能動喫煙

喫煙は、肺がん、心筋梗塞等の虚血性心疾患、肺気腫等の慢性閉塞性肺疾患など多くの疾病や、低出生体重児、流・早産など妊娠に関連した異常、といった特定の疾病(妊娠に関連した異常を含む)のリスクを伴います。

この考えは、主として喫煙者の集団と非喫煙者の集団の間での疾病発生率等を比較する統計に基づいた研究(疫学研究)によるものです。疫学研究は、喫煙者集団においてこれら疾病のリスクが非喫煙者集団より高いことをほぼ一貫して示しています。※1

疫学研究は、疾病とその要因との関連性を探るにあたり有用な学問です。しかしながら、がん等、喫煙と関連があるとされる諸疾病の発生には、住環境(大気汚染等)、食生活、運動量、ストレス、遺伝的要因等様々な要因が影響しており、喫煙以外の全ての要因を同じにした集団を比較することは困難です。また、疫学研究は喫煙者と非喫煙者の集団同士を比較するものであり、個々の喫煙者について疾病のリスクを明らかにするものではありません。

動物実験において、たばこ煙のみを吸入させる方法により、腫瘍が発生したとの報告もありますが※2、これらの実験は、通常の人の喫煙条件からかけ離れた条件で行われたものであり、通常の人喫煙の条件による腫瘍の発生については明らかにされていません。

喫煙の健康への影響については今後更なる研究が必要※3であるものの、私たちは、喫煙が特定の疾病のリスクファクター※4であると考えています。喫煙するかしないかは、喫煙の健康への影響・リスクに関する情報に基づいて、個々の20歳以上の方が決めるべきものです。