CEOメッセージ

「より良く、より速く、
そしてより大胆に」
自ら変革を起こし、
スピードを上げて取り組み
グローバル No. 1を目指します。

寺畠 正道

代表取締役社長

2018年度利益目標を達成しました。
今後も事業投資を最優先し
持続的成長の実現を目指してまいります。
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社長就任一年目の2018年、徹底した意識改革を図り、
それが成果となってきました。

2018年度は内外の事業環境が大変厳しい中、為替一定ベースの調整後営業利益は前年度比8.9%増となりました。持続的な利益成長を果たすとともに、事業基盤を強化できました。

海外たばこ事業では、主要市場におけるシェアの向上及びプライシングによる力強いパフォーマンスにより増益、加えてM&Aの成果も着実に発現しています。国内たばこ事業では、 Ploom TECHの全国拡販を完了させるとともに、シェアの向上を通じて、RMCのリーディングポジションを一層強固なものとしました。医薬事業は、ロイヤリティ収入増により利益目標を達成しましたが、抗HIV製品に関する日本国内のライセンス契約が終了、海外ロイヤリティの減少も見込まれます。今後は次世代戦略品の研究開発及び各製品の価値最大化に取り組んでまいります。加工食品事業は原材料費の高騰などにより減益となりましたが、主力商品の販売伸長や生産性向上などを通じた収益性の改善に取り組んでいきます。

社長に就任した一年目は国内拠点をすべて回り「こういう考え方をしてほしい」「こんな風に行動してほしい」といった私の考えを直接社員に話すことに多くの時間を使い、厳しい環境下で成長を続けていくために、JTグループとして、そしてその社員として何をするべきかの意識共有を図りました。

「より良く、より速く、そしてより大胆に」―私が社長になってから掲げているスローガンです。社長就任前は、スイスに拠点を置くグループ会社JT International S.A.に在籍していました。帰国後に感じたことは、スピード感の違いです。JTにおける意思決定、殊に複数部門にまたがる組織を超えた意思決定には過度な時間を要していると感じました。このゆっくりとした意思決定には非常に危機を感じており、とにかくスピード感を上げること、そのために権限委譲を進めることを社内に要求してきました。また、従来の考え方や仕事のやり方を能動的に変え、自らが変革を起こしてスピードを上げて取り組まないと将来勝てないということを強く表明し「より良く、より速く、そしてより大胆に/BFB:Be Better, Be Faster and Be Bolder」をスローガンとしたのです。2018年一年かけてこの方針を伝えてきました。各組織、各社員今できることを一生懸命にやり始めてくれており、私自身も手応えを感じています。国内で急成長しているRRPへの対応についても、営業体制を見直すことで社員たちの努力も結実され、RRPカテゴリーにおける成長機会を見いだすことができました。

「変化を待つのではなく、JT自ら能動的に手を打っていけば、成長のシナリオは国内外ともに描ける」

いかなる環境下においても不変の経営理念“4Sモデル”を指針とし、揺るぎない事業基盤をつくり上げました。

たばこ業界は従来、中長期的に先が読める業界といわれてきました。一方でRRPという新しいカテゴリーが誕生し、ここ2、3年で急成長しています。当然RRPへの投資も進めてきたわけですが、投資家からすると「リターンを本当に確保できるのか?」といった不安要素があるのではないでしょうか。経営者の立場からすると、国際的な政治情勢の変化、英国のEU離脱問題等の地政学的リスク、新興国通貨の為替リスク等、当社を取り巻く環境の不確実性の高まりを感じています。たばこ業界では、規制や増税、健康意識の高まりによる総需要の減少、RRPカテゴリーの競争激化など、周囲の環境は年々厳しさを増しています。

そのような環境下、グローバルたばこメーカー3位のJTグループがこれらのリスクを機会とするための指針が4Sモデルです。4Sモデルの中心はお客様です。より良い商品の提供、選択肢を増やすことを繰り返し、そこから得られたリターンを競争力あるレベルで、株主そして社会へ還元し、従業員への報酬としていきます。また持続的な利益成長の実現を目指すためには、短期的な収益だけでものを見ず、中長期的に確実にリターンを得るためにしっかりと事業投資を優先させる。これを繰り返すことで、収益の向上とともに安定的な財務基盤の下での経営を実現でき、中長期的にMid to high single-digitの利益成長にコミットできるのです。

「限られた投資能力をどこにかけていくかは、我々の腕の見せどころ」

この4Sモデルが共通の理念としてJTグループに浸透していることが我々の大きな強みですが、買収した企業の社員に4Sモデルを理解してもらうためには、それなりの時間が必要です。買収先には事業投資が全くできていない企業もありました。そこで工場の立て直し、グローバルブランドの統一など、「お客様に受け入れられる商品を作り、適切なブランド投資をして競争に勝とう。中長期の視点で事業に投資をし、リターンを取っていこう。」と説明してきました。そこから結果が出てくると、この考え方が正しいのだと4Sモデルを理解してくれるようになるのです。これが、他のたばこ会社や他の欧米の会社ともちょっと違う日本出自のJTグループが目指す姿であり、サステナブルに成長していくのがJTのビジネスモデルであるということが、JT以外でのキャリアが長かった人たちにもやがてしっくりときて、それが確固たる指針として定着してきたと感じています。

我々にとってM&Aは究極の人財採用ともいえます。ギャラハーだったからとか、JTだからとか、レイノルズだったからというような、経歴やバックグラウンドを問わず、このポジションには誰がベストなのかということでその人を評価する。これをずっと繰り返してきました。社員に対して公平を徹底し、能力ある人は出自を問わず登用し、そうすることによって組織のパフォーマンスを最大化してきました。国籍数では100ヶ国以上、また国籍や性別、年齢だけではなく、経験や専門性など異なる背景や価値観を尊重し、そしてその人財が最大限活躍できる環境を整えています。多様性に富んだ組織マネジメントにおいて常に心掛けているのは「フェア、透明性、謙虚」。JTの企業文化から生まれた私の信念です。

リスクを成長機会とし、グローバル No. 1たばこ企業を目指します。

たばこ事業の中長期Visionとして「グローバル No. 1たばこ企業」を掲げています。No. 1の意味は、各国でしっかりシェアを伸ばしそれを積み上げることで「全世界ボリュームでNo. 1を目指す」そして「お客様に一番先に選ばれるたばこ会社になる」ことであると、定義を明確にして一年間経営を進めてきました。

Vision実現のために、大きく3本の戦略を立てています。1つ目がブランド・エクイティの強化。日本も含めてシェアが高い国では、この足元のシェアをしっかりと伸ばしていくということです。既存のブランド、既存の製品にしっかり投資をして、お客様から選ばれる商品展開、素早いサービスの展開で差をつけてシェアを取っていき、そしてしっかり利益につなげていきます。2つ目が新興市場への地理的拡大。既存ブランドから得た利益を将来に向けて新興国へ投資します。2017年度、私が社長に就任する前から、フィリピン、インドネシア、エチオピアでのM&Aをリードしてきました。2018年度は、ロシア、バングラデシュでM&Aを実施しました。これらは足元の収益に貢献すると同時に、数量ベースの増強から将来の利益を生み出すポテンシャルのある投資案件です。我々は主要な市場では着実にシェアを伸ばしているのですが、プレゼンスが低い市場がまだ残されており、アジアやアフリカ、また南米にも目を向け、たばこ事業の更なる成長を追求していきます。そして3つ目が日本市場も含めたRRPへの積極投資です。2014年からJT International S.A.社でRRPの責任者を務めてきましたが、その時からRRPに対しては投資を行い、製造能力や研究開発力などを高めてきました。2020年までには累計で2,000億円の投資が実施される見込みであり、一層強化を図っていきます。更に2019年度、グループでの最適資源配分を通じてより競争力を高めるためにR&Dグループの事業運営体制も見直しました。この3本の戦略でVisionの実現に向けて走り始めたところです。

「常に先を見て判断をする。利益が出なくなってからでは、何事も適切な判断を下せなくなる」

RRPの成長の速さが世界から注目されたのが日本市場です。国内たばこ市場における加熱式たばこの占有率は、ほとんど何もなかったところから2016年通年で3%、2017年通年で12%、2018年には通年で21%まで成長しました。日本でRRPに対しこれだけのニーズがあったわけですが、我々は日本市場のリーダーであるにもかかわらず、そのニーズに気付かずに、他社の商品がお客様に受け入れられました。我々が本来真っ先に気付くべきだったという反省とともに、営業部隊には、お客様を中心に捉えてすべての行動を見直し、どう改善すべきなのかを考え直してほしいと話をしました。

我々はお客様中心と言っているが、お客様というよりたばこ販売店やコンビニエンスストア等のお得意様に偏りすぎていたのではないか。売場をどう抑えてどう陳列するかなどに気を取られ過ぎていなかったか。そして本当にお客様のニーズを聞く体制ができ上がっていたのかと反省することから2018年度はスタートしました。営業部隊を中心に、お客様と直接コミュニケーションを取れるような体制とし、お客様のニーズを引き出しながら、色々な選択肢を提供する。幅広いニーズを満たす選択肢を提供できる体制をつくって、商品を開発しお客様に試していただく。良ければ商品を拡販し、ダメなら新しいものを早く出す。お客様のニーズがどういうところにあって、それを満たすものは何か、想像を広げ開発をする。これを繰り返していく。当たり前のことではありますが、その心構えと意識付け、それを実現する体制づくりが2018年度にかなり進みました。同年度、低温加熱式のPloom TECHを全国展開し、2019年1月にはより吸い応えのあるPloom TECH+と、高温加熱式のPloom Sを発売し、ラインアップ拡充を図っているところです。

Ploom TECHは、JT独自の低温加熱方式により、においの発生を大幅に減少※1 させ、多彩なフレーバーとクリアなたばこの味わいをお愉しみいただける商品です。日本市場の特徴でもありますが、においに関して非常にセンシティブなお客様がいらっしゃり、またたばこを吸わない方もにおいにセンシティブであるという特性があります。このにおいの問題の解決にRRPが一助となっており、これからも大きな機会になるとみています。お客様を業界やシーン、施設といった側面で捉えてみると、工場、高齢者施設、運送業、ホテルなどで色々なニーズがあります。例えば高齢者施設では安全面から火を使わないという社会的ニーズがあります。運転手さんも火を使わないことに加え、灰皿を吸いがらでいっぱいにしたくない、次の運転手さんに代わっても問題にならないよう、においを残したくない。喫煙者がホテルでたばこを吸うにはどこへ行けば良いか。このように様々な社会的・潜在的ニーズないしは課題を我々の商品を通じて解決できると考えています。そしてたばこを吸われる方もたばこを吸われない方も共存できる社会の実現に向けて貢献できるのです。このようにニーズをあらゆる観点から深掘りしてRRPを広げることで、ビジネス機会を創出できると考えています。

※1

紙巻たばこのにおいの濃さを100%とした場合、1%未満

更に規制も機会と捉えることができます。東京オリンピック・パラリンピックに向けて昨年、改正健康増進法が公布され、2020年4月までに段階的に施行されます。Ploom TECHの特徴をご理解いただいた飲食店では、現在禁煙エリア(紙巻たばこの使用が禁止されているエリア)でもPloom TECHなら使用できる環境を提供しています。このような飲食店は、一年前は800店舗ほどでしたが、今は3,700店舗を超えました。Ploom TECHのベネフィットを、お客様だけでなく、お店のオーナーにしっかり説明することで「これは良いね、吸う人も吸わない人も共存できる」と、自分の店で愉しんでいただける商品として採用していただき、一年でこれだけ店舗数が増えたのです。先ほど、お客様と直接コミュニケーションが取れる営業体制に進化させていると話しましたが、地域特性を吸い上げ地域に根ざしたネットワーキングの強化もこの一年の成果とみています。

RRPも世界市場ではまだ黎明期といえます。日本ではかなりのスピードで成長しましたが、日本以外の国でそのような速さで成長している国はなく、日本でまず体制を整え直してシェアを取っていくことができれば、そのノウハウをもって世界で展開できると考えています。勝負はこれからです。

「プレッシャーは相当あるが、社員の熱意、商品の製造体制も整った。これからが本当の勝負だ」

サステナビリティ戦略が事業の持続的な成長を後押しします。

JTグループが持続的に成長するためには、社会の持続的な発展に向けて事業を通じて貢献することが必要不可欠であることから、2018年度からサステナビリティ戦略を始動させています。世界情勢や規制が目まぐるしく変化し、RRPの急成長で環境が更に大きく変わってきている中では、サステナビリティを経営の中核として考えていく必要があります。2019年、サステナビリティ専任の役員を就任させ、CSR部門をサステナビリティマネジメント部門へと進化させました。サステナビリティ戦略を我々の事業活動、SDGsとひも付けし、グローバルベースで進めることで会社としてのコミットメントを高めていきます。

たばこ事業ではサステナビリティ戦略として4つの注力分野 (1)お客様の期待を上回る製品・サービスの提供、(2)人財への投資、(3)持続可能なサプライチェーンの構築、(4)事業を取り巻く規制への適切な対応と不法取引の防止を設定しています。また、4つの注力分野をJTグループの3つの基盤「人権の尊重」「環境負荷の軽減と社会的責任の発揮」「良質なガバナンスと事業規範の実行」が支えています。注力分野においては、具体的なターゲットを設定し、PDCAサイクルを回しながら取り組むことで、事業の持続的な成長を後押ししていきます。持続可能なサプライチェーンの構築を例に取ると、持続的な葉たばこの調達のためには、ただ市場に出回っている葉たばこを購入するのではなく、グローバルでは葉たばこの半分を葉たばこディーラーから、残りの半分を直接契約農家から調達しています。安価で質の高い葉たばこの長期に亘る供給を守ることは、将来の事業成長に欠かすことのできない要素であり、数多くの農家と強固な信頼関係を築くことにより、農家の所得や生活水準の向上、労働慣行、環境及び社会的影響の改善にも取り組んでいます。また2011年より、ARISE(Achieving Reduction of Child Labor in Support of Education)プログラムを通じて、葉たばこ農家における児童労働問題の根本的な解決を目指しています。同時に、環境対応も必須です。責任ある企業として、環境負荷を高めることのない事業運営を実践しています。環境長期計画2020では、グループ全体の環境負荷低減の取り組みを進め、主要目標である温室効果ガス削減目標を3年前倒しで2017年に達成しました。更に先を見据え環境計画2030の準備を開始しています。新計画では、JTグループのみならず、我々のバリューチェーン全体に長期的に影響を及ぼし得る環境課題への取り組みを強化していきます。

自ら変革し、変化を起こし、持続的成長の実現を目指していきます。

どのような環境下においても、経営資源配分の最優先は事業投資と考えています。また事業投資による利益成長と株主還元のバランスも重視し、安定的、継続的に増配を続けていきたいと考えています。株主還元については、これまで為替一定ベースの調整後営業利益の成長スピードに合わせて増配を実施してまいりました。この基本方針に変わりはありませんが、強固な財務基盤を維持しつつ、これからも安定的、継続的に配当を伸ばすことを考え、今年度からは当期利益の水準も勘案することにしました。あくまでも中長期の持続的な利益成長につながる事業投資を最優先しそのリターンを、グローバルFMCG※2 の還元動向を引き続きモニタリングしながら、資本市場での競争力あるレベルで還元していくという考えです。

2018年、社長就任一年目をあらゆる施策とともに駆け抜けて来ました。たばこ事業はまだまだ成長できる余力があり、成長させる自信もあります。国内たばこ事業の収益は2018年度をボトムと捉えていて、2019年度は増収、増益プランを描いており、それを実行していきます。海外たばこ事業も2018年度からプライシングをドライバーとした利益成長に回帰していますので、たばこ事業全体で、中長期のMid to high single-digitの成長を実現していきます。医薬事業は引き続き、事業基盤の再構築に取り組んでいきます。加工食品事業は2019年に食品事業企画室を設立しました。新事業運営体制のもと持続的な収益向上に努め、医薬・加工食品両事業で、全社利益成長の補完を目指します。

テクノロジーの進展や経営環境の急激な変化によって、従来の成功モデルが通用しなくなっている昨今、我々の指針となる不変の4Sモデルを通じて、そして多様な人財がより大胆に、よりスピーディに行動し、自ら変革し変化を起こしていく会社となることで、持続的成長の実現を目指してまいります。

※2

グローバルFMCG:ステークホルダーモデルを掲げ、⾼い事業成⻑を実現しているグローバルFMCG(Fast Moving Consumer Goods)企業群

持続的成長に向けたロードマップ
(アニュアルレポート2018 ハイライト)

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