JTサンダーズ
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新生「V.LEAGUE」は準優勝で閉幕
頂点まであと一歩の悔しさを晴らし、来シーズンこそ日本一をつかむ!

2019/04/19COLUMN

昨シーズンはV・ファイナルステージに進出したが、惜しくも3位という結果に終わったJTサンダーズ。昨シーズンの悔しさを糧に「2018-19 V.LEAGUE」初代王者を目指し臨んだV・ファイナルステージの激闘を振り返る。

一戦必勝の短期決戦のファイナル6

V・レギュラーラウンドを4位で終え、ファイナル6へ。奇遇にも昨シーズンと同じ順位で、ファイナル6初戦も昨シーズン同様、フルセット勝ちからのスタート。重なる偶然にセッターの深津旭弘は「去年と同じくいいゲンを担いで上位へ進みたい」と笑い、ミドルブロッカーの小野寺太志は「内定選手だった去年も今年も、ファイナル6は勝ちからスタートしたので、ここから一気に走りたい」と意気込んだ。
上位陣を倒さなければファイナル3、ファイナル進出が絶たれる中、最初の大一番となったのはレギュラーラウンド2位のサントリーサンバーズ、同1位のパナソニックパンサーズとの連戦だった。
一戦必勝の短期決戦で、上位チームとの対戦。まさに“負けたら終わり”とも言うべき状況のサントリー戦で、チームに勢いをもたらしたのはトーマス・パトリック・エドガーだ。セットカウント1-1で迎えた第3セット、8-7から4本のサービスエースを含む連続得点で圧倒、25-14と大差でこのセットを連取し、ジュースにもつれ込んだ第4セットも自らのサービスエースで31-29。大熱戦に決着をつけた。V・ファイナルステージに向け、サーブのトスを修正してきたという大黒柱は「次に進むためにはとても重要な戦い。アグレッシブにサーブを打ったことが勝利につながった」と笑みを浮かべた。
2日連続のジャイアントキリングを目指しパナソニック戦に臨むも、ミスの少ない相手に対し要所でミスが目立つ展開となり、結果はストレート負け。それでも翌週の堺ブレイザーズ戦を勝利し、ファイナル3進出の可能性は最終日の豊田合成トレフェルサ戦へと持ち越された。

抜群のチーム力でファイナル6を突破

最終日までJTサンダーズに加え、東レアローズ、サントリーと3チームがファイナル3進出の可能性を残す中、最終順位はポイント、セット率で決まる。2セットを取り1ポイントを取ればいいとはいえ、バレーボールは算数のように簡単ではない。漂う独特の緊張感。ゲームメイクを担う深津は「絶対バタバタすると思っていたので、ゲームをコントロールしようと思っていた」と言う。だが、いい意味でその予感は裏切られた。

主将の山本将平、リベロの井上航が安定したパスを深津に返し、エドガー、劉力賓の両外国人に加え、ミドルブロッカーの安永拓弥、小野寺がそれぞれの持ち味を存分に発揮。深津が「(セッターの)自分が助けられた」と振り返ったように、危なげない試合展開で2セットを連取。この時点でファイナル3進出を決め、メンバーの大半が交代したが、圧巻はここから。この試合が最終戦となるため、JTサンダーズと同様、高いモチベーションで臨む豊田合成に対し、八子大輔、筧本翔昂といったベテランや金子聖輝、武智洸史の若手が躍動。リベロの唐川大志の好レシーブもチームにリズムをもたらし、最後は八子のバックアタックで25-16。2ポイントのみならず、3-1で勝利したJTサンダーズが自力で堂々とファイナル3進出を果たした。
重責の中で迎えた一戦を勝利し、ヴェセリン・ヴコヴィッチ監督は安堵の笑みを浮かべ、選手たちを称えた。
「負けられないプレッシャーの中、とても素晴らしい内容だった。第3セットからリザーブの選手たちがコートに立ち、ベストパフォーマンスを見せたことも、なにより素晴らしい結果でした。我々がトップ3にふさわしいチームだと証明できた」

ファイナル3で得た自信

昨年は夢破れた場所で、強くなった姿を見せる。東レとのファイナル3は、正にそんな意地と思いの強さを示すかのごとく、力と力がぶつかり合う激闘となった。どちらが勝ってもおかしくない状況で、フルセットの熱戦を制しJTサンダーズが先勝。そして勝利の余韻に浸る間もなく、翌日の決戦も第1、2セットはJTサンダーズが先取。決勝進出に王手をかけたが、第3セットを奪われ、第4セットも22-24と東レにセットポイントを握られる。
連日のフルセットとなるのか。独特の空気が漂う中、セッターの深津はその前のプレーでミスをした小野寺にトスを上げる。
「あの場面でミドルを通せるかというのは確かに大事です。でもそれ以上に、本当の意味で優勝を狙う、優勝に値するチームになるためには1つのミスで落ちるようじゃダメだし、あそこでお前が決めろよ、と。結果だけじゃなく、とても大きな1本で、1点でした」
小野寺のBクイックが決まり23-24、そして小野寺のサーブから相手のミスを誘い24-24。決勝進出をかけた大一番と呼ぶべき、まさに手に汗握る熱戦に決着をつけたのはエドガーだ。山本のサーブからレシーブでつないだボールを豪快に決め、28-26。連勝でファイナル進出を果たし、小野寺は「去年悔しい負け方をしたので、ようやくその思いを晴らせた」と喜んだ。

ファイナルで突きつけられた悔しさ

そして、迎えた頂上決戦。
誰もが立てるわけではない、特別な場所。
暗転した中、スポットライトに照らされながら一人ひとり、名を呼ばれながらコートへ走る。新生V.LEAGUE初代王者、そして天皇杯に続く二冠達成に向け、JTサンダーズは4シーズンぶりに決勝の舞台に立った。
V・レギュラーラウンドを首位で走り、昨シーズンに続いての連覇を目指すパナソニック。山本が「リスクを恐れずサーブで攻めてくるチーム」と言うように、ジャンプサーブやジャンプフローターサーブを織り交ぜ、守備を崩そうと攻め込んでくる。だが、相手の攻めに対してひるんだら終わり。まさにそんな姿勢を示すかのごとく、ブロック、スパイクで存在感を発揮したのが安永だ。
今シーズンは層の厚いミドル陣の中、攻守で貢献。東海大学時代から共にプレーしてきた深津も絶大の信頼を寄せており、安永も「ファイナル6、ファイナル3の苦しい状況を勝ち抜いて来た自信があった」と言うように、緊張感が伴う決勝でも77.8%という両チーム最高のスパイク決定率に加え、「ミーティングの成果が出た」というブロックが6本。ヴコヴィッチ監督も「安永はパーフェクトだった」と称賛する結果を残したが、それでも勝負所で確実に点を取るパナソニックに対し、わずかに一歩及ばずフルセット負け。内容は完全に相手を上回っていた手応えがあっただけに、安永は「とにかく悔しい」と肩を落とした。
再び気持ちを切り替え、逆転勝利を目指そう。まだ日本一への道は絶たれたわけではないのだから。
誰しもがそう思い、前週以上に強い意志を持って臨んだグランドファイナル。愛知から東京へと舞台を変え、第1セット序盤から安永、小野寺の攻撃が冴える。23-24とセットポイントを握られるも、深津のサービスエースでジュースとし、大逆転勝利に向けた期待が高まるも、連覇を目指すパナソニックの勝利への意志がJTサンダーズを上回る。24-26で第1セットを落とすと、試合の流れはパナソニックへ。ここまでV・レギュラーラウンド、V・ファイナルステージを通してチームの柱であり続けたエドガー、劉に対するマークも厚く、なかなか突破口が見出せないまま第2セットも失う。
第3セットはエドガーに代わった八子が、昨年のファイナル3を彷彿とさせる獅子奮迅の活躍を見せるも、一度失った流れを引き寄せるのは容易ではなく、第3セットは20-25。連覇の歓喜に沸くパナソニックの選手を目に焼き付けながら、選手たちは悔しさを噛みしめた。

2位を「糧になった」と言うために強くなる

最終成績は2位。若いメンバーが多いJTサンダーズにとって、この結果は悔しさこそあれ、十分に胸を張れる結果であるのは間違いない。
だが、敗れた悔しさ以上に胸の中を締める悔恨。山本はこう言った。
「悔いの残る試合をしてしまいました。ベストを尽くすという意味で、これが自分たちのベストだったのか、というとそうではない。それが一番悔しいです」
優勝を狙う。日本一になる。その言葉に嘘はない。だが、頂点に立つためには今以上の覚悟が必要だ、と言うのは深津だ。
「たとえ今日優勝していたとしても、だからといって力がついた、と勘違いすることではない。準優勝も同じで、ここまで来たから偉いんだ、今回2位だから来年も決勝に来られる、というほど甘いものではありません。この結果は1つの自信にしてもいいけれど、勘違いしちゃいけない。準優勝という結果をもっと重く受け止め、次につなげるのは来シーズンの結果だと思います。このチームは可能性がありますが、可能性があるだけで取り組まなければ一緒。何で負けたのか。もう1回振り返っていきたいです」
あと一歩、頂点まで迫ったからこそ見えたその差を埋め、越えて行くために。

「この敗北が、いつか『糧になった』と言えるように、頑張っていきたいです」と山本が言った。
胸を張って「強くなった」と言えるその日に、目指すべき場所に立つために――。次こそは必ず、と誓い、また新たな一歩を踏みしめる。

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