2021/12/17

COLUMN

苦戦が続く中でも
着実につかんだ手応え
王者奪還に向け、JTサンダーズ広島が
迎えた新たなスタート

ルーキーの起用からスタートした2021-22 V.LEAGUE。
苦戦が続く中、若手を鼓舞して支える経験豊富な選手たちの存在があった。

ルーキー新井、坂下、セッター金子の活躍で開幕勝利

昨シーズンの悔しさを活かし、這い上がる。JTサンダーズ広島が王者奪還に向け新たなシーズンを迎えた。10月15日、全チームのスタートを切りナイトゲームで迎えたジェイテクトSTINGSとの開幕戦。昨シーズン終盤から内定選手として出場してきたルーキーの新井雄大、坂下純也がアウトサイドの対角に入り、セッターは金子聖輝。新たな挑戦を掲げるシーズンの開幕にふさわしい、フレッシュなメンバーがコートに立った。

原秀治監督が「若いからというだけでなく、夏場の練習、残してきた数字がよかったので、迷わず彼らを起用した」と言うように、武器とするジャンプサーブや、バックアタック。豪快なプレーで新井が得点を重ねれば、攻撃のみならず守備でも軸となり、要所で相手の嫌がる巧みな技を見せる坂下も負けじと得点する。両ルーキーの活躍がチームに新たな力と刺激を加え、開幕は3-1で勝利。内定選手としてではなく、改めてつかんだ勝利に新井は「若いからと遠慮することなく、どんどん積極的に。2人揃って、勢いを出してやっていきたい」と話し、坂下は「プレッシャーを感じることなく、まず自分のプレーをしようとミスなく守りから固めていくことができてよかった」とそれぞれ笑顔を見せた。

翌日はフルセットで敗れはしたが、相手に2セットを取られたところから盛り返した末の敗戦であり、チームとしてやるべき方向に進むことはできている。スターティングセッターとして迎える初めてのシーズンとなった金子も、手応えを示した。
「耐え続けて、ゲームをつくることができたのはすごく大きかったと思います。これからも、やってきたことをやり続けていくしかないし、夏場に準備してきたことをコートの中で出すことしかできない。僕も周りに声をかけるように意識したり、リーグ前に学んだチームとしての教訓もある。戦う前にしないといけない準備を怠ったらゲームにもならないと実感しているので、誰が入っても変わらずに声かけや、いつ何時でも、できる準備をしてこれからの試合にも臨んでいきたいです」

若手を鼓舞し、支えるエドガーの言葉

さらに次節のサントリーサンバーズ戦では、新井、坂下と共に同じくルーキーの西村信もリベロとして出場。高校、大学ではエースアタッカーとして活躍してきた西村がリベロに転向したのはJTサンダーズ広島に入部した後で、まだ経験は浅いがレシーブ力と周囲を動かす力がある。抜てきに応え、西村も「新人の自分たちが思い切って声を出し、チームを盛り上げようと話をして臨んでいる。楽しさばかりでなく難しいこともあるけれど、約束事を果たせるように徹底したい」と意気込み、地元山口でストレート勝ちを収めた。
新戦力の加入が活力となり、幸先いいスタートをと願う中ではあったが、パナソニックパンサーズ、堺ブレイザーズとの対戦では連敗。特にルーキーの選手たちや、セッターの金子は「切り替えて次に臨むことが重要」と口にしてきたが、経験が浅ければ当然、敗戦やうまくいかなかったプレーの後悔を引きずることなく切り替える力も十分ではない。

そんな彼らをコートで助け、コート外でも助ける心強い存在となったのがJTサンダーズ広島の頼れる大砲、トーマス・パトリック・エドガーだ。自身も若い頃からプロ選手としてさまざまな国で活躍、「成功だけでなく失敗を重ねた経験もある」と言いながら、若い選手たちを労うだけでなく、これからを担う存在であると信じているからこそ、期待も寄せる。
「若い選手たちがたくさん入るのは、チームにとって非常にポジティブで、エキサイティングなこと。とはいえ、若い選手が多いから勝たずに成長すればいい、というわけではないし、そこは経験のある選手たちがフォローすればいい。皆が皆、チームにとって力を発揮して、還元してくれているし、最年長の自分も彼らの成長を促すために、何より彼らが楽しめるようにサポートする。時間をかけることも重要ですが、リーグを戦いながらさらに強くなるポテンシャルを持ったチームだと思っているので、私も楽しみです」

貪欲に勝利を求める集団となれ!

4連敗と黒星が先行する苦しい状況を強いられても、下を向くわけにはいかない。エドガーのエールに応えるように、チームを支える力を発揮したのが経験豊富な選手たちだ。今シーズンから主将に就任した小野寺太志、リベロの唐川大志やミドルブロッカーの中島健太。スタートでコートに入る機会が多かった選手たちはもちろんだが、試合の状況に応じて投入された武智洸史や井上慎一朗もサーブやレシーブ、攻撃面で力を発揮。前半はリザーブに回り、出場機会の少なかった山本将平も、中盤から出場の機会が増え、外から見ていた状況と中から見える状況を冷静に分析し、チームに貢献した。
「外から見て良くなっている部分は確かにあるし、成長している部分も多い。でも勝ちに対する貪欲さがまだ足りない。成長するだけがチームではなく、勝ちにこだわっていかないと優勝できないと思うので、試合に出ている、出ていないに関係なく、勝ちを求める気持ちがそれぞれに芽生えればもっといいチームになると思います」と話す。

チームとはいえ、当たり前だが競争の場でもある。ただ「若い選手をサポートする」だけではなく、「自分だって負けていない」と限られた機会でもそれぞれが自身の力を発揮する。そんな姿勢が再びチームに力を呼び込み、年内最後は4連勝で気持ちよく締めくくった。
年明けにリーグが再開すれば、V・レギュラーラウンドも折り返しを迎え、これまで以上に熾烈な戦いが続く。今夏の東京五輪にも出場、世界相手に経験値を高めた小野寺が言った。
「リードしている時や、勝っている時はコート内でみんなしゃべるけれど、プレーがうまくいかない、苦しい展開の時、同じようにできるか。まだまだ始まったばかりではありますが、勝つためにどんな心構えで、勝ちに対する姿勢を見せるか。それが自分の仕事だと思うし、一人ひとり責任がある中で勝つための行動をしていく。そうすれば自ずといいチームになっていくと思うので、僕も頑張るし、みんなでいい方向に向かって頑張りたいです」
新たな挑戦は始まったばかり。巻き返しはこれからだ。