RESULT2025年度二回戦第二局
対局結果
二回戦第二局(信越・北陸大会)
171手にて渡辺JT杯覇者の勝利


開催日:8月16日(土)
会場:新潟市産業振興センター 展示ホール
先手渡辺 明JT杯覇者
後手山崎隆之九段
勝者の渡辺JT杯覇者は、10月12日(日)に行われる「準決勝第一局」で藤井聡太竜王・名人と対局!!
- タイトル・段位は対局時点のものです。
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・中村九段の講評
対局前の両者のコメントでは、渡辺JT杯覇者「『JT杯』で新潟にくるのは初めてです。対局会場の雰囲気もまだ知らないですから新鮮ですね。新潟市自体は棋王戦でよくきています。以前から大盤解説会のお客さんが多くて、将棋熱の高さが印象的です。対戦相手の山崎九段は派手な将棋を指します。どこから手が飛んでくるかわからないので、それについていけるかどうか。動きのある将棋を押さえつけられるかが鍵かなと思います」と意気込みを語った。
一方の山崎九段「『JT杯』の出場は、前年度に大きな活躍をできた証なので毎回特別と感じます。どちらが勝ちかわからない展開が秒読みで続く中で戦う姿を見ていただきたいです。新潟はお米がとてもおいしいですね。大阪から遠い印象でしたが飛行機だと驚くほど近いですね。渡辺JT杯覇者は、将棋も性格も理路整然なスタイルを守って成績を挙げている同世代の棋士です。勢いだけではなく、自分がいいと思う手を続けて、最後まで食らいついていきたいと思います」と抱負を語った。
本棋戦の振り駒は、抽選で選ばれた来場者が行う。振り駒は歩が3枚出て、渡辺JT杯覇者の先手に決まった。
後手の山崎九段は、先後逆ながら一回戦の対丸山忠久九段戦と同じ出だしの指し方を選ぶ。渡辺JT杯覇者は穏やかに指して、先手矢倉と後手雁木模様の駒組みになった。山崎九段の果敢な仕掛けに渡辺JT杯覇者は対応に苦慮。実戦の進行は後手に勢いがついた。ともに早い段階で考慮時間を使いきって、秒読みでのせめぎ合いが続いた。
山崎九段は▲3四桂に△同金を「大ポカ」と局後に悔やんだ。代えて△5二玉や△3二玉が有力だった。その後、山崎九段は懸命の粘りを見せたが及ばず、渡辺JT杯覇者が着実に後手玉を寄せて勝ちきった。双方が考慮時間を使いきってから100手以上指し継いだ激戦だった。
大盤解説の中村九段の講評は以下の通り。
序盤は先手だけ歩を持ちつつ矢倉に組んで十分です。
山崎九段は封じ手後に攻めましたが自信はないと話していました。△5七歩には▲6五銀△5八歩成▲3九銀の対応が有力でした。本譜は先手の持ち歩が生きない展開で後手のペースになりました。山崎九段は△5六歩を悔やんでいて、△5六銀と銀を打って攻めたほうがよかったかもしれません。
渡辺JT杯覇者は4筋に歩が打てるようになったのを利用して、▲4二歩からお手本のような手筋の攻めで追い上げました。▲3四桂△同金▲2三角の王手金取りで逆転しました。その後は、先手が丁寧な指し方で優位を広げて勝ちきりました。
中盤で後手のペースになりましたが、苦しくなってからの渡辺JT杯覇者にはトッププロらしい、負けにくい指し回しを見せてもらいました。山崎九段は突き放せそうで突き放せず、終盤で追い越されて後悔の残る将棋だったと思います。
勝利棋士・渡辺JT杯覇者の
コメント
和服でのイス対局は想像できなかったので、短い持ち時間なら座って対局しようと思って臨みました。私が先手のときは本局のような出だしになりやすいと予想していました。
封じ手の局面は力戦ではなく、無難な序盤戦です。後手の攻めは若干無理と思いましたが、△5七歩の局面で時間を使った割にいい対応ができませんでした。その後の指し方もまずかった気がします。
▲3四桂と打った局面はまだ負けと思いましたが、相手も決め手をつかみかねて、難しいところはあると感じていました。▲6七金から馬を取り合いになって逆転しましたが、粘る展開から急に勝ちにいかないといけなくなって、終盤でのギャップが難しかったです。
準決勝は藤井聡太竜王・名人との対戦ですが、今日の内容では勝ち目がないという感じなので、戦えるように頑張りたいです。