2021/10/12

INTERVIEW

「2021-22 V.LEAGUE」開幕直前!
吉原知子監督インタビュー

「2021-22 V.LEAGUE」開幕直前! 就任7年目となる吉原知子監督に今シーズンの展望を伺いました。

昨シーズンを振り返って、課題や収穫、どんなシーズンでしたか?

一試合一試合戦うごとにいろんな意味で成長して、絶対勝たなければいけない試合でモチベーションもコンディションもピークに持って行くことができました。それはいいところだったと思っています。
ですが細かく見れば、数的優位にこだわってきた中、4人攻撃ができている試合もあればそうじゃない試合もあったので、常に数的優位な戦いをするという部分ではもっと磨いていければ、という課題も残りました。

吉原監督は2020-21 V.LEAGUEの開幕当初から「目標は連覇」と口にしてきました。なぜあえて口にしてきたのでしょうか?

一回勝つことと、トップに君臨し続ける大変さは全く違うものです。実際に連覇するのは初めてという選手が多かったので、私が選手たちに聞いたのは「何で連覇したいの?」ということ。
ただ単に一度勝ったからまた勝ちたい、というのでは難しいと思っていたし、だからこそ「なぜ?」というのがすごく大事だと思ったのですが、選手たちからは「一回勝つのも大変だったけど、もう一回勝つということが本当に強いと証明できることだと思う」とか、「連覇したことがないから自分のためにチャレンジしたい」という言葉が出てきました。そこは非常に心強かったし、だからこそあえて「連覇」と私も口にしてきました。

実際にシーズンがスタートしてからは想定通りでしたか?

まずコロナの影響でリーグ戦以降、すべての試合が中止になり「勝った」という余韻に浸ったまま長い時間が過ぎたことが誤算でした。いつまでも「勝った」と思っているかもしれないけれど、他のチームは「絶対に負けない」と必死でやっているかもしれないのに、これじゃダメだと。

そういうこともあり、まずは気持ちを切り替えさせることが大変でした。リーグ戦が開幕してからは東レアローズさんがダントツで強さを証明していましたし、負け続けていたので何とか勝ちたいと思う中、令和2年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会で結果を出すことができました。
あれが一つのポイントだと思っています。トーナメントなので毎日違う相手と当たる中で、どれだけ対応力、修正力が養われていくかということを意識する中、いい形で競り合いをものにしたことで自信につながりました。決勝で東レさんに勝てたのも、準備してきたことをうまく出せたことが自信になったと思います。

皇后杯で勝った後、リーグのV・ファイナルステージに向けてチームはどう変化しましたか?

V・レギュラーラウンドでは東レさん、NECレッドロケッツさんに一度も勝てないまま準決勝でNECさんと対戦することになり、2セットを取ってからNECさんに返され、負けてもおかしくない試合でした。でもその状況から冷や汗をかきながらも勝つことができた。そこで肝が据わった、という感じはありましたね。
東レさんとの決勝も緊張はありましたが、選手がやるべき役割をそれぞれ果たし、最後は大きなプレッシャーを抱えながらも勝ち切れてよかった、と。一回勝つのとこれからずっとトップに君臨し続けるのはこれほど違うのか。今年以上に来年はもっと大変だ、と身を持って感じてもらえたシーズンだったのではないでしょうか。

3連覇に向けてのシーズン、今シーズンはどのようなことを重視してきたのでしょうか?

昨年同様、なかなか大会も行われず、練習しても練習しても発揮する場がないのは選手にとって苦しかったと思います。ようやく2021V・サマーリーグ女子西部大会が開かれる、という時に体調不良の選手が出てしまい、辞退することになりました。そこでモチベーションが切れてしまったり、体調不良の選手は自分のせいだと責任を感じてしまったりする。

そういった状況に直面した時にどう気持ちをコントロールするかというのも難しかったですし、ようやく一つずつ乗り越えて、さぁ次へ向かおうという時期に日本代表選手が帰ってきました。彼女たちも思うような成績が残せず、責任を感じて帰ってきましたのでそのケアも必要でしたし、そこで私自身も対応力が求められたと思います。
昨年以上にもっと大変なことが起こるかもしれないと身に染みて感じたからこそ、いかなる状況にも向かって行ける対応力をつけてほしい、と選手には伝えました。

その中で成長を感じるところ、もっと成長してほしいと感じるところは?

これまで試合の出場機会がない若い選手たちにも、本気でポジション、レギュラーを取りに行ってほしいと思っています。今はまだあの人がいるから、と遠慮しているのかもしれないですが、勝負の世界でプロの世界、実力の世界ですから、力があれば私は試合に出します。
それぐらいの覚悟を持ってほしい。バレーボール選手としてお給料をいただく以上、試合に出られるために技術を磨く、できないなら練習する。それが当たり前だと思いますし、そのためにもまずは人間性を磨いてほしいです。

これは私の考えですが、人間性が縦軸で、スキルやメンタル、選手としての能力が横軸としたら、まず人間性の縦軸が伸びないと横のスキルはついてこないし、伸びていかないと思うんです。最初は不安かもしれないし、できない理由をつけて逃げてしまいがちですが、できると思ってやらないと、いつまでもできない。
私も選手たちにうるさく言いますし(笑)、求めることは多くありますが、できないことをやれとは言いません。大事なのはできるかできないかではなく、やるかやらないかの話で、なぜそれにチャレンジしないのか、と。もっと貪欲にポジションを取りに行ってほしいし、一つのボール、プレーに対して貪欲になってほしい。その意識は変えていきたいし、変えなければいけないと思いますね。

今シーズンは対戦方式が変わり、第2Legまでは土日で同じチームと対戦します。やりにくさ、やりやすさも含め、どんなことを重視しなければならないと思いますか?

たとえば負けた後もすぐ翌日、同じチームと戦う中でどれだけ相手を分析、修正できるかの力が問われると思っています。修正力が高いチームならば、きっと1日目と同じ戦い方はしないし、2日続けて負けることもない。
逆に勝てば相手は絶対に前日と違うことをしてくるのはわかっているわけですから、そこでいかに対応できるか。その対応力も重要になる。個々の力もそうですが、誰が出ても同じレベルのパフォーマンスができて、いろんなチームに変化できる、どれだけ準備できるかということも重要だと思います。

さまざまな世界大会も開催され、多くの競技に関心が寄せられる中、バレーボールの魅力をどのように伝えたいと思いますか?

まず、見ている方々が一番欲するのは、勝負に対する姿勢や、その試合に対する熱量をどれだけ持って臨んでいるか、展開できるかということではないでしょうか。私が観客だったら、スポーツを見て何を感じたいかと言われたらやはり熱量だと思うんです。

まずそれが大前提のベースにあって、お互いの熱量がぶつかり合う中、バレーボールというのはボールを落としてはいけない競技なのでどれだけ組織的に戦い、駆け引きをするか。そこに面白さが生まれると思いますし、もしも実際に見ていただける機会ができたら、味わってほしいのは「音」ですね。
スパイクを叩く音や、タッチして当たる音、あの迫力は現場でなければ伝わらないですし、そういう根本的な魅力はもっと伝えたいし、伝わってほしいと思います。

見る人に伝わる熱量、確かにとても大切です

たとえば2019年のラグビーワールドカップもそうですよね。自分たちよりも身体が大きくて、スピードのある選手に対して、一度ダメでも何度も立ち上がって、最初は1人だったら次は2人、3人で常にタックルへ行く。
そこでかわされたとしても、またリロードして3人で行く、絶対にボールを取ってやる、という熱量というのは見ている人にも絶対伝わるものですし、すごく本気でやっているものに対して心が熱くなると思うんです。

もちろんスター選手がいる、すごい選手がいるというのも一つのきっかけや関心の材料にはなるかもしれませんが、まずは熱量、その姿勢に全力を出してやりきる姿勢ですよね。
立ち向かう姿勢を見て「頑張れ!!」と熱くなると思うし、そういう姿が見られなかったら、バレーボールを見たいとは思わないのではないでしょうか。
五輪では女子バスケットボール日本代表も銀メダルを獲りました。決勝では高さでも技術でも上回るアメリカには上からボールを通されるシーンもありましたが、それでも諦めずにまた何回も走って、小さくて届かなくてもパスコースやシュートコースを塞ごうと邪魔をする。

そういう姿勢に心打たれて、「頑張れ!」と思いますよね。それは競技が違っても同じであるはずで、だからこそ、熱量という面でどんな競技よりも女子バレーボールの試合はすごい、この熱量が見たかったんだ、だから勝とうが負けようがバレーボールの試合を見れば心が熱くなるんだ。
そう思ってもらえるような試合を一試合でも多くやっていかないと、見に来たいとは思ってもらえない。どんな時でも勝負に対する熱量が伝わるような、そういう試合をしたいし、しなければいけないと思います。

改めて、今シーズンの目標を教えてください

3連覇です。みんな3連覇なんてしたことがありませんし、とても大きな挑戦です。でもだからこそ「したい」ではなく、そのためにまずは自分たちがやってきたことを全力で、熱量を持って出しきる。
一つ一つの試合で勝利を重ねて、その先に優勝があればいいと思いますし、もちろん勝つことにこだわりながらも同じぐらい熱量も大事にしたい。チームとしてはもちろん、3連覇を取りに行きます。そして一試合一試合、自分たちの熱量をお客さんに伝えられるような試合をしたいですね。

最後に、応援してくださる方々へのメッセージをお願いします

私たちのチームが掲げているのは「全員攻撃、全員守備」です。とにかく全員がディフェンスできて、全員が攻撃する、そんな全員バレーを目指していますが、そこからさらに一歩踏み込んで、ぜひ今シーズンはその中でどんな駆け引きが繰り広げられているかも注目していただきたいです。
ちょっと玄人寄りな見方になってしまうかもしれませんが、じっくり見ていただければ、バレーボールはシンプルなようで駆け引きの繰り返しです。サーブをどこに打って誰がブロックしたか、このコースにサーブを打っていたからかな、と想像する楽しみを味わってほしいですね。

勝ってよかった、なぜ負けるんだ、あの人がすごいというだけでなく、たとえば私たちのチームならば全員攻撃を掲げているのでバックアタックの迫力も見てほしいし、守備に力を入れているのでディグのしつこさも見てほしい。加えて、もしかしたら今、わざとこの選手にサーブを打っているのかな? とか、どうして今の攻撃はブロックが飛ばずに決まったんだろうとか、たくさんの疑問を持って、そこに面白さを感じていただきたいですね。
いろんなことが見えてきたら、バレーボールはもっともっと本当に楽しいですよ、というメッセージも込めて、また今シーズンもぜひみなさんの心が熱くなるような試合を一試合でも多くできたらいいと思っていますので、応援よろしくお願いします。ぜひ楽しんで見てもらえるように、私たちも頑張ります。