RESULT2025年度一回戦第一局
対局結果
一回戦第一局(中国大会)
87手にて佐々木八段の勝利


開催日:6月21日(土)
会場:岡山県総合グラウンド
ジップアリーナ岡山
後手羽生善治九段
先手佐々木勇気八段
勝者の佐々木八段は、8月9日(土)に行われる「二回戦第一局」でシード棋士の藤井聡太竜王・名人と対局!!
- タイトル・段位は対局時点のものです。
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・畠山八段の講評
対局前の両者のコメントでは、羽生九段「『将棋日本シリーズ』は私が小学生のころに始まりました。棋士が多くの方の前で公開対局をするということで、非常に目新しい棋戦が始まったという感慨を覚えています。
多くの皆さんの前で指すのは独特の緊張感や緊迫感がありますし、ファンの皆さんの息づかいや反応が間近に伝わってきます。『将棋日本シリーズ』ではプロ公式戦の前にこども大会も開催されます。こどもたちに負けないような将棋を指せればと思います」と意気込みを語った。
一方の佐々木八段「私は『将棋日本シリーズ』初参戦になります。開幕戦ということもありますし、相手が羽生九段ということもあって、明日は忘れられない一日になると思います。
明日は将棋でこどもたちにプロの技術を見せられたらうれしいです。テーブルマークのこども大会では、私もこどもたちの熱い戦いを見られるのを楽しみにしています」と抱負を語った。
本棋戦の振り駒は来場者から抽選で選ばれた方が行っている。今回はと金が3枚出て、佐々木八段の先手に決まった。
対局は佐々木八段得意の角換わりから両者が早繰り銀に構える将棋になり、序盤の段階で前例の少ない将棋に進んだ。
封じ手の43手目▲5六歩は大盤解説の畠山八段が「玉頭の歩を突くので思い切ったすごい手です」とうならせる強手だった。玉頭の歩を突き上げて、後手の角を攻める。
羽生九段が端のと金を活用するが、佐々木八段は角を4八から6六と転換してペースをつかんだ。佐々木八段は優位に立つと、79手目▲2九銀と落ち着いて守って羽生九段を寄せつけない。満を持して87手目▲7二銀で寄せに出て、羽生九段を投了に追い込んだ。
大盤解説の畠山八段の講評は以下の通り。
佐々木八段の角換わり早繰り銀は昨年の竜王戦七番勝負などでも指していましたので予想の一つでした。佐々木八段は魅せる将棋ですね。
43手目が封じ手になり、▲5六歩を選ぶのが華のある将棋です。公開対局の早指し戦かつ、相手が羽生九段ということで、ぶつけてみたい進行だったのでしょう。封じ手の▲5六歩から▲2八角はすごい手順でした。
感想戦で佐々木八段が▲2八角に△3七歩を示していましたが、ちょっと読めない手です。本譜は角と桂香の2枚換えに加えてと金ができて後手がまずまずの進行に見えるからです。
58手目△4三金から後手が押さえ込めるつもりがそうはならなくて、実際は先手がいいのです。
△4一香などとゆっくりやったほうがよかったのかもしれません。76手目の△1八飛がきついのかと思ったら、79手目の▲2九銀で先手陣が安全になりました。
佐々木八段の早繰り銀の経験値がいきました。全軍躍動で面白い将棋でした。
勝利棋士・佐々木八段のコメント
角換わり早繰り銀は最初からの予定ではなく駆け引きの結果です。終盤まで前例のある将棋を指すつもりはなく、昔の研究がいきました。
封じ手の▲5六歩は公開対局を意識した部分もあります。▲2八飛のほうがいいかもしれませんが、華々しいほうが面白いかなと。そのうえで均衡が取れているのも面白いので▲5六歩を選びました。
早めに羽生九段の考慮時間を追い込めて、気分的に楽になりました。75手目▲5五角打の飛車銀両取りに厳しい反撃がないなら形勢がよさそうかなと思いました。伸び伸びした将棋が指せて大満足です。
2回戦が藤井聡太竜王・名人で厳しいブロックですが、対戦することで少しでも強くなれるかなと思います。今回のように、多くの方の応援をいただきながらいい内容で戦えたらと思います。
動画
- 動画内で実施している「クイズキャンペーン」は終了しています。