受動喫煙と肺がんに関わる国立がん研究センター発表に対するJTコメント

今般、国立がん研究センターは、受動喫煙による日本人の肺がんリスクは約1.3倍とする研究結果を報告し、「受動喫煙の肺がんリスク評価は確実である」との発表を行いました。

これは、過去に実施された日本人を対象とした疫学研究論文から9つの論文を選択し、これらを統合して統計解析したところ、受動喫煙を受けない非喫煙者のリスクを1とした場合に、受動喫煙を受けた非喫煙者のリスクが1.3となったとの結果をもって、受動喫煙と肺がんとの関係が確実になったと結論付けた発表であると認識しております。

しかしながら、JTは、本研究結果だけをもって、受動喫煙と肺がんの関係が確実になったと結論づけることは、困難であると考えています。

受動喫煙を受けない集団においても肺がんは発症します。例えば、今回の解析で選択された一つの研究調査でも、約5万人の非喫煙女性中の受動喫煙を受けない肺がん死亡者は42人であり、受動喫煙を受けた肺がん死亡者は46人でした。肺がん等の慢性疾患は、食生活や住環境等の様々な要因が影響することが知られており、疫学研究だけの結果をもって喫煙との因果関係を結論付けられるものではありません。

また、今回用いられた複数の独立した疫学研究を統合して解析する手法は、選択する論文によって結果が異なるという問題が指摘されており、むしろ、ひとつの大規模な疫学研究を重視すべきとの意見もあります(※)。今回の選択された9つの疫学研究は研究時期や条件も異なり、いずれの研究においても統計学的に有意ではない結果を統合したものです。

これまで、受動喫煙の疾病リスクについては、国際がん研究機関を含む様々な研究機関等により多くの疫学研究が行われていますが、受動喫煙によってリスクが上昇するという結果と上昇するとは言えないという結果の両方が示されており、科学的に説得力のある形で結論付けられていないものと認識しています。

受動喫煙については、周囲の方々、特にたばこを吸われない方々にとっては迷惑なものとなることがあることから、JTは、周囲の方々への気配り、思いやりを示していただけるよう、たばこを吸われる方々にお願いしています。

JTは、たばこを吸われる方々と吸われない方々が協調して共存できる調和ある社会が実現されることが望ましいと考えており、今後も、たばこに係る科学的知見の収集や情報のご提供をはじめ、適切な分煙の推進や喫煙マナーの向上等、喫煙を取り巻く環境の改善に積極的に取り組んでまいります。

「新しい疫学」(財団法人 日本公衆衛生協会)

 

「メタ・アナリシス入門」(丹後敏郎 朝倉書店)

2016年8月31日
日本たばこ産業株式会社
代表取締役社長 小泉 光臣