JTグループの人財マネジメント

JTグループ人財マネジメントポリシー

私たちは、JTグループの持続的な成長に資するべく、「人財の多様性こそ、競争力の源泉である」という認識のもと、従業員に対して、次に掲げる責任を中長期にわたり高い次元で果たしてまいります。

従業員はJTグループにとって財産であり、従業員の能力と意欲こそが企業活動の原動力となっています。従業員や社会から選ばれる企業でありたいと考えており、よりよい職場環境と企業文化を通じて、優秀な人財を惹きつけるとともに、従業員がやりがいを持ち続けられるようにすることで質の高いパフォーマンスを発揮できるよう努めています。今後もさらに、多様性を尊重する企業文化を創造してまいります。

JTグループの労働安全衛生

JTグループの取り組み

目指す姿

私たちは、人財への投資を通じて、従業員や社会から選ばれる企業になることを目指します。

中期取り組み目標(KPI)

人財マネジメント、報酬、成長支援に重点を置き、毎年少なくとも、世界60カ国以上でJTグループの事業所が「社員が働きたい企業」として選ばれることを目指します。

進捗

JTグループの事業所が所在する61カ国において、Top Employer Instituteから「社員が働きたい企業」として認定されました。このうち19カ国では、同種の他の認定も受けています。

たばこ事業のサステナビリティの取り組みに関する進捗はこちらをご覧ください。

上記はたばこ事業における注力分野、目指す姿と中期取り組み目標の進捗です。

JTグループでは、現在次の4つを重点分野として取り組んでいます。

従業員エンゲージメント

責任ある企業として、JTグループは従業員とのエンゲージメントを重視しており、多面的に従業員とのコミュニケーションを図っています。また、従業員がいきいきと働ける職場環境を醸成し、労働組合との建設的な関係を維持すべく努めています。

JTグループでは、従業員ファーストの企業文化が実効性を伴ったものとなっているかを評価するため、地域や部門単位での従業員サーベイを毎年実施しているほか、グループ全体での従業員エンゲージメントサーベイも3年に一度実施しています。従業員からのフィードバックは、JTグループの強み、過年度からの進捗、改善点を把握するのに役立ち、働きやすい職場として優れた人財を惹きつけ定着させる一助にもなっています。

2022年の従業員エンゲージメントサーベイ

2022年には、世界中の5万人以上のJTグループ従業員を対象に、全事業で同じ質問を用いたものとしては初の従業員エンゲージメントサーベイを実施しました。回答率は92%と非常に高く、外部のベンチマークを17%上回りました。グループ全体の従業員満足度スコア(「この会社で働くことについてどう感じているか」)は77で、ベンチマークとする世界上位10%の企業の平均スコアである81を下回りました。日本における事業運営体制の変革やコロナ禍による働き方の変化など、社内外の大きな環境変化の影響が、従業員満足度スコアの下振れ要因と考えられます。この結果は、従業員エンゲージメントの向上が喫緊の課題であることを示しており、今後、明確かつ透明性の高いコミュニケーションを重視した取り組みを、役員主導のもと、実行してまいります。

結社の自由と労働組合

JTグループは、結社の自由と団体交渉権を、このような権利が法的に保障されていない国においても支持しています。私たちは労働組合や労使協議会とオープンで建設的な関係を築いており、仮に事業環境悪化のために拠点閉鎖を行わざるを得ない場合、影響を受ける従業員が公正に、また法律上の要件を上回る扱いを受けられるよう、労働組合と緊密に協力します。

JTグループは長年良好な労使関係を保ってきました。事業活動を行ういずれの国においても、労使関係はその国の労働法に則ったもので、労働組合や労使協議会とのオープンで建設的な関係を目指しています。労働組合との対話は通常各国単位で行われ、経営計画や戦略、事業上の課題などが話し合われます。

なお、EUにおいては、EUの法規制に基づき、私たちは欧州労使協議会との間で自主的に協定も締結しています。欧州労使協議会は、JTグループの欧州での事業運営に関連する国境を越えた問題についての従業員への情報提供および協議のための機関です。欧州労使協議会は、従業員代表と経営陣で構成され、毎年定期的に協議を行っています。

人財の育成・定着

人の向上心に限界はないと私たちは考えており、「目標に向けた成長」のため、日々学び、成長する自由と機会を従業員に提供しています。目標を達成し、より高いレベルのパフォーマンスを発揮するため、すべての従業員には、継続的に学習する意欲を持ってほしいと考えています。

JTグループでは、従業員のスキルアップのために、グローバルに一貫して行うプログラムから、国や地域独自で実施するものまで、幅広い学習プログラムを提供しています。多くの研修はオンライン化しており、在宅勤務中でも新しいスキルを習得できるよう図っています。マネジメントを含むすべての従業員に継続的な人財投資を行うことで、従業員一人ひとりが自らのキャリアをよりよいものとしていくことができるよう後押ししています。

人財育成・定着に対する私たちの強い想いは、マネジメントへの登用率に表れています。JTグループにおけるマネジメントへの内部登用率は8年以上に亘り90%を上回り、2022年は94.2%でした。また、社外からも多くの優秀な人財を採用しています。

従業員のエンゲージメントを高め、従業員の定着率や仕事の生産性と質の向上につなげるためには、それぞれの従業員の状況に合わせたさまざまな機会を提供することが不可欠だと考えています。JTグループ全体における2022年の離職率は12.1%でした。

階層やニーズに合わせた能力開発

すべての従業員を対象に、包括的な学習・能力開発プログラムを提供しています。リーダーシップや専門スキル向上のためのこれらのプログラムは、基礎から上級まで、従業員のスキルや階層に応じたレベルのものを受講できます。これらのプログラムはすべてオンラインで提供されており、勤務地にかかわらずアクセス可能です。

たばこ事業の従業員は、個人ベースまたはチームベースの能力開発プログラムを選択できます。動画研修を含めた様々なe-ラーニングやターゲットを絞った上級レベルのマイクロラーニング、有名ビジネススクールが提供するコース、コアトレーニングプログラムなどがあり、ゲーム感覚で取り組めるプログラムや学習シミュレーションなど、さまざまなオプションを選ぶことができます。また、若手人財の能力開発を支援・加速するために、たばこ事業全体でのさまざまなリーダーシップ開発プログラムも提供しています。コラボレーションに基づく学習プログラム(コーチングとメンタリング)の人気は高く、2022年には1,325人の従業員がプロのコーチまたは社内のメンターからのサポートを受けました。これらのプログラムを通じ、継続的な従業員の能力開発とスキル向上を図っています。

日本では、2020年に国内従業員向けの研修プログラムを一新しました。成長ステージを5段階に分け、能力開発、役割理解、内省などをテーマとする、それぞれのレベルに応じたプログラムに従業員は参加することができます。また、OJTとこのような研修プログラムとを関連させることで、人財育成の強化を図っています。

さらに、従業員のキャリア開発には管理職が重要な役割を果たすため、年間を通じて、業績評価とキャリア面談を定期的に実施しています。JTグループでは、従業員の能力を最大限に引き出すため、管理職と従業員が定期的に面談するよう図っています。2022年には、グループ全体の従業員の96.2%が業績評価面談を行いました。また、希望する従業員は360度評価を受けるようになりました。

人財の確保

JTグループにとって、優秀な人財の確保も重要事項です。JTグループは世界中で事業活動を行っていますが、国によってはまだあまり社名が知られていない場合もあり、そうした国では、いかに優秀な人財との接点を持てるかが重要となります。

ジェネレーションZ(1990年代後半以降に生まれた世代)と呼ばれる世代を惹きつけ、従業員として確保することが特に重要です。JTグループでは、この世代の採用が増えており、この世代ならではのスキルがJTグループのイノベーションを後押しするものと考えています。ジェネレーションZが仕事に求めるものはこれまでの世代とは異なるため、サステナビリティの観点からも、彼らの考え方を理解することが非常に重要です。

そのため、たばこ事業では2019年に初のグローバル・インターンシップ・プログラム「Make It Bright」を開始し、17カ国の学生たちがJTグループの事業を成長させるためのアイデアを競い合いました。この第一回の成功を受けて2021年には36カ国に対象国を拡大しており、8,000名を超える応募がありました。2022年10月にスタートした2022年版「Make It Bright」では、未来の職場をテーマとしたアイデアを競いましたが、学生が参加しやすくなるよう、より柔軟な形での参加を可能にしました。各国の優勝者は、2023年5月に行われた決勝大会で、6カ月間の有給のインターンシップを賭けて対決しました。過去の受賞者の中には、その後正式に社員として採用された人もいます。

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

私たちにとって「多様性」とは、従業員および従業員候補者の性別、性的指向や年齢、国籍だけでなく、経験、専門性など、様々な違いを表しています。「インクルージョン」とは、すべての従業員を尊重し、公正な処遇を行い、誰もが同じチームの一員だと感じられるようにすることです。

JTグループでは、すべての従業員が仕事にやりがいを感じ、能力を最大限発揮できるよう、職場におけるダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進しています。私たちは職場における多様性が新たなアイデアや問題解決につながる視点や意見を生み出し、ビジネスを前進させる原動力になると考えています。

いくつかの点で、JTグループはすでに多様性に富んだ組織となっています。100以上の国籍の従業員が働いているJTグループでは、差別がなく、誰もが個性を発揮できる職場づくりは不可欠です。さらに競争力の高い企業となるために、私たちはトップマネジメントを含めグループ全体でさらにダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推し進めていきたいと考えています。

ジェンダーの平等 - 女性活躍推進

JTグループでは男女のバランスがとれた人員構成となるよう注力しており、経営課題のひとつとして、取締役のコミットメントの下、さまざまな取り組みを実施しています。女性従業員の更なる成長に向け、トップマネジメントや直属の上司を対象とした勉強会や、女性従業員を対象とした研修やセミナーを開催しています。女性マネジメント比率については、40%を超えることを理想とし、「2030年までに女性マネジメント比率25%」というグループ目標を掲げ、一層取り組みを推進しています。

日本では、女性従業員のキャリアアップを支援するために、さまざまな研修会やセミナーを実施しています。また、仕事と家庭生活のバランスをとるための支援体制の充実にも取り組んでいます。さらに、社外研修プログラムやトップマネジメントとの座談会に参加する機会も提供しています。

JTグループでは、ジェンダー平等を事業上取り組むべき優先事項として掲げており、女性マネジメント比率を増やすとともに、すべてのレベルにおいてジェンダー平等を達成することにコミットしています。世界の人口の男女比はほぼ1:1であり、ジェンダー平等は必然だと私たちは考えています。

JTグループ全体のジェンダー平等に向け、性別に関わらず、職場における成長機会を誰もが平等に享受できるようにしていくことを目指しています。私たちは、女性のキャリアアップを加速させ、グローバルにジェンダー平等を推し進めるためのさまざまな取り組みを立ち上げています。トップマネジメントは、優秀な女性のキャリアアップを阻む障害を理解するための特別な研修も受けています。

人財マネジメントや採用に関し、ジェンダー平等に向けた多くの取り組みを実施しています。たとえば、たばこ事業では、採用面接において多様でバランスの取れた面接官が面接を行うようにし、最終面接を受ける候補者の割合は必ず男女同数となるようにしています。


Global Equality Standard

2021年、たばこ事業本社は、職場におけるジェンダー間の機会均等や報酬のレベルを測定する、国際的な監査・コンサルティング会社アーンスト・アンド・ヤングが新たに立ち上げた「Global Equality Standard」の第1回認定企業の1社として選ばれました。

認定に当たっては、柔軟な働き方に向けた施策やグローバル企業としてトップレベルの育児・介護休暇制度、従業員ネットワーク、ウェルビーイング向上施策、オンラインを活用した学習・研修プログラムの提供などが高く評価されました。

LGBTIQ+インクルージョン

グローバルに事業を行うJTグループは、すべての従業員にとって公正で働きやすい職場環境の構築に努めています。誰もが自分らしくいきいきと働き、能力を発揮できる職場にするためには、LGBTIQ+の従業員へのサポートが必要不可欠です。LGBTIQ+インクルージョン施策の一環として、私たちは、あらゆる性的指向、ジェンダー表現の従業員が公正に処遇され、能力を発揮できる職場の構築に向けた戦略や能力開発プログラム、LGBTIQ+インクルージョンに関する方針を策定しています。

PRIDEと名付けられたたばこ事業内のグローバルネットワークでは、700名以上のLGBTIQ+の従業員とそのサポーターがつながり、イベントなども開催しています。LGBTIQ+インクルージョンに対する意識を高め、従業員間の相互支援を図り、責任をもってこの課題に取り組んでいくため、PRIDEメンバーを中心とするグループも立ち上げました。

2020年には、ジュネーブにあるたばこ事業本社が、仏語圏スイスにおける「Swiss LGBTI Label」の初の認証企業の一つとなりました。

日本国内でも、LGBTIQ+インクルージョンの取り組みは着実に進められており、2023年にはJTが8年連続で、PRIDE指標で最高評価のゴールドを獲得しました。

人種や民族の多様性

JTグループは、人種差別を決して容認しません。あらゆる形態の差別を防止し、そのリスクを低減するための措置を講じています。人種、宗教、民族的出自、出身地、性別、年齢、障がいの有無、性的指向、配偶者の有無などによる差別やハラスメントのリスクを心配することなく、誰もが個性を発揮できるインクルーシブな職場文化を育んでいます。

新しい働き方

今日の世界がそうであるように、私たちも新しい働き方を採り入れるべく、さまざまな取り組みを行っています。JTグループでは、柔軟な働き方を可能にすることで、従業員の定着をさらに高めることを目指しており、従来のマネジメントスタイルがもたらす障害を取り除き、最新の社会状況に合わせた、あらゆる世代が恩恵を受けることができる働き方の実現に取り組んでいます。

たばこ事業では、2021年7月に従業員向けのグローバルな指針として「New Ways of Working (N-WOW)」をスタートさせ、2022年7月にはこれをグローバル方針と定め、順次展開を進めています。この方針に基づき、職場で過ごした時間ではなく成果にフォーカスしたハイブリッド型の働き方を採用しています。これにより、月の5割を上限とする職場外勤務やフレキシブルなコアタイム、年10日を上限とした自国外での勤務などが可能となり、勤務場所や働き方の概念が大きく変わりました。

日本では、2020年2月から、コアタイムなしのフレックスタイム制度や日数制限なしの在宅勤務を導入しました。「働きやすい職場づくり」のためには、多様な働き方を受容する組織風土をベースとしたワークライフバランスの尊重が不可欠であり、働き方の不断の見直しを実行していきます。今後も、各部門・各職場において、業務の特性や組織・個人の状況等を踏まえた、出社またはテレワーク、フレックス等を組み合わせたベストミックスの働き方を検討、実践していきます。

家族ファーストのアプローチ

たばこ事業では、2020年にグローバルでの新たな育児休暇制度を策定し、2021年1月から施行しました。今後、各国の法規制を遵守し、順次展開していく予定です。この制度では、従業員が出産、代理出産、養子縁組のいずれかにより親となった場合、性別、性的指向、年齢、勤務国に関係なく、20週間の育児休暇が有給で与えられます。

日本では、育児休暇や配偶者出産休暇に加え、保育料補助等の育児に関する補助を行っています。これらの取り組みが認められ、JTは、厚生労働省から次世代育成支援対策を推進している企業として、「プラチナくるみん認定」を取得しています。

また、育児だけでなく、高齢化が進む一部の国では、介護をしている従業員に対する支援も提供しています。例えば、英国では、従業員が高齢の家族の世話をするために休暇を取ることを認めています。同様に、日本国内では、従業員は必要に応じて介護休暇を取ることができ、介護にかかる費用の一部負担も行っています。

今後も、従業員のウェルビーイングに向けた制度の拡充に取り組んでいきます。

たばこ事業の取り組みについては、JTインターナショナルのサステナビリティサイト別窓で開く(英文)をご覧ください。