RESULT2025年度準決勝第二局
対局結果
準決勝第二局(大阪大会)
89手にて永瀬九段の勝利


開催日:11月9日(日)
会場:インテックス大阪 6号館D
後手佐藤天彦九段
先手永瀬拓矢九段
勝者の永瀬拓矢九段は、11月23日(日・祝)に行われる「決勝戦」で藤井聡太竜王・名人と対局!!
- タイトル・段位は対局時点のものです。
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・村山八段の講評
本棋戦の振り駒は、抽選で選ばれた来場者が行う。本局の振り駒はと金が3枚出て、永瀬九段の先手に決まった。
後手番の佐藤九段は居飛車を用いた。近年は振り飛車の採用率が高いが、結果的に「JT杯」では3局続けての居飛車となった。永瀬九段が棒銀で速攻を仕掛けると、佐藤九段も居玉のまま反発して激しい攻め合いに進んだ。
佐藤九段は2枚の桂を跳ねて攻めかかったが思うような戦果はあがらない。永瀬九段は的確に対応して優位に立つと、そのまま押し切って89手で勝利。2020年の第41大会以来2回目となる決勝進出を果たした。
大盤解説の村山八段の講評は以下の通り。
本局のような後手の力戦居飛車はカウンターを狙う将棋なので、主に攻め将棋の若手棋士が指すイメージです。それを採用した佐藤九段は、棋風が変わってきて新境地を開拓しようとしているのかなと感じました。
対する、永瀬九段の▲2六銀から▲2四歩△同角▲3五歩という手順は、効率のいい攻め方で組み立てが巧みだと思いました。その後に、▲1一との香得の実利を得てから▲3六飛と進めて、対応しやすい展開に持ち込んだのがうまかったです。
先手がはっきりと有利になったわけではありませんが、後手に具体的な手段を求められて苦労が多かったためです。それも、正しく攻めないと大きくバランスを崩してしまう将棋だったと思います。
実際、本局は先手が急に優勢になって、後手は修正できませんでした。現代将棋の後手番の宿命で1手のミスで崩れてしまうとダメになってしまう、そうした怖さや大変さが見られた一局でした。
勝利棋士・永瀬九段のコメント
佐藤九段が振り飛車と居飛車のどちらでこられるかわかりませんでした。本局のような雁木模様の将棋は経験値が重要なので、こちらは居飛車を指し続けていることによる差をいかせたらと思っていました。
早指し戦はカウンターが決まると大きいので、佐藤九段はこちらの動きに対応しようとしている印象でした。中盤の△4五桂に代えて△7七歩成▲同銀△6五桂と攻めてきたら、▲5六飛△7七桂成▲同桂と対応する予定でした。
本譜は▲5六飛から▲7六飛と歩を一掃できれば指しやすいと思いましたが、1手のミスでひっくり返りやすい将棋なので注意しながら指しました。
決勝で戦う藤井竜王・名人は早指し棋戦に磨きがかかっている印象なので、こちらがどのように牙城を崩せるか。伊藤匠二冠の例を参考にしつつ、いかに準備していかに食い付いていけるかが重要だなと思っています。
動画
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