ゴールドリーフ
葉たばこ原料の
開発プロジェクト
プロジェクトストーリー


加熱式たばこに適したたばこ原料
JTグループは、2019年、低温加熱型のたばこ用デバイスPloom TECH+の専用リフィルとして、多層的に広がる豊かなたばこ葉の香りと、喉奥で感じる刺激、深みのある濃厚な味わいの葉たばこ“ゴールドリーフ”を使用した銘柄を販売しました。
ゴールドリーフの開発プロジェクトは、葉たばこの研究開発を行う研究所※で行われました。数千種類の保有品種の中から最適な品種を厳選し、特殊な栽培方法を開発、さらに栽培に適した産地を選定し、純国産原料ゴールドリーフが誕生したのです。
PROJECT MEMBER
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基礎研究
増田 紳吾
SHINGO MASUDA
品種開発に関わる研究開発チームのマネジメントに従事。本プロジェクトでは、ゴールドリーフの栽培・乾燥に関わる生産技術の開発を担当。
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基礎研究
川名 みどり
MIDORI KAWANA
生産技術領域における葉たばこ内容成分に関する研究に従事。本プロジェクトでは、ゴールドリーフの栽培・乾燥に関わる生産技術の開発を担当。
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基礎研究
中木戸 文夫
FUMIO NAKAKIDO
生産技術領域における研究開発全般(栽培・乾燥・処理)に従事。本プロジェクト発足時に品種開発の総括を担当。
- “加熱だけで十分に味・香りを楽しめる葉たばこ原料”はないか?
- 一度は製品への搭載を断念したゴールドリーフ
- 取り組みが実を結び、ついに成し遂げた製品化
01.背景
“加熱だけで十分に味・香りを楽しめる葉たばこ原料”はないか?
2007年、R&Dグループで進めていた加熱式たばこの開発の過程で、燃焼しなくても加熱だけで十分に葉たばこの味・香りが発現される葉たばこ原料が求められ、研究開発に着手しました。当時、研究所が行っていた研究開発課題の多くは、国内栽培品種を対象とした病害抵抗性の強化や健康懸念物質※の低減を目標としたものでした。
「まったく新しい目標ができたので、ワクワクする気持ちと共に強い責任感と使命感を感じたのを今でも覚えています。」
メンバーたちはプロジェクト開始当時をこのように振り返ります。
まずは、求められる要素を備えた品種の棚卸しと、確認の作業からスタート。JTが保管する葉たばこの種は数千種類。「過去の研究資料を参照することで、現在ゴールドリーフの生産に用いられている品種はかなり早い段階で選定することができた」といいます。
一方、品種の選定と並行する形で、栽培や乾燥方法などの観点からも味や香りが濃くなる生産技術の研究も急ピッチで進行していきました。
- ※健康懸念物質:JTでは、たばこを燃焼させることによって発生する際に含まれる物質のうち、WHOが健康へのリスクの観点から含有量の低減を優先している9つの物質を含めた、健康への影響が懸念されている物質を健康懸念物質と呼んでいます。
02.アプローチ
一度は製品への搭載を断念したゴールドリーフ
生産技術の研究では、肥料の量や投入時期、収穫タイミングなどの水準を振った試験区を設定し最適な栽培条件を検討。
本来はラボまたは温室で基礎的なデータを取得した後、試験圃地での検証、そして、実際の葉たばこ産地での実証と段階的にスケールアップを行いますが、可能な限りスピーディに開発を進めるため、本プロジェクトではすべて同時並行で実施しました。
農作物の栽培に関わる試験は、気象や栽培環境の影響を受けるため、どうしてもデータの幅が広くなり、最適解を導くことは簡単ではありません。本プロジェクトでは、複数年に渡って蓄積した多くの試験データを複合的に統計解析することによって、適切な栽培条件を見出すことができました。
このように4年ほどかけて品種選定および生産技術の確立を成し遂げましたが、プロジェクトは大きな転機を迎えます。当初目標としていた製品への適用が見送られてしまうのです。
出来上がった葉たばこ原料は、一般の原料とは差別化されたものでした。そのため、開発に携わったプロジェクトメンバーは、確立した技術を何らかのアウトプットに繋げたいという強い思いをもって、その後も技術的な検討を続けました。
同時に、プロジェクトメンバー間ではもちろんのこと、関連部署とのコミュニケーションを積極的にとっていきました。次の開発品についてヒアリングを行い、研究所内の取り組みについて積極的に発信し、さらに、関連部所とのディスカッションを重ねることで、それぞれの技術に対する適切な理解を深めていったのです。
03.成果
取り組みが実を結び、ついに成し遂げた製品化
その後、継続的な取り組みが実を結び、ついにゴールドリーフがPloom TECH・Ploom TECH+の専用のリフィルに採用され、2019年に発売されました。
ゴールドリーフの製品化を遂げた時の思いを、メンバーたちはこのように振り返ります。
「研究成果が主要原料として新製品に採用され、多くのお客様に愉しんでいただけたことはすべての研究員にとって、この上ない喜びとなりました。」
このプロジェクトの成果は、研究員たちのモチベーションを刺激しました。
実は、ゴールドリーフに用いられている「JT-Sバーレー01」という品種は、数十年前に病害抵抗性の強化という目的で研究されていたものの、当時世に出ることはありませんでした。その頃の種子と記録が保管されていたことで、加熱式たばこの時代に復活したのです。
時代によりお客様ニーズ、規制の状況や製品形態などが変化する中で、積み重ねてきた研究結果を見直し、応用して当てはめていく。継続的な研究成果を応用する重要性を、このプロジェクトで再確認することができました。
一方で、紙巻たばこの知見に比べ、加熱式たばこなど新しい製品形態に適した葉たばこの知見はまだ乏しいことも事実でした。関連部署と積極的にコミュニケーションをとり、新しい知見やニーズを取り入れることの重要性も、メンバーが語ってくれました。
「JTグループ内の関連部署とコミュニケーションを図る機会が多く、プロジェクトを通して培った人脈が、現在の仕事にも非常に役に立っています。」
研究所における基礎知見の蓄積と、関連部署・生産農家などとのコミュニケーションによって生まれた相互理解が繋ぐ研究開発が、新しい時代の葉たばこゴールドリーフを生み出したと言えるでしょう。


