浮世絵とたばこの世界 其の弐

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浮世絵とたばこの世界  其の弐 1.Top 2.役者絵の世界 I 3.役者絵の世界 II 4.美人画の世界 I
浮世絵とたばこの世界 5.美人画の世界 II 6.風景画の世界 I 7.風景画の世界 II 8.日本浮世絵博物館
 
浮世絵の種類――風景画の世界
 
風景画とは―― 浮世絵の種類――風景画の世界
巧みな遠近法を駆使して風景を描いた、「風景画」。大家としては、葛飾北斎(かつしかほくさい)と歌川広重(うたがわひろしげ)が有名です。名所や史跡などの風景そのものを描いたもの、当時の旅の様子を描いたものなど種類もさまざま。
当初は、地方から江戸へ遊びに来た人々がお土産に買って帰るために、江戸の名所を描いた浮世絵(名所絵)が主流でした。その後、東海道や木曽街道など日本各地の名所を描いものも多数誕生。旅人が旅先で遭遇した出来事などが、旅情感たっぷりに描かれています。
当時の人々は、現代ほど気軽に旅へ出かけることができなかったため、「風景画」から空想の旅を思い描いていたのかもしれません。
浮世絵の種類――風景画の世界
旅の中のたばこ――
腰元に“たばこ入れ”をぶら下げ、キセルを差しているのが、江戸時代の旅人のスタイルだったようです。当時の人々にとって、たばこは旅の大切な相棒。しかし、現代のようにライターやマッチが発達していなかった当時、旅先で一服するのはなかなか至難の業だったとか。街道にある焚き火で火をつけたり、旅先で知り合った者同士、火の貸し借りをしている様子が描かれています。
また、旅先で立ち寄った茶屋や美しい風景を目の前に、愛用のキセルでほっとひと息ついているシーンも「風景画」にはつきものと言えるでしょう。
風景画と風景・旅人 浮世絵の種類――風景画の世界
風景画と風景・旅人  
役者絵の世界
冨嶽三十六景 / ふがくさんじゅうろっけい
Hokusai Katsushika葛飾北斎

冨嶽三十六景
zoom/ 80k
  「風景画」といえば、やはり葛飾北斎の『冨嶽三十六景』シリーズ。
富士山をさまざまな角度から描写した見事な錦絵です。この浮世絵は、富士山を眺めるのによい、街道筋の茶店が舞台。旅人の女性に富士山を指差して説明している姐さん、キセルで一服しながらひと休みしている旅人、わらじを作っている民衆など、旅人が立ち寄る茶店の日常風景が描かれています。
木曽街道六拾九次之内 軽井沢
72k /zoom
木曽街道六拾九次之内 軽井沢
 / きそかいどうろくじゅうきゅうつぎのうち かるいざわ
歌川広重Hiroshige Utagawa

同じく、北斎と並び「風景画」の大家といえば歌川広重。旅先の風景や宿場の様子などを描いた、世界的にも有名な『東海道五拾三次』シリーズや『木曽街道六拾九次』シリーズなど、数々の名作があります。この浮世絵では、宿場へ急ぐ旅人が途中で焚き火を見つけ、一服する様子が描かれています。
 
日光山名所の内 素麺の滝
にっこうさんめいしょのうち そうめんのたき / 
日光山名所の内 素麺の滝
zoom/ 108k
Eisen Kikukawa菊川英泉

日光の名所を描いたこの『素麺の滝』は、現在の“竜頭の滝”と考えられています。愛煙家なら、壮大な風景を目にして、思わず一服せずにはいられない気持ちになったことがあるはず。岩間から勢いよく流れ下る滝の水を見事に描いただけでなく、キセルをくわえながらそれを見ている男性の心情も伝わってくるようです。
近江石山の秋月 無款
64k /zoom

近江石山の秋月 無款
 / おうみいしやまのしゅうげつ むかん
鳥居清倍Kiyomasu Torii

小舟に乗った旅人が、船頭と語らいながら、石山寺の岸辺から秋月を見ている様子を描いたもの。山々の上に広がる雲間から、ぽっかりと満月が浮かんでいる様は、まさに幻想的。ちなみに、旅人が吸っているキセルは、江戸初期のものです。
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