仕掛学を利用した光学迷彩型の喫煙所

仕掛学を活用した
「光学迷彩型喫煙所」実証実験
レポート

2022年12月24日より約3か月間に渡り、仕掛学を活用した光学迷彩型喫煙所の実証実験を実施しました。

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人の好奇心を掻きたてて行動を促すことをポイントにした仕掛学を活用し、「ついついマナーを守りたくなる」喫煙所として、今回実験的に設置した光学迷彩型喫煙所。この「光学迷彩型」はミラーを駆使して、喫煙所を街の景観に溶け込むようにするというアイデアです。一見すると人が消えるような不思議なデザインにすることで、かえって周囲から注目を集めることになり、中でたばこを吸っている人たちもつい襟を正してしまう、という仕組みです。

喫煙所の中の様子。まるで囲いがないかのようなデザイン。

この喫煙所によって、たばこを吸う人がよりマナーを守ってたばこを吸いたくなるのか。また、たばこを吸う人、吸わない人がともに共存することができる喫煙所について、さらに検討するために実験を実施しました。
喫煙所を設置後、利用者の方々へWEB調査及び実地アンケートを行い、様々なご意見をいただきました。

実際の喫煙所の様子

たばこを吸う人の声

アンケート回答時、半年のうちで喫煙所からはみ出して喫煙をしたり、歩きたばこ等のマナー違反をした経験がある人のうち約75%の人が光学迷彩型喫煙所であれば、「よりマナーよく喫煙したい」と回答いただきました。

【アンケート】
このような喫煙所であれば、よりマナーよく、喫煙したいと思いますか?

出典:実地アンケート(2023年2月25日~2月28日)

また、WEB調査では、一般的なパーテーション型喫煙所と光学迷彩型喫煙所と比べて、どちらがきれいに使用されそうかと聞いたところ、約2倍の人が光学迷彩型喫煙所と回答いただきました。喫煙所に限らず、「割れ窓理論」のように喫煙所自体が汚れた状態だと、利用者はつい汚して良いものと考えてしまうこともあるので、きれいな状態を保てる工夫も考えていきたいと思います。

【アンケート】次にあげる意見についてはどう思いますか。

光学迷彩型喫煙所
(n518)
一般的な
パーテーション型喫煙所
(n515)
機能的なデザインだ 16.6% 11.8%
喫煙所の中の
雰囲気が良さそう
14.9% 7.0%
喫煙所を
きれいに使われそう
22.6% 13.0%
地域の中で
受け入れられそう
12.2% 10.3%
出典:WEB調査(2023年1月5日~1月10日)
※各回答者を2つに分け、片方には光学迷彩型喫煙所、もう片方は一般的なパーテーション型喫煙所のみを見せて回答してもらう手法(モナディック法)を採用

光学迷彩型喫煙所によって、より良いマナーで喫煙する人が増加する可能性を感じることができました。

喫煙所の中でたばこを吸っている人たちもつい襟を正してしまうという仕組み

たばこを吸わない人の声

今回の光学迷彩型喫煙所は、ステンレスミラーの柱を林立させることで光学迷彩のような視覚効果が生まれ、喫煙所が街の景観に溶け込むような特徴がありますが、たばこを吸わない人から見ても、約68%の方が一般的な喫煙所と比べて、「景観に溶け込んでいる」との回答をいただきました。

喫煙所は視認性の確保ももちろん重要ですが、街の景観に溶け込むことで、まちかどにあっても気にならない、あっても良い施設という存在になるよう、引き続き取り組んで参りたいと思います。

【アンケート】
この喫煙所は普通の屋外喫煙所と比べて景観に溶け込んでいますか?

出典:実地アンケート(2023年2月25日~2月28日)

つづいてたばこを吸わない人へのアンケートとして、光学迷彩型喫煙所によってたばこを吸う人のマナーが向上された場合、まちかどに喫煙所があっても良いと思うか聞いたところ、約85%の方が「そう思う」「ややそう思う」と回答いただきました。

【アンケート】
このような喫煙所によって、喫煙者のマナーがよりよくなるのであれば、街に喫煙所があっても良いと思いますか?

出典:実地アンケート(2023年2月25日~2月28日)

加えて、WEB調査では、近くにある喫煙所と変えてほしいと回答した人は、一般的なパーテーション型喫煙所と比べて、約1.4倍の方が光学迷彩型喫煙所を選択いただきました。

「自分の近くにある喫煙所と変えて欲しいのは」に対する回答

光学迷彩型喫煙所 一般的な
パーテーション型喫煙所
たばこを吸う人
(n1,033)
45.8% 33.5%
たばこを吸わない人
(n1,026)
39.1% 27.1%
出典:WEB調査(2023年1月5日~1月10日)
※光学迷彩型喫煙所、一般的なパーテーション型喫煙所の双方を見せたうえでの回答結果

今後も私たちは、喫煙所を通じ喫煙マナー向上に加え、さまざまなマナー啓発活動を実施することで、「まちかど」にある喫煙所が、たばこを吸う人も吸わない人も双方が共存できる場所となり得るよう取り組みを続けて参ります。

参考

松村先生による仕掛学の観点による結果はこちら!
仕掛学研究会のホームページ:https://www.shikakeology.org/ 別窓で開く

調査概要

実地アンケート:
調査期間2023年2月25日(土)~2月28日(火)
調査対象光学迷彩型喫煙所の設置施設利用者
有効回答者数117人(たばこを吸う人:49人 たばこを吸わない人:68人)
WEB調査:
調査期間2023年1月5日(水)~1月10日(火)
調査対象20~60代男女
全国47都道府県 118都市
有効回答者数2,059人(たばこを吸う人:1,033人 たばこを吸わない人:1,026人)

CASE STUDY