ABOUT JT

JTのM&A戦略

古くて新しい課題である日本企業のグローバル化と、JT独自のクロスボーダーM&A戦略

[ 海外たばこ事業販売数量の推移 ]1999年 RJRナビスコ社 米国外たばこ事業買収により獲得したもの 2007年 英国ギャラハー社買取により獲得したもの

世界で戦うための時間を買う

JTのライバルは強大です。1世紀以上も前から合従連衡が繰り返され巨大化した競合企業が、世界中で競争力あるブランドを数多く展開しています。JTが設立された1985年、強大なライバルに打ち勝つためのブランドをゼロから創り上げるための十分な時間は、JTにはありませんでした。
国内市場でのトップシェアの死守に固執し、何とか生き延びるという選択もあったかもしれません。しかし、グローバル市場で戦うために「時間を買う」という道を選びました。それはすなわち、クロスボーダー(国境を越えた)M&Aによって、バランスの良いブランドポートフォリオ、バリューチェーン、人財まですべてを一挙に獲得するということ。Organic Growth(自律的成長)の限界を超えるためのExternal Growth(外部成長)戦略という、真っ向勝負の道をJTは選びました。
ただし、M&Aは単なるモノの売買ではありません。両社が有する異なる文化や価値観を含めて融合できなければ、M&Aを行っても、大きな不安感から現場が混乱したり、かえって活力が損なわれることになります。それは、社内だけでなく投資家からの信頼を失うことにも繋がります。1+1であるはずのM&Aが、2以下の結果となりかねません。

「主体性」と「謙虚さ」をキーワードに

1+1のM&Aの成果を、2を上回る3にも4にもしていくため、JTは「主体性」と「謙虚さ」というキーワードを軸にM&Aを推進しています。 まずは、「自らの将来は自らが拓く」ことを考え、JTのDNAである「主体性」をベースに、社内の各分野のプロフェッショナルが集結して、投資銀行やコンサルタントに頼ることなく、独自に買収の検討や作業を進めます。同時に、M&A後の青写真や方向性を徹底的に検討し、着実かつスピード感を持って統合プロセスを行えるよう準備。また、買収後は、お互いの強みを最大限に引き出せるよう、出自に囚われない適材・適所・適時の人財配置を進め、買収先へ大幅に権限を委譲します。そして、適確なガバナンスのもとで「任せる経営」を実行します。相手の優れたところを積極的に認め、ともに学び合うことで、より大きな成果へとつなげていく。M&Aを行うことの根底には、JTのこのような思想があるのです。 このことから、現場の混乱や不安を最小限に抑え、ポジティブなマインドを醸成する基盤をつくり、クロスボーダーM&Aによるシナジー効果を最大化します。さらには、日本流を一方的に押しつけるのでもなく、買収先に飲み込まれることでもない、マルチナショナルで多様性に富んだ、本当の意味でのグローバルな事業体を作り上げることが可能になります。 こうしたJT独自のM&A戦略は、1999年のRJRナビスコ社からの米国外たばこ事業(RJRI)買収と、2007年英国ギャラハー社買収という、2度の大型クロスボーダーM&Aの事例に見ることができます。「主体性」と「謙虚さ」をキーワードに、JTはこれからも世界No.1たばこメーカーを目指して挑戦を続けます。

JTが世界で戦うための確固たる基盤を得た

M&A実績

PHASE.1 RJRナビスコ社の米国外たばこ事業を買収(1999年) 当時最大規模のM&Aを経て、海外に「もう一つの本社機能」を獲得。

背景

Organic Growthの限界を自覚して

設立以来、JTが掲げていた目標の一つが、「国内企業からグローバル企業へ」です。そのため、JTは、専売公社時代から国際化を目指し、グローバル市場への進出を模索し、輸出の拡大に取り組んできました。ところが、1990年代にはグローバル市場の販売数量が頭打ちに。国内における20~64歳の喫煙人口も、1998年をピークに減少することが明確になってきました。
国内市場とOrganic Growth(自律的成長)の限界を意識し、JTはクロスボーダーM&AによるExternal Growth(外部成長)の検討を始めました。

経緯

最後の、そして絶好のチャンス到来

RJRナビスコ社から米国外たばこ事業部門(RJRI)の入札を打診されたのは1999年のこと。RJRナビスコ社といえば1874年に設立。当時世界第3位の「Winston」、第5位の「CAMEL」といった200近いローカルブランドを有し、更には70カ国にも渡る販売網を保持する、世界第3位の老舗たばこメーカー。しかし、多額の負債を抱え、当時の企業価値は落ち込む一方でした。
そこでJTは、グローバル市場に勝負をかける絶好の、そしておそらくは最後のチャンスであると捉え、約9,400億円※で落札に踏み切りました。当時、日本企業によるM&Aとしては史上最高の買収額でした。それから、驚異的な早さ、買収から8カ月後には統合計画を策定し、海外たばこ事業を担うJTI(JT International)を設立します。グローバル経営の経験が豊富な旧RJRIの執行役員を経営陣に残留させ、「任せる経営」を実践しました。

※78億ドル。因みにJTの1998年度売上高は2兆7,570億円。

成果

グローバルプレイヤーとしてスタートラインに立つ

M&Aを経て、JTは、世界第3位のたばこメーカーに飛躍することができました。また、そのポジションだけでなく、「MEVIUS」に加えて、「Winston」「CAMEL」といったグローバル・ブランドも獲得。このことから、グローバルで展開するための強固なブランドポートフォリオを確立しました。加えて、特許権を含むノウハウや、グローバル人財も数多く獲得しました。それまで200億本という規模だった海外の売上は、一気に2,000億本以上へと急成長。そして、もうひとつの大きな収穫は、海外でのたばこビジネスを推進する、JTIという「もう一つの本社機能」を手に入れたことです。
M&Aによる最大の成果は「時間」を買ったこと。JTは、いくつもの成果を一挙に獲得することで、世界という表舞台に立ち、グローバルプレイヤーとしての道を新たに歩み始めたのです。

PHASE.2 英国ギャラハー社を買収(2007年) 前回の買収額を倍以上も上回る規模のM&A。そしてJTが得たもの。

背景

グローバル企業としてのさらなる飛躍

当時、日本企業によるM&Aでは最高額だったことからも、RJRナビスコ社の米国外たばこ事業(RJRI)の買収は、「空前のM&A」として世に知れ渡りました。しかし、JTのM&A戦略がそこでゴールを迎えたのではありません。M&Aにより獲得した世界第3位のポジションを強化し、さらにはその地位を足掛かりとしてトップメーカーとなるために、新たに大規模なクロスボーダーM&Aの検討を開始したのはRJRI買収からわずか数年後の事です。RJRI買収の目的は「日本企業JT」のグローバル化で、今回の目的はJTIを設立した「グローバル企業JT」が、さらに大きなスケールで活躍するための買収でした。

経緯

自らの手で買収から統合まで

専門家を頼らず、買収の検討から実作業まですべて自分たちで行いました。
ターゲットの企業価値を考え、買収によるシナジーとリスクを慎重に検討。そして、買収後の青写真を何度もシミュレーションし、選定作業を重ねた末、英国ギャラハー社を買収先に選びました。英国、アイルランド、オーストリアなどの市場に強い基盤を持つギャラハー社は、日本、台湾、CISなどの市場に強みを持つJTと相互補完できると考えたからです。買収による統合の課題やリスクも徹底的に検討し、同時に、可能な限り時間をかけずに迅速に統合できるよう、JTからJTIへ大幅な権限委譲も行いました。
そして、2007年に、RJRIの買収額の2倍以上となる約2兆2,000億円でギャラハー社の買収を果たしました。買収プロジェクトに関わったメンバーは統合作業の中心となり、プロジェクトを牽引。RJRI買収の経験から統合計画の策定スピードはさらに早まり、100日間というわずかな期間で完了。買収後すぐにギャラハー社に方向性を提示し、活発なコミュニケーションをとることで、統合後の不安や不透明感を解消していきました。

成果

No.1を狙えるポジションに成長

ギャラハー社買収によって、JTは世界第3位の地位を確立。シェアNo.2以上のマーケットが10へと拡大しました。そして、「BENSON&HEDGES」「SILK CUT」「LD」「SOBRANIE」「Glamour」といったブランドに加え、英国、アイルランド、オーストリア、スウェーデンなどの欧州での基盤も獲得。これにより、ブランド力も地理的にもバランスの取れた強固なブランドポートフォリオが打ち立てられました。それに伴い、技術や流通のインフラも強化され、海外での販売本数が急増。世界第1位のフィリップモリス(PMI)、世界第2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)と戦う準備が整いました。

これまで二度のクロスボーダーM&Aを通じてJTが手に入れたものは、グローバルマーケットや事業基盤、ブランドポートフォリオに限りません。海外事業を担う「世界本社」としてのJTI、マルチナショナルな組織、欧米流と日本流が高い次元で融合した経営スタイルなども手に入れ、JTは、真のグローバル企業へと変貌を遂げたのです。販売や生産、研究開発といった一部門の海外進出ではなく、「買収先の日本化」という単純なものでもない。JTは、日本企業をグローバル化していく上での「最適解」の一つを示しています。
今後は、M&Aによって獲得したリソースを最大限に活用し、「グローバル企業としてのOrganic Growth(自律的成長)」を模索すると同時に、将来的に成長が期待される新興国市場でのM&A等にも着手して、より強力なブランドポートフォリオや事業基盤の構築に努めていきます。

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