「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)素案(修正版)」に関する日本たばこ産業株式会社の意見

日本たばこ産業株式会社(以下、JT)は、神奈川県(以下、県)が1月13日に公表した「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)素案(修正版)」(以下、条例素案(修正版))に関する意見を以下に申し述べます。

今般公表された条例素案(修正版)において、現在の厳しい経済状況や各施設管理者、県民やその代表である県議会での意見等を踏まえ、利用者・施設管理者双方の理解を得ながら受動喫煙防止対策を進めることが重要であるとの考えに基づき、「特例第2種施設」に関して、施設管理者の自主的な努力を尊重するとの方針を定められた事については、合理的でかつ規制の結果生じる影響とのバランスのとれた内容となるよう配慮されたものと認識しております。

しかしながら、条例素案(修正版)については、未だいくつかの解決すべき問題点が見受けられることから、今後よりよい条例案を県が策定されることに資するため、残された課題について、ご意見申し上げます。

分煙の基準および方法について、国法である健康増進法の第25条の運用に関する厚生労働省健康局長通知『受動喫煙防止対策について』(健発第0430003号 平成15年4月30日)では、「施設の規模・構造、利用状況等は、各施設により様々であるため、施設の態様や利用者のニーズに応じた適切な受動喫煙防止対策を進める必要がある。」とした上で、「『分煙効果判定基準策定検討会報告書』などを参考にしながら、(中略)適切な受動喫煙の防止措置の方法を採用する必要がある。」としています。

一方、条例素案(修正版)における「規則で定める基準」は、「分煙効果判定基準に基づいて設定します。」と示されていることから、分煙に関して、厳格かつ実施が困難な一律の基準が設定されるものと認識しております。

このような一律の分煙基準を強制することは、今般の厳しい経済状況を踏まえれば、「特例第2種施設」はもとより、それ以外の施設であっても、その多くが多大な設備投資コストを負担できず、「分煙にしたくても、禁煙とせざるを得ない」結果となり、売上の減少等、深刻な経済影響を発生させることが懸念されます。

また、一律の分煙基準を強いることは、すでに自主的な努力により分煙を行なっている多くの施設でさえ分煙と認められず、これまでの投資が無駄となるおそれがあります。

県は施設管理者の設備投資コストに関する負担を軽減するための措置を再考されるとともに、喫煙所の設置や分煙に向けた様々な方法を施設管理者に提示することが、上記の課題を解消する方法になると考えます。

知事が1月13日の記者会見の中で言及されていた「時間分煙」や、施設管理者が施設の喫煙に関する対応について入口に表示し、利用者がその表示を確認することによりその施設を利用するか否かを選択する「選択分煙」などの方法も、県が条例素案(修正版)の目的として掲げる「県民が自らの意思で受動喫煙を避けることができる環境の整備」に資する分煙の方法であり、県は全ての施設管理者に対し、このような幅広い選択肢を示すことにより、施設管理者は自らの施設の態様に合った方法を選択することが可能となり、県が目指す自主的な努力の促進に繋がると考えます。

県におかれましては、条例により影響を受ける県民、施設管理者や県議会等の意見に対し今後とも真摯に耳を傾けられ、合理的でかつ規制の結果生じる影響とのバランスのとれたより良い条例となるよう、さらなる検討を進めて頂くようお願い申し上げます。JTとしても分煙コンサルティング等の具体的協力を積極的に行なってまいりたいと考えております。

2009年1月21日
日本たばこ産業株式会社
代表取締役社長 木村 宏