栽培

植物としての「タバコ」

ナス科の植物

植物としてのタバコはナス科タバコ属に分類されています。同じナス科の植物であるナスやトマト、ジャガイモなどと同様にアメリカ大陸を原産地とし、世界各地で栽培されています。現在、喫煙の用途で栽培されているのは、主にニコチアナ・タバカムとニコチアナ・ルスチカの2種類です。

タバコの種

タバコの種は直径約0.5㎜ととても小さく、見た目はコーヒーの粉によく似ています。約12,000粒程でようやく1gになるほど、非常に微細なため、苗床で育苗してから本畑に移植します。

タバコの花

ナスやトマトと同様に、タバコにも綺麗な花が咲きます。しかし、主役である葉に充分な栄養を行き渡らせるため、花は咲くと同時に切り落としています。これを「心止め」といいます。

タバコの葉

草丈は花が咲くころには約120㎝以上まで生長し、約20枚程の葉をつけます。タバコの葉の大きさは、大きいもので長さが約70㎝、幅が約30㎝程にまで成長します。

葉たばこの種類

世界の生産量のうち、黄色種が約6割、バーレー種が1割強、オリエント種が1割弱、残り2割を在来種とその他品種が占めています。

黄色種

肉厚で鮮明な黄色の葉と、糖含量が高く甘味を含む豊かな香りが特徴。
加熱送風機を用いて短期間で乾燥させる。
世界で最も多く生産されている品種で、主に温帯地域で栽培されている。

バーレー種

葉肉は薄く褐色、チョコレート様の香りを含み、キックと呼ばれる爽快な刺激を伴い、香料がなじみやすいが特徴。
主に自然の温湿度、通気条件で乾燥させる。
黄色種よりもやや冷涼な地域で栽培されている。

オリエント種

草丈が低く葉も小さいが、豊富で優雅な香りが特徴。
機械乾燥ではなく、直接日光に当てて乾燥させる。
主に地中海性気候の石灰岩地帯で栽培されている。

日本の葉たばこ栽培

日本では江戸時代から各地で耕作されるようになり、土地ごとに異なった気候や土壌に育まれ、多くの品種が生まれました。紙巻きたばこ(シガレット)の需要の高まりとともに、黄色種やバーレー種へ生産が切り替わりましたが、現在も日本独自の在来種の生産は続いています。在来種は葉肉が薄く、やわらかい喫味が特徴です。

日本における葉たばこ生産は契約農家により行われており、また、葉たばこは他の農作物同様、自然環境下において栽培されています。(撮影地:岩手県二戸郡一戸町)

栽培カレンダー

種まきから収穫、乾燥、出荷まで約10ヵ月かけて栽培されます。

乾燥

葉たばこ栽培における乾燥は、葉たばこの味と香りを決める非常に重要な工程です。
乾燥工程では、適切な温湿度条件下で酵素の働きを高めることにより、葉中に蓄積されたタンパク質やでんぷんなどがアミノ酸や糖に分解され、葉たばこ特有の香りや味が作り出されます。葉たばこの種類や特徴によって、適した乾燥方法が異なります。

出荷された葉たばこは、原料工程、製品工程を経て製品としての「たばこ」になります。

世界の葉たばこ栽培

葉たばこの生産国

喫煙風習とともに葉たばこの栽培は世界各地に広がり、それぞれの地域において品種改良され、栽培が定着していきました。 現在も世界100カ国以上で生産されており、最も多いのは中国、次いでブラジルとインドです。

出典:FAO(国連食糧農業機関) Tobacco, unmanufactured 2017年1月末時点

単位:千トン
主要生産国 2014年
中国 2,995
ブラジル 862
インド 721
アメリカ 398
インドネシア 196
パキスタン 130
マラウイ 126
アルゼンチン 119
ザンビア 112
モザンピーク 97
日本 20

生産量の推移