2022/02/22

COLUMN

つかみかけた勝利への兆しを力に、
終盤の逆転劇へ向け更なる努力を!

連敗が続く苦しい状況の中で、躍動するルーキーと復帰を果たした“守護神”。
天皇杯からリモートで行われたウルフドッグス名古屋戦までのJTサンダーズ広島を振り返ります。

V.LEAGUEの連敗を払拭した天皇杯

戦うたびに課題が生まれ、いかに消化し、強くなるか。すべてのチームが長いリーグの中で試行錯誤を繰り返す。JTサンダーズ広島も、まさに今、その渦中にいる。
勝ち星から遠ざかれば、夏場から取り組んできた練習は間違っていたのだろうか。努力が足りなかったのではなかろうかと不安になり、マイナス面ばかりに目が向けられる。そこからいかに脱却するか。そのための一つのきっかけになり得る大会が、昨年末、高崎アリーナ(群馬)で行われた令和3年度天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会だった。

同じ相手と2日続けて戦うV.LEAGUEと異なり、各都道府県予選やブロック予選を勝ち抜いてきた高校生や大学生、実業団チームやクラブチームなど出場チームもさまざまで、トーナメントを制したチームが頂点に立つ。JTサンダーズ広島が求める「勢い」を手にするためにもこれ以上ない大会で、準々決勝ではサントリーサンバーズに勝利。準決勝へとコマを進めた。
対するは堺ブレイザーズ。ビッグサーバーが揃い、攻守でバランスの長けた選手が集う相手に対し、いかに戦うか。十分な戦略を練って臨んだ試合ではあったが、すべての面で圧倒された。試合後、主将の小野寺太志は「この悔しさ、不甲斐なさをどれだけぶつけることができるか。負けてしまった、何もできなかった、のままでは成長がないので、自分も含め、それぞれが足りないところを見つめ直し、いい練習をして(年明けに再開する)V.LEAGUEに臨みたい」と誓った。

チームに勢いをもたらすルーキー、支える2人の守護神

2022年最初の試合は、広島グリーンアリーナでのホームゲーム。フルセットの末に東レアローズを打破、上々のスタートを切ったがそこから苦しい戦いが続く。特にジェイテクトSTINGSにはマッチポイントを握りながら大逆転負けを喫するなど、延期の2試合を除く年明けからの6試合で5連敗。長いトンネルが続くのか、と不安を抱く中、迎えたのが天皇杯準決勝で敗れた堺ブレイザーズとの2連戦だ。
なかなか勝ち星をつかむことができないJTサンダーズ広島に対し、堺は天皇杯で準優勝し、V.LEAGUEも好調を維持し上位をキープ。後半戦に向け一つでも順位を上げようと波に乗る相手に対し、試合序盤は攻撃の要であるトーマス・パトリック・エドガーを連続ブロックで止められるなど苦しいスタートを強いられた。

しかし、負ければさらに連敗が続く苦しい状況で躍動したのがアウトサイドヒッターの坂下純也だ。181㎝とV.LEAGUE選手の中では決して恵まれた高さがあるわけではない。だがそんなことは微塵も感じさせない躍動感あふれるプレーや、相手ブロックの間、ブロッカーとレシーバーの間、ココ、という場所を巧みに突く絶妙な技術の高さを随所で発揮、高さと組織力でも勝る堺の壁を打ち破る。堂々としたプレーを「練習の成果が発揮できている」と振り返りながら、手応えを示した。
「理想としているバレーボールが見えつつあるので、これから改善して次の試合につなげていきたいし、自分も(好調の理由は)相手ブロッカーやレシーバー、いろいろ見えた状況で攻撃できる機会が増えてきたので、終盤の勝負所で決めきれるように。そこはもっと頑張りたいです」

攻撃面の主役が坂下ならば、守備面で活躍が光ったのがリベロの井上航だ。昨シーズン、試合中にアキレス腱断裂という大ケガから手術、リハビリを経て復帰を果たした。長らく実戦から離れていた影響と、再びコートに戻ってこられた喜び、やってやろう、という気持ちが空回りし復帰戦では「とんでもないミスをする場面もあった」と小野寺に冗談交じりで揶揄されたが、堺戦では相手のサーブや、ブロックに当たって弾かれたボールを追いかけ、何度もつなぎ、まさに“守護神”として盛り立てた。
「去年の3月にケガをして、練習試合もほとんど出られず、2021-22 V.LEAGUEが始まってからもずっとベンチ外でした。(復帰したジェイテクト戦では)全然試合の流れに入れず、結構ミスもしましたが、試合勘も徐々に戻ってきているので、自分で気持ちの面をコントロールしてやっていきたいです」

井上(航)のみならず、JTサンダーズ広島には守備の要であるだけでなく、チームを勇気づける“守護神”唐川大志もいる。現在は相手のサーブから始まる際は井上(航)が入り、自チームのサーブから始まるローテーションでは唐川が入るが、常に広い守備範囲と周りを動かすリーダーシップを発揮し、堺、サントリーといった上位陣との対戦時も「サーブが機能してラリーになれば負けない。チームとしていい方向性が見えてきた」と唐川も自信をのぞかせる。

リベロはスパイクやサーブで直接点を取ることはできないが、自らのプレーで魅せるだけでなく攻撃陣の背を押す「声」も大きな武器の一つ。唐川の「声」にいつも助けられているというのがセッターの金子聖輝だ。
「試合の中でもう一回ここに上げたいけれど、また(ブロックに)止められるかもしれない、と迷うことがあるし、スパイクミスが続けばチームの雰囲気も悪くなる。自分の心が折れかけている時に、大志さんが喝を入れてくれるので、心が折れずに戦い続けることができている。それぐらい、チームにとっても自分にも大きな存在です」

終盤の巻き返しへ向け「全員で努力を」

堺に連勝し、天皇杯を制したウルフドッグス名古屋にも敗れはしたがフルセットの惜敗。成果や自信が得られる一方で、ここまでの連敗も響き、後半戦へ向け厳しい状況が続くことに変わりはない。原秀治監督も「いい形が生まれ、つながり、チームとしても波に乗りつつある。ここからどう勝ち星を増やしていくか、練習の中でチャレンジし続けたい」と述べるように、可能性がある限り、できるのは諦めずに挑戦し続けることだけだ。
自らのスパイクミスが決勝点となり、WD名古屋とフルセットの攻防に敗れた直後「苦しい時に上げてくれたトスを決められなかった。今シーズン上位と言えるぐらい悔しい試合」と述べた後、限られた終盤での巻き返しに向け、小野寺が言った。
「勝ち切るために、それぞれが何をすべきか。勝つために全員で努力しあって、頑張って戦うために、積み重ねていきたいです」
どれほど険しくとも、まだ諦めるわけにはいかない。奇跡の大逆転劇を信じ、戦い続けるだけだ。