RESULT2025年度二回戦第一局
対局結果
二回戦第一局(静岡大会)
106手にて藤井竜王・名人の勝利


開催日:8月9日(土)
会場:ツインメッセ静岡 北館大展示場
後手藤井聡太竜王・名人
先手佐々木勇気八段
勝者の藤井竜王・名人は、10月12日(日)に行われる「準決勝第一局」で二回戦第二局勝者と対局!!
- タイトル・段位は対局時点のものです。
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・鈴木九段の講評
対局前の両者のコメントでは、藤井竜王・名人「佐々木八段は竜王の挑戦権を得られて充実していていつも安定感のある将棋を指されています。昨年の竜王戦で対戦したときは、巧みな作戦に苦しめられることも多かったです。早指しですと、勢いのある手を多く指される印象があります。『JT杯』を静岡で指すのは初めてです。多くの方に対局を直接見ていただける機会ですので、期待に応えられる熱戦にできるよう集中力を高めて臨めればと思っています」と意気込みを語った。
一方の佐々木八段「何百人何千人といる中で指すことはあまりないので、一回戦はいつも通りの自然体で指せるかなという不安はありましたが、対局が始まると集中できるように感じました。藤井竜王・名人はもともと強いんですけど、今期はタイトル戦だけで9割以上勝っていて、さらに安定した成績を残していると感じます。今日一日でどれぐらい藤井さんの対策を詰められるか。コンディションも含めて、いい状態で明日を迎えたいと思います」と抱負を語った。
本棋戦の振り駒は来場者の中から抽選で選ばれた方が行う。振り駒はと金が4枚出て、佐々木八段の先手に決まった。
藤井竜王・名人は、早指し棋戦では初めて2手目に△3四歩と突いて雁木を目指した。佐々木八段はそれも予想通りだったようで、右四間飛車に構えると▲1五角から▲3七角と工夫の攻めに出た。先手の攻め、後手の受けという構図が続き、佐々木八段は▲4四飛と飛車を切って果敢に攻めかかったが、後手玉はわずかに寄らない。藤井竜王・名人は反撃の手番を得ると、豊富な持ち駒を生かして先手玉を一気に受けなしに追い込んだ。
大盤解説の鈴木九段の講評は以下の通り。
藤井竜王・名人の作戦は後手番で最近指している雁木でした。
▲1五角の王手に△4一玉だと、▲4四歩△同銀▲3三桂不成の攻めがあるので、後手は△4二歩と受けました。封じ手は選択肢が広い局面です。実戦は▲6五桂でしたが、代えて▲7五歩の桂頭攻めも有力です。
藤井竜王・名人は△9五歩をいいタイミングで入れました。▲同歩に一転して△5五歩から相手を急がせるなど、押し引きがうまかったです。実戦の進行は、△6四桂の局面をどう判断するかがポイントでした。悪くないと思っていたがゆえに佐々木八段は果敢に踏み込みましたが、突っ込みすぎて駒を渡しすぎる結果になりました。
それにしても、寄せの構図を立てやすい人は強いですね。藤井竜王・名人は△6四桂で駒をたくわえて△7六桂のカウンターで仕留める狙いができたので、▲4四飛からの猛攻にも強気に対応できたのです。いつもながら、最後の着地はきれいでした。
勝利棋士・藤井竜王・名人の
コメント
雁木に対する右四間飛車は有力な作戦で予想の一つです。どういう形で戦いになるかは指してみないとわからないと思っていました。
▲1五角の筋自体は、そういう手もあるというイメージを持っていました。実際に打たれてみると、判断がしにくい形になった感じがして、封じ手の局面は自信がありませんでした。実戦の▲6五桂のほかに▲7五歩や▲6六歩も有力だったからです。実戦の進行も後手は居玉なので嫌なところが多いと思っていました。
▲4六角の局面は次に▲5四歩と突かれると痛いです。何ができるかを考えて△6四歩と攻めを催促しました。終盤は先手の攻めに△4三玉とかわしたところで、楽しみが出てきたと思います。全体として、見慣れない形が多くて判断が難しい将棋だったと思います。
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