RESULT2025年度一回戦第四局
対局結果
一回戦第四局(福岡大会)
112手にて佐藤九段の勝利


開催日:8月2日(土)
会場:福岡国際センター
後手佐藤天彦九段
先手菅井竜也八段
勝者の佐藤九段は、9月13日(土)に行われる「二回戦第四局」でシード棋士の伊藤 匠叡王と対局!!
- タイトル・段位は対局時点のものです。
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・深浦九段の講評
対局前の両者のコメントでは、佐藤九段「地元福岡での対局は名人戦ではありましたが、『JT杯』では初めてです。公開対局ですから、お客さんの反応もわかって、対局者としても盛り上がります。持ち時間が長い対局は相手の技を察知して打ち消し合う応酬が多いですが、短時間ですと対応が難しいので早指し戦は技の出し合いになりやすいです。観戦して楽しかったと感じてもらえたらと思います」と意気込みを語った。
一方の菅井八段「公開対局は将棋のすばらしさをより体感していただけるのが魅力だと思います。それに持ち時間が短いのでスピーディーで華々しい戦いになりやすいのが見どころです。直感や経験が生きますし、瞬発力が求められます。時間がなくなって形勢が入れ替わることがあるのも面白いところ。最後までどうなるかわからない将棋で、見ている方が『今日の将棋はすごかった』と思ってもらい、そのうえで結果を残したいと思います」と抱負を語った。
本棋戦の振り駒は来場者から抽選で選ばれた方が行う。今回はと金が4枚出て、菅井八段の先手に決まった。
両者振り飛車党の本局は、菅井八段の初手▲7八飛に佐藤九段は居飛車で対抗した。7手目に▲8八銀とする菅井流の趣向に佐藤九段が角交換する最強の手段で応じて乱戦となった。ジリジリとした第二次駒組みから、馬や角を方向転換させた佐藤九段は1筋や2筋から攻め立てて優勢を築き、逆転を狙う菅井八段を寄せつけず勝ち切った。
大盤解説の深浦九段の講評は以下の通り。
とても面白かったですね。乱戦になり、26手目の△5三金左に代えて△5二金左もありましたが、佐藤九段は厚みを生かそうと積極的でした。互いに封じ手以降のバランスの取り方がうまいと思いました。
先手が金無双に組み替えたあたりは互角と思っていたのですが、△5三馬(50手目)から△7二角と引いた構想がうまかったです。竜や飛車などの攻め駒を相手にしない方策で、私も勉強になりました。
佐藤九段は見たことのない形をまとめるのがうまいですね。△1五歩から上部を攻める手が厳しく、先手が嫌な展開でした。
結果的に、菅井八段は玉を固めた数手を省略して、動いていく指し方を模索するほうが良かったかもしれませんが、はっきりと悪い手はありません。悪手のない敗戦といえます。それくらい佐藤九段のうまさが際立っていました。
勝利棋士・佐藤九段のコメント
本譜の乱戦は7手目の▲8八銀に代えて、▲6八銀として△7七角成▲同銀という進行で以前考えていたことがあり、後手は金銀の厚みで勝負できないかと考えていました。
▲6八飛に最初は△5二金左を考えましたが、△5三金左と6四歩に当てないと厚みができにくいと判断しました。局面が一段落したあとは、先手からすると玉を囲うのが普通だと思います。こちらは即興でしたが第二次駒組みのときに△5三馬、△7二角、△6四銀と、△6三馬を見せつつ、馬と角の互いの利きを補完し合ういい形を作れました。
▲6六歩にもう少し応対する指し方もあったと思います。ただ、持ち時間が短いこともあって、△1五歩から攻める展開にして実戦的に後手が勝ちやすかったと思います。2回目の△1七歩への対応が難しいでしょうか。その後に王手竜取りがかかってよくなったと思いました。
動画
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