2022/04/14

COLUMN

「2021-22 V.LEAGUE」は
6位でフィニッシュ
悔しい経験とつかんだ収穫。
黒鷲旗でリベンジを!

悔しさが残る一方、多くの収穫を得た今シーズン。JTサンダーズ広島はこのままでは終わらない。

出られない悔しさと練習の成果を発揮したルーキー新井

王座奪還を目指したJTサンダーズ広島の「2021-22 V.LEAGUE」が閉幕した。
最後はホーム広島、猫田記念体育館での最終戦を気持ちよく勝って喜びを分かち合い終えたいと願ったが、中止を余儀なくされ、最終戦をコートで終えることはできなかった。
昨年10月に開幕し、半年に及んだ長い戦い。新たなJTサンダーズ広島の始まり、とばかりに、今シーズンはレギュラーセッターに金子聖輝を据え、アウトサイドヒッターにルーキーの坂下純也、新井雄大を起用した。期待に応え、開幕から勝利を収めたが中盤は苦しい戦いが続き、特にアウトサイドヒッターの新井はスタメンを外れ、途中出場の機会も増えた。

学生時代から攻撃力は申し分なく、高さ、パワーはチーム内でも随一。だが、大学3年までオポジットだったことから「守備がウィークポイント」というイメージが拭えず、守備力で勝る山本将平の出場機会が増えた。ただでさえ、近年は個々のサーブ力やチームとしてのサーブ戦術が高まり、セッターへピンポイントに返すのは至難の業。そのため今は世界ではもちろん、日本でもパスの精度よりも直接失点されないことや、パスが崩されてもそこからの攻撃で上回ればいいという発想に変わっているが、負けが続くと安定を求め「パスからきっちり返さなければならない」と攻めよりも守りに意識が向けられる。

持ち味を発揮できず、試合に出場することもできず「ずっとモヤモヤしていた」という新井だが、出場機会が訪れない中でも練習や努力を重ね、その成果を終盤で発揮した。原秀治監督も「将来のJTサンダーズ広島を背負っていく、背負っていかなければならない選手」と期待を寄せるように、長野でのVC長野トライデンツ戦、さらには地元広島・呉でのウルフドッグス名古屋戦でスタメン出場を果たすと、前衛からのスパイク、バックアタックで存在感を見せた。攻撃力だけでなく、フェイントのカバーやブロックフォローなど、数字には残らないプレーでの貢献も目立ち、新井自身も手ごたえを示した。
「出られない間に自分の課題、足りないことと向き合う時間ができた。もっとプレーの質を上げていきたいし、(セッターが1本目をレシーブした後の)2本目をカバーして、いいボールを上げられればトム(トーマス・パトリック・エドガー)さんも楽になる。周りの選手がプレーしやすい環境をつくれれば、というのは意識しました」
対角に入る同期の坂下と共に、互いの長所を確認、課題を指摘し合いながら高め合ってきた最初のシーズン。決して納得いく結果ばかりではなかったが、学生時代のように試合へ出続ける経験ばかりでなく、出られない経験から得た悔しさも、これからへつながる糧、力となるはずだ。

経験を重ねたセッター金子と指針となる姿を見せた合田

次へつながる経験という面で言えば、何より得難いシーズンとなったのがセッターの金子だ。 攻撃陣を生かすためにセッターは不可欠。いかにバランスよく攻撃陣を生かせるか、という面において、試行錯誤を重ねながらほぼフルシーズンコートに立ち続けた。
敗れた試合や、連敗が重なると「自分が生かしきれていない」と矛先を自らに向け、トスを上げるセレクトが間違っていたのではないかとまた悩む。だが、反省や課題と向き合いながら、確かな手ごたえをつかんできたことも明かす。

「昨シーズンと比べて、全体を見れば少しは安定できたかな、というのは実感しています。そしてその中で、トム以外の攻撃、特に真ん中を通すところがうまくできなかったり、課題はたくさんあります。ただ、レフトへのトスは去年に比べていい感触もあるし、いいリズムで通せた試合もあったと感じているので、勝つためにミドル、パイプをどう通すか。それがこれからの課題だと実感しています」

レギュラーセッターとして苦悩し、さまざまな経験を重ねる金子にとって、これ以上ないお手本であったのが副主将でもある合田心平だ。呉でのウルフドッグス戦や、大阪でのパナソニックパンサーズ戦、さらに最終盤の静岡での東レアローズ戦では金子に代わって出場。アタッカーの高さを生かし、なおかつ相手ブロックやディフェンスを見ながらの絶妙なトスワーク。2日連続のフルセットとなりながらも、接戦を制した27日の東レ戦ではスタメン出場し、VOMも受賞した合田は「チーム全員の力で勝てたことがよかった。自分たちの強みをしっかり出して、ブロックからラリーを制する、JTサンダーズ広島の強さを出すことができた」と胸を張る姿は、チームにとって大きな力になっただけでなく、金子にとってもチームを勝たせるセッターとはどうあるべきか。これ以上ない指針になったはずだ。

「JTサンダーズ広島の素晴らしいファンの方々のためにも戦う姿を見せなければいけない」

若手の台頭やベテランの安定感、シーズンを通して振り返ればさまざまな要素が収穫として得られたシーズンではあるが、目標とした王座奪還には届かず。終盤まで5チームがファイナル3を争う熾烈な戦いを繰り広げた中、その舞台に立つことができなかった悔しさも残る。
特に今シーズン、主将となった小野寺太志は自らの力不足と共に、チームとしてももっと取り組むべきことがある。これからに向け、強くなるための覚悟を持つべき、と苦言を呈した。

「結果に対して危機感は持たないといけないし、それ以前に戦う姿勢についての問題も多くありました。相手に対しての苦手意識が消えずに委縮して、向かっていけなくなる。どんな相手に対してもひるまず向かう、そういう姿勢が必要だし、常に強い気持ちで向かっていくチームになれなければ、優勝などほど遠い。技術や体力、メンタルはもちろんですが、戦うために大事な姿勢をもっと一人ひとりが意識しないといけない、というのは実感しました」

アスリートである以上、勝利を求めるのは当たり前。人より高く跳びたい。誰よりも多く点を取りたい。その純粋な思いのもと、厳しい練習を重ね、勝利のために鍛錬する。そしてその結果を応援してくれる人と分かち合いたい。だからこそもっと見せなければならないものがあるはず、と言うのは大黒柱として今シーズンもチーム内最多得点をたたき出してきたエドガーだ。
「世界的にも日本もコロナの状況が落ち着いていない中、これだけのお客さんが足を運んでくれるのは、本当に素晴らしいことだと思う。見に来るまで大変な思いをされている方が多くいるであろう中、会場に来て、応援してくれることに感謝しているし、だからこそがっかりされるような試合を見せてしまうのはとても悔しい。JTサンダーズ広島の素晴らしいファンの方々のためにも、自分たちは戦う姿を見せないといけない。最後までいいプレーをして、結果を残すのが私たちの仕事です」

残念ながら今シーズンのV.LEAGUEは終わった。だが、シーズンはまだ終わりではなく4月30日からは2022年度 第70回黒鷲旗 全日本男女選抜バレーボール大会がある。悔しさと経験を糧に、悔いなく戦う姿をより多くの人たちに焼き付けるべく、再びここから立ち上がることを、信じている。最後に勝って、最高の喜びを分かち合おう。