KAORIUMを開発する SCENTMATIC 、東大大学院東原研究室の共同研究結果を「2025年度 日本味と匂学会 第59回大会」にて発表

2025/11/26

コーポレートR&D組織であるD-LABから生まれた「SCENTMATIC(セントマティック)株式会社」が、東大大学院 東原研究室との共同研究結果を「2025年度 日本味と匂学会第59回大会」において公開しました。

SCENTMATICは香りと言葉を相互に変換するAIシステム「 KAORIUM (カオリウム)」を開発しています。このKAORIUMがもたらす社会的価値を科学的視点から検証するため、嗅覚研究のトップランナーである東京大学 大学院農学生命科学研究科 東原和成研究室と連携し、2020年より共同研究を行ってきました。

■ 発表情報

  • 学会名:2025年度 日本味と匂学会第59回大会(JASTS 2025)
  • 発表形式:ポスター展示
  • 学会公式サイト:https://jasts59.umin.jp別窓で開く
  • 発表日:2025年9月8日(月)~10日(水)
  • 共同研究機関:
    東京大学 大学院農学生命科学研究科 東原和成研究室(教授:東原和成 / 准教授:岡本雅子)
    SCENTMATIC株式会社

■ 東大大学院との共同研究による「嗅覚」と「脳活動」に関する新知見

私たちは香りを感じるとき、“リンゴの香り”のように何の香りかに注目することもあれば、“癒される香り”のように、香りがもたらす気分に意識を向けることもあります。どちらの点に注意を向けるかによって、同じ香りでも脳の働き方が変わる可能性が示唆されています。しかし、意識の向け方の違いによって脳が香りをどう処理するのかについては、まだ十分に解明されていません。本研究は、「何の香りか」「どんな気分をもたらす香りか」という2つの意識の向け方の違いに着目し、それぞれの場合に脳内でどのような情報処理がなされるのかを明らかにするために実施されました。

実験参加者個人を特定できる情報は含まれていません

[実験の概要]

  • 実験参加者33名を対象に機能的MRI(fMRI)による脳活動計測を実施
  • 香りの評価指示(2種類)をスクリーンに表示
    [1]Source条件(何の香りか)
    [2]Impression条件(どんな気分をもたらす香りか)
  • 嗅覚刺激には4種類の香りを使用し、評価時の脳活動を比較分析
  • GLM解析・機能的結合解析・多変量解析など、複数の脳解析手法を適用

[考察]

  • 人の嗅覚システムは、香りのどのような側面に意識を向けるかという認知的文脈によって処理が変化する
  • 嗅覚は人の感情や記憶と深く関わっていることを示唆

本研究結果は、人が「 KAORIUM (カオリウム)別窓で開く」を通じて香りの言語化を体験する際に生じる脳活動に一致するものであり、同プロダクトが人々に提供する体験価値の科学的根拠につながる成果をもたらしました。また、本研究から得られた知見は、今後の嗅覚インターフェース研究や感性情報処理の分野に応用されることも期待されています。

■ 東京大学大学院 東原研究室とセントマティックの共同研究について

~脳科学的視点から導き出す、香りの新たな社会的価値とは~

セントマティックは「 KAORIUM 」がもたらす社会的価値を科学的視点から検証するために、東京大学 大学院農学生命科学研究科 東原和成研究室と、2020年より共同研究を行ってきました。KAORIUMが提案する「香りの超感覚体験」は、脳活動の観点から人々にどのような効果をもたらすのか。また、本研究で得られた知見は、いかにして社会に実装され得るのか。本共同研究について、東原教授とセントマティック元取締役 渡辺の対談形式にてお届けしています。

■ D-LABとは

2020年に組織化されたJTのコーポレートR&D組織。「D-LAB=Delightful Moment - Laboratory」の意。JTG Purpose「心の豊かさを、もっと。」の具現化に向け、 長期視点で、JTグループのまだ見ぬ「心の豊かさ」を研究・探索・創造する。活動は「心の豊かさ」を提供価値の起点としており、トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら常に約100件以上のプロジェクトを進めています。