「世界最高健康都市基本構想(案)・世界最高健康都市実現プラン(案)」に関する意見

佐久市長 柳田 清二 殿

日本たばこ産業株式会社(以下、JT)は、今般、佐久市において公表された「世界最高健康都市基本構想(案)・世界最高健康都市実現プラン(案)」の中に記載の、「施策の主な取組み」(5)禁煙の推進(36ページ)に関しまして、当社の意見を述べさせていただきます。

佐久市におかれましては、たばこ(喫煙)は生活習慣病の危険因子であるという認識から禁煙を推奨されているものと承知しております。
しかしながら、たばこは合法な嗜好品であり、たばこを吸われる多くの方に認められている「喫煙の愉しみ」があります。また、たばこは、500年以上の永きにわたる歴史的背景をもち、多くの人々に親しまれ、多様な文化を築いてきました。
社会経済の視点から見ると、たばこは耕作者から販売店にいたる幅広い産業の担い手により支えられている製品であり、また、たばこを吸われる方々が負担しているたばこ税が国や地方自治体の財源に大きく貢献しているということも忘れられてはならない事実です。

たばこについては様々な意見、議論がありますが、たばことは、喫煙と健康に関する客観的・科学的な情報を踏まえて、喫煙するかしないか等を成人の方々自らが責任をもって判断すべき嗜好品であると考えております。

JTといたしましては、たばこ対策を検討する際には、上記のような幅広い観点から総合的に議論され、市民・事業者の合意の下、バランスの取れた現実的かつ合理的な対策にして頂きたいと考えます。

たばこ対策に関するJTの考え

1. (能動)喫煙について

たばこは、豊かな味わいや香りを愉しむため、リラックスしてひとときのゆとりを得るため、あるいは集中力を高めるためなど様々な理由から愛用されています。一方で、喫煙はリスクを伴います。喫煙の健康への影響については今後更なる研究が必要であるものの、肺がんなどの疾病や、妊娠に関連した異常のリスクを高めることが、主として疫学研究により示されております。また、喫煙はなかなかやめられないと言う方々も多くおられます。

JTといたしましては、たばこは合法な嗜好品であり、喫煙するかしないかは、適切なリスク情報を承知した成人個々人が、健康に与える影響を勘案しつつ、自らの責任でそれぞれが判断すべきものであると考えております。そのため、仮に禁煙を目的とした規制を検討するということであれば、個人の嗜好の問題に行政が介入して個々人の判断を特定の方向に向くよう強制しようとすることに他ならず、問題であると考えます。

喫煙と健康に関する様々な問題についてのJTの考えは、JTのwebsiteにて公表しております。
今後、市が、喫煙の健康影響に関する市民への情報提供資料等を作成する際には、JTの持つエビデンスの提供等により協力させていただきたいと考えております。

2. 受動喫煙について

受動喫煙とは、環境中たばこ煙、すなわち、喫煙者が吸入した煙(主流煙)の吐出煙と、たばこの先端から出る煙(副流煙)とが、空気中で拡散し薄められたものを喫煙者の周囲の人が吸い込むことを言います。JTは、環境中たばこ煙がたばこを吸われない方の疾病の原因であるという主張については、科学的に説得力のある形では示されていないと考えております。ただし、たばこの煙は、たばこを吸われない方々にとって迷惑となることがあるため、たばこを吸う際には周囲への配慮が必要であり、また、乳幼児、子供、お年寄りなどについては、特段の配慮が必要です。

JTは、たばこを吸われる方と吸われない方とがお互いに我慢や押し付けをすることなく共存できる社会を実現したいと考えており、たばこを吸われる方に対し、吸われない方への配慮をお願いする喫煙マナー啓発活動を行う一方で、吸われない方がたばこの煙で迷惑を被らないよう、施設管理者の方に分煙に関するアドバイスを行う分煙コンサルティング活動等の分煙環境の整備を推進しております。

受動喫煙の防止という目的は、適切な分煙により達成可能であるため、官公庁や病院等公共性が極めて高く代替性の低い施設は、分煙を推進する必要があるとJTは考えております。
また、民間サービス業施設においては、利用者が多数の同業施設から選択できる点で官公庁等の代替性の低い施設とは異なっており、それぞれの施設が喫煙可、分煙、禁煙といった、施設の喫煙ルールを店頭に表示することで、利用者が意図せずにたばこの煙に曝されることを回避できると考えております。
なお、JTは、不特定多数の方が利用する施設等を一律に禁煙にすべきであるという考え方には反対です。仮に法令により禁煙を強制するとした場合、たばこを吸われる方に多大なる影響を与えるだけでなく、飲食業等にも大きな影響が生じると考えられます。実際、屋内禁煙等の規制が導入された国や地域では、飲食店の売上減少、屋外喫煙スペース拡大のための設備投資競争による小規模施設の廃業、従業員の解雇などの様々な影響が報じられております。

JTは、市が分煙環境の整備を進めるに際して、分煙コンサルティングや、JTのwebsiteにて公開している店頭表示ステッカーツール等を展開してきた経験に基づくノウハウ、知見等を提供することにより、具体的な協力が可能であると考えております。

3. 未成年者喫煙防止について

未成年者は決して喫煙すべきではありません。
未成年者は、心身の発達過程にあってそれぞれの性格及び生活様式が未確立であり、かつ判断力も十分ではありません。加えて、未成年者の喫煙は法律によって禁止されています。
JTは、未成年者の喫煙防止は大変重要な課題であると認識し、企業としての社会的責任を果たす観点から、関係団体と連携しつつ未成年者喫煙防止のための諸対策を実施しています。
未成年者喫煙問題は、たばこ業界だけで解決できる問題ではなく、家庭教育を含め社会全体で取り組む必要のある問題です。JTとしても、未成年者喫煙防止に向け、引き続き諸対策を積極的に実施していくとともに、関係団体との連携を一層強化していきたいと考えています。

JTを含め業界としては、現在、たばこ販売店店頭・マスメディア等での啓発活動、各地域のたばこ販売組合や自治体・警察署等関係機関との「未成年者喫煙防止対策協議会」の設立、成人識別たばこ自動販売機の稼動、などの具体的な活動を行っております。
市が、未成年者喫煙防止のための啓発施策を実施する際には、JTといたしましても、積極的にご協力させていただきたいと考えております。

最後に

JTは、これまで、たばこを吸われる方と吸われない方とが協調して共存できる社会の実現を目指す様々な取り組みを行ってまいりました。
今後、市がたばこ対策を検討する際には、これらの経験から得たノウハウ・知見の提供等で協力したいと考えており、今後も具体的な提案をさせていただくとともに、事業者の方々に対しJTの分煙に関する知見の提供等を行なってまいります。
JTのこれらの取り組みは、市において、たばこを吸われる方と吸われない方とが協調して共存できる環境を実現するに際し、様々な形で貢献できるものと確信しています。

2011年11月7日
日本たばこ産業株式会社
高崎支店長 吉澤 秀一

※「世界最高健康都市基本構想(案)・世界最高健康都市実現プラン(案)」の詳細については、佐久市のホームページに掲載されております。