RESULT2025年度決勝戦
対局結果
決勝戦(関東大会)
114手にて藤井竜王・名人の勝利


開催日:11月23日(日・祝)
会場:東京ビッグサイト 東展示棟4・5ホール
後手藤井聡太竜王・名人
先手永瀬拓矢九段
- タイトル・段位は対局時点のものです。
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・森内九段の講評
本棋戦の振り駒は、抽選で選ばれた来場者が行う。本局の振り駒はと金が3枚出て、永瀬九段の先手に決まった。
解説の森内俊之九段は戦前に「2人が得意な角換わり腰掛け銀は先手側が中盤でリードを奪いやすい。なので、本局は後手の棋士が角換わりを避けて、雁木などを目指すと予想します」と話していた。その通りに、後手番となった藤井竜王・名人は2手目△3四歩から雁木を採用する。
永瀬九段は果敢に攻めかかったが、局後のコメントで「軽い攻めになった」と悔やむことになる。藤井竜王・名人の懐は深く、先手の攻めを受け止めてからは緩急自在な指し回しで制勝。第44回大会以来2年ぶり3回目の優勝を果たした。
大盤解説の森内九段の講評は以下の通り。
戦型予想をしたときは対局者の先後が決まっていませんでした。最近の傾向からすると、藤井竜王・名人が後手になった場合は雁木模様の将棋に進みそうだとみていました。封じ手後に先手が3筋に続いて4筋の歩も取り込んで好調と思っていましたが、後手は7筋の取り込みも大きいので均衡が取れているという判断です。
永瀬九段は、攻めていったものの歩切れが響く展開になってしまいました。先手の攻めが止まって、藤井竜王・名人のペースになったと思います。
最も印象に残ったのは△3二玉です。駒の連結をよくして▲3四桂に備えていますが、2四や3四の空間は守っていませんから難しい手だと思いました。△3四銀のように、守りが堅くなりそうな手を選ぶかと思ったのです。
実戦は▲5六歩と突かせることで、自然な流れで△5七銀と空間に打って攻めることができました。藤井竜王・名人は形勢がよくなってからは隙のない勝ちっぷりで、「JT杯」という短い持ち時間の条件でも精度の高い内容を披露した見事な将棋でした。
勝利棋士・藤井竜王・名人の
コメント
本局はやってみようと思っていた進行です。後手はやや強引に先手玉に迫る形を作って、その代償に自玉が相当薄くなるという指し方です。際どいところで何とかバランスを取れないかと考えていました。
中盤で△3二玉としたのは、桂を渡すと▲3四桂のキズがありますし、△6五桂と攻めると6筋や7筋で戦いが起こるため、そこから玉を遠ざけるメリットがあると考えました。
終盤で▲1五角に△2四金打として、後手玉が寄りにくい形を作れたと思います。「JT杯」は公式戦の中で最も持ち時間が短く、封じ手もあるなど特徴の多い棋戦です。
今年で7回目の出場と回を重ねてきた経験をいかせていると思います。今回、2回戦の佐々木勇気八段戦と本局で雁木を2局指したのは、振り駒で先後を決めますから偶然もあります。2手目△3四歩からの雁木は今年に入ってから指し始めて、まだまだ経験値が十分ではないところもあると思いますが、「JT杯」で結果を出せたのは励みになります。

動画
- 動画内で実施している「クイズキャンペーン」は終了しています。