位を走るサントリーサンバーズとの対戦だった。
リーグでは2試合続けてフルセットで敗れた相手でもある。このまま終わらず勝利することはもちろん、これからの対戦に向け「JTは強い」と思わせるためにも、相手の長所を消し、こちらの武器で上回る。そんな意思表示のごとく、試合序盤からサーブが走りサンダーズが主導権を握り第1セットを危なげなく先取した。

第2セットも優勢は変わらず。サントリーの攻撃に対しても深津旭弘、井上航の好レシーブで応戦し、相手に流れを渡さず、要所はトーマス・パトリック・エドガーと劉力賓、サンダーズが誇る2枚看板の高い攻撃力で着実に得点する。さらに攻守で存在感を発揮したのが小野寺太志だ。今シーズンは特に重点的に取り組んできたというサーブが効果を発揮し、サイドアウト時だけでなく「大会前から(セッターの)深津さんとコミュニケーションを取り合って、タイミングや高さを確認し合ってきたので、自信を持って(攻撃に)入ることができた」というスパイクも次々決まり、追い上げに転じようとするサントリーを突き放す。
2セットを先取して迎えた第3セットも21-22と劣勢の場面から小野寺のサーブで崩して相手のミスを誘い、23-23からはエドガーの強烈なサーブで試合を決め、ストレートの快勝で準決勝進出を決めると、小野寺は笑顔で言った。
「僕がサーブを打つ前は劉、後にはエドガーが控えているので『自分が攻めなきゃ』と気負うことなくいいサーブを打てるのが、すごく大きいです。まだ1年目で、僕は日本一になったこともないですが、自分ができることを精いっぱい、1つでも多くやりたいと思ってプレーする。今までの課題を活かして二度負けた相手に勝つことができてうれしいです」

1週空き、迎えた準決勝。対するはやはりリーグではフルセットで敗れた豊田合成トレフェルサだ。戦術遂行能力が高い試合巧者をどう制するか。勝敗を左右するビッグポイントは、試合開始直後に訪れた。
開始直後、サーブは主将の山本将平。コートの中央から真っ直ぐ放たれたサーブはそのままエースとなり、1-0。1本目のプレーで鮮やかな先取点を挙げ、続いて劉のブロックポイントで2-0。最高の滑り出しを飾った。
相手の豊田合成にとっては「準備してきたものの裏をかかれる形になり、あの1点が大きかった」という山本のサーブなのだが、実は狙いすましたものではなかった、と山本は苦笑いを浮かべる。
「エースを取ろうと思って打ったわけではなく、まずはミスせず相手を崩せたら、と思って打ったサーブでした。うまくミートできず、狙った場所とは少しずれてしまったのですが、結果的にそれで1本目のポイントを取って勢いづけることができてよかったです」
第1セットを先取し、29-27というスコアが物語るように、両エースの打ち合いとなった第2セットも連取。さらに勢いを得たサンダーズは第3セットも豊田合成の追随を許さず、エドガーの豪快なブロックポイントで試合を決め、決勝進出を果たした。

全員の長所を活かし「広島のために勝つ」

決勝の相手は東レアローズ。準決勝で0-2からフルセットの末に勝利を収めていることに加え、リーグでは勝ちきるはずの試合を落とすなどなかなか調子に乗れず、天皇杯をきっかけに浮上したいというのはサンダーズと同じだ。
今シーズン初、そして平成最後の天皇杯覇者になるべく、互いの武器がぶつかり合う第1セット。準決勝と同様にジュースにもつれこむも、勝敗を決したのはまたも小野寺のサーブだった。守備を固めるべく投入された相手レシーバーとウィングスパイカーの選手の間を狙ったサーブがポイントとなり26-24で接戦を制した。

続く第2セットは大量リードした状況から追い上げられ、あわやという場面も見られたが、常にチームを落ち着かせ、最善の策で立て直したのがセッターの深津だ。単にエース頼みではなく、ミドルを使い、山本のスピードを織り交ぜ、攻撃を分散させフィニッシュを託す。好不調の波を生み出すことなく、すべてのスパイカー陣が50%を超える決定率を叩き出した背景には、高さやスピード、それぞれの長所を活かし、なおかつ相手を上回る深津の丁寧なトスワークがあってこそだ。
自分は主役でなくていい。常々そう口にする男は、天皇杯でも変わらない。
「僕が目立つ必要はない。サーブも自分で点を取ろうと無理をしなくていいし、アタッカーが目立って、活躍して勝つのが一番。戦うごとにチームとしての形がすごく見えてきたし、僕自身も大会、試合を通して手応えを感じられるようになりました」

ビクトリーポイントを決めたのは、エドガー。来日2年目の最強エースは「待ち望んでいたタイトルを手にして本当にうれしい」と表情を緩め、続いて勝利のコートインタビューに立ったリベロの井上が言った。
「今年、広島は大きな豪雨災害でたくさんの方々が被害を受けました。苦しい思いをした方々にこの優勝で少しでも勇気を与えられたらうれしいし、地元の広島の方々とこれからも一緒に戦って、もっと喜んでもらえるような試合をし続けたいです」
すべての選手、スタッフの思いは同じ。共に歩むホーム、広島の人たちのために――。
1つのセットも失うことなく制した強さと、その結果で得られた自信。それはかけがえのない武器になるのは間違いない。だが、戦いはまだまだこれから。ここがゴールではない。天皇杯を制し、ここから、さらなる高みに向け、サンダーズは幾多もの思いを背負い、戦い続ける。

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