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人事部長、かく語りき。
自分の選択を、前向きに楽しんで

Profile プロフィール

1994年入社
人事部長
見島 昌行 YOSHIYUKI MISHIMA

1994年JT入社。浜松工場にて製造の最前線を経験した後、品質管理、R&D、ブランド、JTIジュネーブ出向など幅広い領域を担務。2014年には関西工場の製造部長を務め、2016年からは人事部にて主に人財マネジメントを統括し、2020年人事部長に就任。

100%の正解はないから

これまで採用や人員配置、研修に広く関わりながら、上手く伸びていく人とそうでない人をたくさん見て気づいたことがあります。それは「自分で決めることの大切さ」。例えば内定を承諾するか最後まで迷ってしまい、「母は別の会社を勧めている。自分では決められないから、強引にでも来いって言ってください」と言う学生がいます。そうやって誰かの意見で決めた人は、やはり入社後もなかなか上手くいかず、数年で辞めてしまうことも少なくありません。

意思決定において100%正しい選択肢があることは滅多になく、ビジネスの世界でも同じです。それでも決めないといけない。考えに考えて甲乙つけがたい選択肢が残った場合、最後は直感に頼るケースもありますが、他人の意見ではなく“自分で”決める。そして自らの決定に対して責任を持ち、その選択肢が正解となるよう全力を尽くす事が重要だと思います。壁にぶち当たっとき、人は「他の選択をすればこんな苦労はしなくてすんだのでは」と考えたり、「自分はこの選択が最善とは思っていなかったのに」と他責に逃避したりしますが、眼前の課題に正対しなければ壁を超えていく力はつかないと思います。

可能性を広げるための「総合職採用」

自らのキャリアを考えるにあたっては、まず「将来自分がこうありたい」という理想を持ち、そのために今何をすべきか考え、行動することが大切です。一方で、世の中は刻々と変化し、自身も成長していくのですから、ありたい姿も変わっていく可能性があることを知っていてほしいと思います。たとえゴールは変わらなくとも、そこへ到達するには実は幾通りものルートがある場合も。若い人の中には、どれがベストな道かわからないのに「このルート以外はありえない」と考えてしまっている人が多く見受けられます。「こうだ」と道筋を固め過ぎると、かえって視野が狭まり、可能性を制限してしまうことにもなりかねません。

JTが総合職採用という形式をとるのは、多様な視点から事業に関わり、多くの気づきを得る機会を提供するため。そしてありたい姿が変わってきた際に、その思いを実現するための制度的な障害を減らすためです。こうなりたいというビジョンがある人には、一度「本当に?」と問いかけてみる。そうなりたいのはなぜか、他のアプローチはないのか、10年、20年後はどうなのか。本人の意思を深掘りすることで、まだ自分では気づいていない可能性を引き出し、ときには方向転換できるよう背中を押します。そのため希望とは異なる部署にぽんっと配置されることもありますが、人の成長にとって「変化すること」が大きな要素だと考えれば、慣れた業務をこなすよりも新たな環境の中で必死にあがいている方が圧倒的に成長します。もちろん組織としての使命を果たしていくための安定性とのバランスを考慮する必要はありますが、個人の成長の総和が組織としての力になるはずなので、結果的に会社全体も成長していく、というのが私の考えです。

多くの部署を転々とし、ムダになったものはない

私がこう考えるようになったのも、自分自身がそうやって視野を広げてきた実感があるからです。大学で化学専攻だった私は、初期配属の工場でたばこの味づくりを担う原料加工または生産管理への配属を希望していました。ところが配属されたのは、たばこを巻き上げ包装する製品担当。機械系専攻の同期が多い中、化学専攻の私が包装機械の改作の仕事を任されたのです。手順書を読んでも、工具や部品名さえ分からず、図面も読めない。自分でマニュアルを作ったり、機械に詳しいベテランの方にへばりついて教えてもらったり、勤務時間外にも工場へ行って機械の動きを理解したり……とにかく必死でした。だけど少しずつできることが増え、仲間にも頼られるようになり、憧れの上司もいたので、当時は本社を含め他の部署への異動は全く希望しませんでした。会社の中で工場が担う役割の重要性も実感していましたし、独身寮の仲間たちと工場を独立させて、自分たちで経営したいと盛り上がっていたことを思い出します。

でもある時、海外に赴任していた同期の話を聞いて考えが変わりました。彼はまだJT製品が知られていない海外で、ときに身の危険すら感じながら、足を棒にしてオーダーを取り付ける仕事をしていました。私は工場に小ロットのオーダーが入ると、その歩留まりから「なぜこんなオーダーを受けるんだ? 現場の苦労が想像できない本社は何を考えているんだ」といつも文句を言っていたのですが、それは彼らが苦労の末にようやく取り付けたオーダーだったと知ったのです。工場だけ見ていても、あるべき工場へは導けない。そう気づき、外の部署をたくさん経験させてほしいと会社に希望を出しました。

その希望が聞き届けられたのかどうかは分かりませんが、その後、成分・製品分析を担う部門、品質管理、事業企画、商品企画など、短い期間で多くの部署の仕事を経験しました。どこへ行っても最初は何もわからない状態。悔しい思いもしましたが、転出する際には「もっとここでやりたいことがあったのに」と感じていましたし、思いもよらぬところで過去の経験が活きることもありました。各所でお世話になった方々とのネットワークは、今でもかけがえのない財産です。

都合のいい解釈で、自分を動機づける

ここで冒頭の「自分で決めることの重要さ」に戻ると、それは結局「置かれた状況をどう解釈し、どう動機づけるか」なんだと思います。私もこれまで、自分では選択肢にすら入れないであろう未知の領域に配置されることが多々ありました。例えば生産性を重視する工場から、データ分析が中心の部門に移ったときがそう。でも「この部門に品質・コスト・納期という観点を取り込むのが自分の役割なんだ」と都合よく解釈し、自分にやれることを考える動機にしていました。初めから効果的な動機づけが周囲から得られたならそれは幸せですが、そうでないからと言ってくすぶっていても損だと思うんです。不満なら辞めるという選択もあった中、最後に残ったのは自分で下した決定。だったら、どんな心持ちでいれば前向きにワクワク働けるかを考えたほうがいい。自分で決めたことに向かっていけば、おのずとその道は楽しくなります。

「楽しい」というと、少し語弊があるかもしれませんね。私の先輩に「楽しい仕事なんてない。仕事は辛くしんどいものだ。でもそれをやり切って、仲間と飲み行くときは心から楽しいな」と話していた方がいて、そんな考え方も私は好きです(笑)。さまざまな捉え方はあると思いますが、一番避けたいのは、自己否定的な思考に陥ってしまうこと。同じ個性や素質でも、環境によって悪しく出るときと評価されるときがあります。ネガティブとポジティブは表裏一体。就活中も入社してからも、自分の特性をしっかり把握して、積み重ねてきたものにある程度自信を持って、その活かし方を見極められるようになることが大切です。

「こんな人が欲しい」とは言わない

採用を担当していると、どんな人財を求めていますかとよく聞かれます。答えから逃げるわけではないのですが、個人的には、求める人を限定しないほうがいいと思っています。JTには本当に多様な人がいて、腹が立つこともありますが思いがけない刺激ばかりで面白い。採用においても「この人はこれからどう変わり、JTにどんな変化をもたらしてくれるだろう」と期待できる人に出会いたいと思っています。強いてポイントを挙げるなら、マグマ含有量の大きい人。メラメラと目に見えるタイプでも、内に秘めるタイプでも構いませんが、情熱のエネルギーは大きければ大きいほどいいですね。これまで趣味や部活などに注がれていたそのエネルギーを、もし会社の仕事にも向けられたら、必ず大きな成果につながります。エネルギーの投入先を見つける機会を提供し続けることは、我々人事部や会社の役割です。

会社選びという視点で考えれば、「会社が事業を通じて社会に何を提供しようとしているのか」という点に共感できることは重要かなと思います。そこへの共感があれば情熱を注ぐ対象とも出会いやすくなりますし、辛い状況を乗り越える支えにもなる。最初にも言った通り100%の正解なんてありませんし、いま見えている世界がすべてでもありませんが、それでも「自分は何者で、世界に対して何をしたくて、この会社でそれが実現できるのか」を、つねに自分自身で考え続けてほしいと思います。

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