不法取引防止に向けた取り組み

不法なたばこ製品の年間消費量は、専門家によると世界の紙巻たばこ販売数量(中国を除く)の10%以上を占めており、毎年約450億米ドルの税収が失われていると推計されています。この不法取引は、人身売買、組織犯罪、テロ組織の拡大を助長し、正規なたばこ事業に悪影響を及ぼします。また、違法なたばこ製品は、遵守すべき規制や品質管理の要件を満たさないことから、お客様にも悪影響を及ぼすものと考えています。このためJTグループは不法取引への対応を最優先事項として取り組んでおり、その結果JTグループの不法取引対策チームは、この問題への対応における業界のリーダーとして評価されています。

目指す姿

私たちは、公正でバランスの取れた規制策定に向けた政策立案に積極的に協力します。また、不法取引に対処するために各国政府との連携を強化します。

中期取り組み目標

関係当局との対話を進め、違法なたばこ製品の製造および流通等に関する情報交換を行い、不法取引の減少に対する取り組みを支援します。

進捗

2019年において、1,129件の情報報告を関係当局に提供するとともに、2,687人の関係当局職員に対して、偽造品の見分け方について助言を実施しました。
詳しくはこちらをご覧ください。

・2019年の主な成果

  • 2019年において、1,129件の情報報告を関係当局に提供するとともに、2,687人の関係当局職員に対して、偽造品の見分け方について助言を実施

  • JTグループから関係当局への情報提供により、32億本以上の違法たばこを押収
    サプライチェーンの管理に努めた結果、違法ルートに流れて押収されたJTグループ製品が34%減少

たばこ事業のサステナビリティ戦略に関する進捗はこちらをご覧ください。

JTグループの取り組み

JTグループの不法取引対策チームは、お客様、社会、JTグループの事業や高い評価を守るため、不法取引の防止に努めています。このチームは、各国の関係当局や政府機関に長年従事したことのある専門的知識を有する社員で構成されています。

当該チームはJTグループの各マーケットとともに、正規品が違法なルートに横流しされることを防ぎ、市場から違法なたばこ製品を取り除くため、関係当局に協力しています。また、官民パートナーシップを通じ、関係当局や各国政府と活発な対話を続けており、世界中の関係当局に偽造品の見分け方を教えるプログラムを提供しています。

また、違法なたばこ製品の流通に関する調査や、不法取引問題についての取引先、お客様、社会に対する意識啓発という役割も担っています。不法取引対策チームは、JTグループの事業と高い評価を守り、長期的かつ持続可能な未来を支えています。

バリューチェーン全体での効果的な不法取引対策について検討を進めた結果、葉たばこや紙巻たばこ用フィルターなどのサプライヤーとの関係を、より透明で協力的なものにする必要があるという結論に至りました。私たちは、こうしたサプライヤーやメーカーの製品が犯罪組織の手に渡らないようにするため、定期的に会合を開き、対策について支援を行い、コンプライアンス研修に協力しています。

また、海外たばこ事業において新規サプライヤーと契約する際には、不法取引対策チームがそのサプライヤーを信頼してよいかどうかのデュー・ディリジェンス審査を行い、また、会社が定めた方針・手順に基づく運用について、コンプライアンス部門や購買部門を支援しています。

私たちは引き続き、組織犯罪グループが使う輸送ルートなど、密輸の流れの変化を監視し、世界税関機構、国際刑事警察機構(インターポール)、欧州刑事警察機構(ユーロポール)をはじめ、世界のさまざまな関係当局と連携しながら、違法な物品の積載が疑われるコンテナを追跡する支援もしています。
 

ケーススタディ

・フィリピンにおける不法取引防止の取り組みの進展

JTグループは2017年にフィリピン第2位のたばこ会社、Mighty Corporationを買収し、それ以来、フィリピンにおける不法取引防止に取り組んできました。
フィリピンは不法取引に関して多くの問題に直面しており、とりわけ地元で製造された偽造たばこ製品、中国から輸入された偽造たばこ製品、地元ブランドでの印紙*1の再利用、印紙のないイリシット・ホワイト*2に関する問題を抱えていました。
Mighty Corporationの買収効果を生み出すため、2017年後半にフィリピンの事情に応じた不法取引防止プロジェクトをいくつか立ち上げました。加えて不法取引対策チームが、現地法人およびさまざまな関係当局と連携し、関係当局による違法取引の摘発に役立つ情報を提供するためのプロセスを確立しました。
2018年には、この新しいプロセスを通じて、違法な工場・保管場所、さらには違法販売が横行している大規模な小売市場についても関係当局に情報提供を行うことができました。その結果、最新のデータによると、2017年9月から2018年末までの間にフィリピンにおける不法取引が約50%減少するという素晴らしい成果を上げています。
2019年も継続して取り組みを行い、以下のような成果を上げています。

  • 1億4,000万本以上の違法たばこを押収

  • そのうちJTグループの紙巻たばこの偽造品は5,700万本、他社の紙巻たばこは8,300万本

  • JTグループの情報提供により関係当局が押収した違法たばこの大部分は6つの偽造品工場と22カ所から押収したもの

  • 偽造たばこ製造に使われていた機械42台を工場から撤去(将来の偽造再発を抑える上で非常に重要な成果)

  • こうした努力により、違法たばこの割合は、2017年の12%から2019年には約6%に減少

Our tax practices

 

2019年8月:JTグループの不法取引対策チームが共有した情報に基づき、サンボアンガ港の貨物船から押収した46万本の違法たばこ。違法たばこはトロピカルフルーツの船荷に隠されていました。

Our tax practices

 

2019年9月:JTグループの不法取引対策チームが提供した情報が、1,200万本の違法たばこの押収につながりました。バコロド市の倉庫から押収された中には、JTグループ製品であるMarvelブランドの偽造品、約500万本が含まれていました。

Our tax practices

 

2019年9月:JTグループの不法取引対策チームが共有した情報を基に、イロイロ市の保管倉庫の強制捜査が行われ、Camel、Winston、Marvelブランドの偽造品、14万3,000本が押収されました。

Our tax practices

 

2019年9月下旬:不法取引対策チームなどからの情報提供の数カ月後、スービック経済特別区の当局は、印紙のない紙巻たばこを製造していたたばこ工場を閉鎖しました。

*1

フィリピンでは印紙をたばこ製品に貼付することが義務付けられており、印紙の再使用は禁止されています。

*2

イリシット・ホワイト:合法的に製造されるが、サプライチェーン管理がまったく実施されないため、製造した国以外の市場へ密輸され販売されるたばこ製品

不法取引防止プログラム

JTグループのグローバルな不法取引防止プログラムによって、組織的犯罪と闘うための官民パートナーシップの機会を創出します。またそのプログラムは、あらゆる法令の遵守、サプライチェーンを守ること、販売数量・利益の成長のための機会を守り創出すること、によってJTグループの高い評価を守りながら事業を支えるようにも設計されています。
こうしたプログラムの効果を以下のKPIで確認して います。

  • 関係当局への情報提供により押収された違法たばこ製品の数

  • 空箱調査の分析を通じた重要マーケットにおける不法取引の規模、およびJTグループの努力による減少量

  • さまざまなコンプライアンス施策の実施

  • 違法たばこ製品の啓発プログラムなど、関係当局とのパートナーシップ強化

2019年度の戦略、取り組みと進捗

 

JTグループの事業を守る

2019年、不法取引対策チームは1,129件の不法取引に関する情報を関係当局に提供し、32億本以上の違法たばこの押収に協力しました。JTグループの情報提供に基づき、関係当局は70ヵ所以上の偽造たばこ製造工場と保管場所を強制捜査しました。

不法取引防止の取り組みの成果として、EU域内において過去4年間、JTグループ製品をかたる偽造品については毎年大量に押収されているのに対し(押収量の約90%は偽造品)、違法ルートに横流しされたJTグループの正規品の押収量は約50%減少していることが挙げられます。これは、不法取引対策チームの支援のもとで、各マーケットにおいてサプライチェーンの管理に努めたことによるものです。このことは、EUと英国の歳入関税庁の両者にも認識されており、JTグループは不法取引防止における業界のリーダーであると評価されています。

JTグループの情報提供によりEUで押収された違法たばこ製品 JTグループの情報提供によりEUで押収された違法たばこ製品

ヨーロッパにおける偽造品増加を防止する

ここ3年、ヨーロッパにはJTグループ製品を含む偽造たばこの製造工場が、犯罪組織の手でいくつもつくられています。これにより販売市場、特に英国市場の近隣で偽造品が製造されるようになりつつあり、偽造品の多くが中国製という従来のルートから変化を見せています。

2019年には、世界で押収されたJTグループ製品の94%が偽造品でした。JTグループではこの脅威に対抗するため、2019年3月に偽造品タスクフォースを立ち上げました。タスクフォースの目的は、世界の偽造品製造に関する調査を連携して行い、グループ内で知見を共有し、最終的には有益な情報を関係当局に提供するということです。

これまで偽造品タスクフォースは、偽造たばこ製造工場の発見に注力してきました。こうした偽造たばこ工場には、葉たばこの加工や紙巻たばこの巻上・包装のための機械が設置され、偽造品の大規模保管倉庫を備えている場合もあります。JTグループの偽造品タスクフォースは、偽造たばこ工場を特定し摘発につながる有益で信頼できる情報を関係当局に提供するため、さまざまな情報源から得られた情報をまとめ、分析を行っています。

コンプライアンスの徹底

たばこ製品の正当な市場需要に関する取り組み

世界中の企業は、市場における自社製品の需要を把握しようとしていますが、市場需要と「正当な市場需要(LMD: Legitimate Market Demand)」には明確な違いがあります。

JTグループは、2007年にEUと締結した協力契約を遵守しなければいけません。これは、それぞれの市場において正当な需要と考えられる数量のたばこ製品のみを販売するというものです。

「正しいことを正しく行う」という責任感を胸に、不法取引調査チームは、海外たばこ事業の各市場におけるたばこ製品のLMDの計算を国際的に運用できる方法を考案しました。各マーケットは、そこから導き出されたLMDを年次販売計画と照らし合わせ、販売数量がLMDに沿っていることが確認できる、サプライチェーン管理体制を構築しています。

LMDを算出するのに使用する構成要素や設定値は、各市場の特性や製品ポートフォリオによってさまざまですが、この国際的に適用できる計算方法は論理的かつ信頼できるものです。

各市場におけるLMD算定に共通する前提は、すべての関連法令を遵守した上での需要を導くという点にあります。

たばこ製品追跡システム

JTグループのたばこ製品追跡システムは、10年以上にわたり、コンプライアンス方針の重要な一端を担っています。このシステムは、不法取引を捜査する関係当局を支援するというJTグループの世界的な取り組みを後押しするもので、EUと締結した協力契約における合意事項の一環として、世界最大手のテクノロジー企業各社と共同で開発されました。
非常に高度かつ複雑な技術からなるJTグループの追跡システムは、すべての個装および、まとまった単位の製品に識別コードをつけ、サプライチェーンに沿った製品の移動を追跡・分析することができます。その結果、違法たばこ製品の押収時には、流出源を特定し、対策を講じることができます。

2019年段階で、複数の国と地域においてたばこ製品追跡システムの導入が義務づけられています。アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ロシアではすでに施行され、2019年5月20日にはEU全加盟国を対象とする、地域レベルとして初のたばこ製品追跡システムに関するEU指令が施行されました。タイトなスケジュールでこうした複雑なシステムを立ち上げることは至難の業でしたが、事業を展開する国々における混乱を最小限に抑えた上で、本指令施行に基づく追跡システムを立ち上げました。

不法取引に対する国際的な対応

2018年9月25日に発効した、「たばこ製品の不法な取引の根絶に関する議定書」は、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)の下で作成された初めての議定書で、これまでに59ヵ国が締結しています(2020年5月)。

法的拘束力のある規定を議定書締約国が実施することを通じて、あらゆる形態のたばこ製品の不法取引を撲滅することを目指しています。本議定書は、グローバルな課題である不法取引防止に向けた国際的な対応を示すものであり、JTグループも歓迎しています。

この議定書の主な要件のひとつに、議定書締約国は紙巻たばこの場合2023年までに、その他すべてのたばこ製品については2028年までに、たばこ製品の追跡システムを実施するという項目があります。JTグループは、この追跡システムを効果的なものとするためには、EU全域で使用している既存の追跡システムとの連携を考慮しながら、オープンスタンダードに準拠し、サプライチェーンのすべての関係者が相互に運用可能なシステムとすべきだと考えます。

また、私たちは、追跡システムのような措置と併せて、当局による適切な法の執行、不法取引に関与することを躊躇させるような当事者に対する強い制裁措置、また議定書で取り上げられていない製品、たとえば偽造品やイリシット・ホワイトなどへの政府の取り組みが、不法取引防止に当たっては不可欠であると考えています。

ケーススタディ

・オンライン不法取引

犯罪者は他で実証済みの新たな手口を使って不法行為を働こうとするため、不法取引対策は終わりなき闘いです。デジタル時代の到来で、違法たばこ製品の販売を狙う犯罪者や犯罪組織が次々と現れます。私たちはJTグループの製品や市場を守るために、不法取引との闘いを続けています。

JTグループは不法なオンライン取引防止に取り組んでおり、違法な形でJTグループの製品を宣伝するリンクやソーシャルメディアの投稿を削除するなど、着実に成果を上げています。

2018年の成果:
・5,960件以上の投稿の削除
・6万5,300以上の違法たばこ製品広告の削除

2019年の成果:
・3,100件以上の投稿の削除
・120万件以上の違法たばこ製品広告の削除

このような成果により、76万0,669米ドル相当のJTグループの損失を防いだことになります。

また、ソーシャルメディアを使って製品を大量に販売している者を突き止め、JTグループ製品の「覆面購入」を行い、取り締まりにつながる証拠を関係当局に提供しました。また、英国ではJTグループの告発により、Facebook上で違法なたばこ製品を販売していた個人が有罪となりました。

このプロジェクトは開始当初に比べて対象製品、地域のいずれも拡大し、2019年にはロシア、シンガポール、米国でもスタートしました。Logic製品の不法取引が散見されるようになった米国ではRRP*のインターネット販売にも対象を広げ、2019年だけでオンライン上の7,100件以上の違法製品が掲載されていることを発見しました。

今後も引き続きこのプロジェクトを拡大し、あらゆるデジタルチャネルでのたばこ製品や電子たばこの不法取引を防止していきます。

詳しくはJTI.com(英語)をご覧ください。別窓で開く

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Reduced-Risk Products(RRP):喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品