RESULT2025年度二回戦第三局
対局結果
二回戦第三局(四国大会)
143手にて永瀬九段の勝利


開催日:8月30日(土)
会場:サンメッセ香川 大展示場
後手広瀬章人九段
先手永瀬拓矢九段
勝者の永瀬九段は、11月9日(日)に行われる「準決勝第二局」で二回戦第四局勝者と対局!!
- タイトル・段位は対局時点のものです。
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・稲葉八段の講評
対局前の両者のコメントでは、広瀬九段「四国大会は2013年以来で、高松駅周辺が変わった印象です。永瀬九段とは練習将棋を指した時期もあり、大きな舞台の対戦は感慨深くもあります。研究熱心なので序盤で知らない展開は少ないと思いますが、少しでも意表を突けたら。ABEMAトーナメント(早指しの準公式戦)でチーム優勝できましたが時間設定が違います。ただ、早めに決断する点は『JT杯』と共通していますね。感覚に頼る部分と読みを入れて考える部分の使い分けが早指し戦は難しいです」と意気込みを語った。
一方の永瀬九段「香川県は初めて訪れました。広瀬九段は居飛車党の本格派です。広瀬九段とはコロナ禍の少し前まで練習将棋を10年近く指しました。『JT杯』は早指しで封じ手があるのが特色です。とっさに対応することが続くため、瞬発力や集中力の維持が求められます。私はこども大会に出場して、間近でプロ公式戦も観戦しました。数年前から『JT杯』の対局者側になって棋士冥利に尽き、やりがいもあります。皆さまが手に汗握るような将棋を指せたらと思います」と抱負を語った。
本棋戦の振り駒は、抽選で選ばれた来場者が行う。振り駒はと金が3枚出て、永瀬九段の先手に決まった。
対局は角換わり腰掛け銀となり、広瀬九段は38手目に△3一玉と引いた。2020年以降ではほとんど見られない指し方だった。この変化球に永瀬九段は果敢に仕掛ける。
先手が歩切れで、手段が難しそうな中での75手目の▲4四角のタダ捨てが迫力ある強打。広瀬九段も読み筋だったが、その後に永瀬九段が巧妙に攻めをつなげて後手の防御網を突破する。
さらに99手目▲4五銀の銀捨てが歩を補充して厳しい攻めを狙う好手だった。先手の優位を決定づけて、永瀬九段が粘る広瀬九段を振り切った。
大盤解説の稲葉八段の講評は以下の通り。
角換わり腰掛け銀のオーソドックスな形から広瀬九段が近年ではやや珍しい指し方をされました。先手が駒損になったり、歩切れになったりする代わりに、どれだけ攻めがつながるかという進行になりました。
▲1三歩に△同香や▲2五桂に△2一桂など、後手の選択肢はいろいろあったと思います。近年の角換わり腰掛け銀は、飛車が自陣の一段目で守りに働いています。ですが、本局は後手の飛車が8四にいて、判断や対応が難しい展開だったと思います。最後まで後手の飛車がうまく働きませんでしたから。
▲4四角(75手目)の強打が素晴らしい手で、結果的に先手は飛車を成り込むことができました。厳しい攻めがつながって永瀬九段の快勝となりました。
勝利棋士・永瀬九段のコメント
本局の後手が△3一玉と引いた形は以前からある将棋で、第2回ABEMAトーナメントの藤井聡太竜王・名人と木村一基九段の対局が代表的です。
▲4五桂は仕掛け方を間違って、▲3五歩で後手が△同歩か△4四歩かで対応する将棋でした。本譜は攻めが途切れたら先手負けで、途切れるまでの勝負です。
▲1三歩(51手目)に△同香でダメかなと思っていました。封じ手以降も少し悪いと思いましたが、▲2五桂(67手目)が▲3三香や▲1三桂成から▲2三成桂△同金▲1一飛成を見せて、テクニカルな攻め方かなと。複雑に迫って含みが多い手を指さないと、攻めが途切れると考えました。▲3五歩(77手目)と突いた局面はこちらがよくなった気がします。
昨年度は早指し棋戦で勝てていなかったので今年度は少しずつ返したいです。準決勝は伊藤匠叡王と佐藤天彦九段のどちらが勝ち上がってきても「JT杯」での対戦はないので楽しみにしています。
動画
- 動画内で実施している「クイズキャンペーン」は終了しています。