たばこ事業

事業Purpose

Creating fulfilling moments.
Creating a better future.

たばこ事業のPurpose「Creating fulfilling moments. Creating a better future.」は、たばこ事業の存在意義やたばこ事業がJT Group Purpose「心の豊かさを、もっと。」にどのように貢献していくのかを明確化したものです。また、私たちの意志を広く社会に伝えると同時に、たばこ事業における戦略の指針にもなっています。

2024年度のたばこ事業は昨年度に続き素晴らしい業績を達成することができました。事業Purposeに基づいた明確な重点戦略により、CombustiblesおよびReduced-Risk Products(RRP)ともに過去最高の総販売数量を記録しました。力強い数量パフォーマンスと底堅いプライシングが、自社たばこ製品売上収益と調整後営業利益のhigh single digit成長を牽引し、JTグループの成長の原動力となりました。

RRPにおいては、HTSへの投資を集中的に行っています。Ploomの世界的なプレゼンスの拡大に加え、展開マーケットにおけるセグメントシェアが伸張した結果、HTSの販売数量は40%、売上収益は44%もの成長を達成しました。RRPについては引き続きその将来性を確信しています。

引き続き重要な位置付けにあるCombustiblesにおいては、Global Flagship Brands(GFB)への集中投資と継続的なシェアの拡大により、販売数量が2%増加しました。この目覚ましい販売実績と底堅いプライシング、さらに同カテゴリでのROI向上への注力が奏功し、Combustiblesの売上収益は9%増加、同カテゴリの営業利益率も向上しました。

今後はPloomを利益成長の第2の柱として徐々に確立するためのケイパビリティを強化しつつ、トップラインとボトムラインの着実な成長を継続していきます。私たちはたばこ事業がJTグループの中長期に亘る持続的な利益成長を牽引し続けると確信しています。

Eddy Pirard President & CEO, JT International S.A.

Eddy Pirard

President & CEO, JT International S.A.

業界概要

たばこ業界は、主に喫煙に伴う健康リスクに対する懸念から、厳しい規制が課されている産業の一つです。規制の対象も、製品の仕様からマーケティング活動に至るまで多岐に亘ります。また、ニコチン製品への課税額を定期的に引き上げることで、税収を確保しつつ消費を抑制する政策が各国で進められています。

JTグループは、自社の製品や事業に関連する法令の遵守を徹底しています。科学的根拠に基づいた、適切かつ効果的な規制に賛同し、自社製品やたばこ・ニコチン業界に対する規制に関する各国の政府当局との対話機会創出に積極的に取り組んでいます。

たばこ製品は、CombustiblesとReduced-Risk Products (RRP)の2つのカテゴリに大別できます。

Combustibles

Combustiblesには、紙巻たばこ、fine cut tobacco(FCT)、パイプ、シガー、リトルシガー、水たばこなどが含まれます。紙巻たばこは、あらかじめ紙でたばこ葉を巻いた製品である一方、FCTはお客様自身が巻紙を用いて葉たばこを手巻きする製品です。2024年度の世界のCombustibles総需要は約5.0兆本*、金額ベースの市場規模は約119兆円*に達しています。世界最大の市場は中国であり、世界のCombustibles総需要の45%以上を占め、インドネシア、ロシア、米国、トルコ、ドイツ、日本、ベトナムが続きます。世界のCombustibles総需要は数量ベースでは減少傾向にありますが、金額ベースの市場規模はプライシング効果をドライバーとして成長を続けています。

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数値はEuromonitorのデータに基づいています。水たばこのデータを除く

RRP

RRPには、加熱式たばこ、e-vapor、無煙たばこなどが含まれます。これらは、たばこ葉を燃焼させない製品であり、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性があるものと考えています。

加熱式たばこには、たばこ葉を加熱することでニコチンを含むエアロゾルを発生させるheated tobacco sticks (HTS)と、たばこ葉を直接加熱せずに液体(リキッド)を加熱・霧化してたばこ葉を通過させるinfused tobacco capsules (Infused)があります。

また、e-vaporは、たばこ葉を使用せず、ニコチンが含まれるリキッドを電気加熱させ、発生するベイパー(蒸気)を愉しむ製品で、open tanks、closed podsやdisposablesといったさまざまなタイプの製品があります。

無煙たばこ(oralたばこ)は、小さなパウチなどを口に直接含んでさまざまな味・香りを愉しむ製品で、たばこ葉を含むスヌースと、たばこ葉を含まないニコチンパウチ・modern oralがあります。

2024年度のRRPの金額ベースの市場規模は世界全体で約12兆円*と試算されています。RRPカテゴリにおいては、お客様の嗜好の違いにより、各国において普及している製品タイプが異なります。製品タイプごとの市場規模では、HTPは日本、e-vaporは米国が最大の市場となっています。RRPの市場規模はCombustiblesに比し小規模であるものの、近年着実に成長を続けており、今後も拡大が継続するものと見込んでいます。

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数値はEuromonitorのデータに基づいています

今後の見通し

近年、消費者によるRRPへの需要の高まりを受けて、グローバルに事業を展開する主要なたばこ会社は、CombustiblesおよびRRP双方の製品ポートフォリオを拡充しています。JTグループのたばこ事業においても、CombustiblesおよびRRP双方のカテゴリに亘って多様な商品を展開しています。

Combustiblesの金額ベースの市場規模は、当面の間拡大を続けると予想しており、RRPの市場規模においては数量ベース・金額ベースの双方で伸長していくと見込んでいます。RRPカテゴリの中でも特にHTSが成長を牽引し、次いでe-vaporとmodern oralが伸長していくと予想しています。なお、今後のRRP市場の成長率は、製品のイノベーションやお客様の嗜好、RRPを巡る規制・税制等の影響を受けるものと考えています。たばこ事業の事業Purpose実現に向けて、明確な事業戦略を策定しました。

経営計画2025に明記しているように、HTSに経営資源を優先的に配分し、ニコチン産業の中で最大のカテゴリであるCombustiblesのROIの継続的な改善に取り組みます。その実現に向けて、Consumer-centricを徹底し、RRPのイノベーション・パイプラインをさらに拡充することで、引き続き主要ケイパビリティの戦略的な強化を推進していきます。

これらの戦略を通じて、たばこ事業はJTグループの中長期に亘る持続的な利益成長の牽引役としての役割を確固たるものにしていきます。

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事業戦略—経営計画2025

Business

Combustibles

RRP

Capability

持続的なROIの改善

  • プライシングおよびシェア伸張を通じたトップラインの成⻑
  • コスト最適化への取り組みを継続
  • 収益性およびマージンの改善を追求

HTSへの投資を最優先し、2028年中期展望*の達成を追求

  • RRPを将来の利益基盤とすべく、引き続き経営資源をHTSへ集中的に投⼊
  • 将来的な利益成⻑の機会を⾒据え、HTS以外の製品カテゴリの可能性を引き続き探索

事業基盤の強化

  • Consumer-centricの徹底
  • RRPを中⼼としたパイプラインの強化
  • 地政学的リスク等の主要なリスクに備えたマネジメント体制のさらなる強化

Sustainability

サステナビリティの優先課題

Products

  • 健康影響の低減
  • 資源循環に配慮した製品設計

Operations

  • 人財獲得と多様性を尊重する職場環境の醸成
  • 葉たばこ農家の生活水準向上
  • 気候変動対策
  • 自然資源の保全

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RRP中期展望:2028年末までに⽇本・イタリアを含むkey HTS marketsにおけるHTSカテゴリ内シェア10%台半ば、2028年末までにRRPビジネスの⿊字化

RRP

RRPカテゴリはさらなる成長の余地がある一方で、市場ごとにお客様の嗜好が異なるため、各製品セグメントの成長性も異なると考えています。

JTグループは、こうした背景からRRPカテゴリの中でもHTSに最も成長性があると考えており、HTSへの優先的な資源配分を実施し、HTSセグメントにおけるシェアの拡大、販売力の強化、Consumer-centricなイノベーションのさらなる促進によるPloom製品のラインナップ強化に向けた取り組みを加速させていきます。

また、e-vaporやmodern oralなど他のRRPカテゴリの製品についても引き続き探索しており、お客様の嗜好や期待に対する理解の深化や、製品セグメントごとに異なるビジネスモデルの動向のより正確な把握に努めるとともに、プレゼンスの強化に取り組んでいます。

Combustibles

MEVIUC / Winston / CAMEL / LD logo

HTS

ploom

Other RRP

logic. / E-Vapor
Modern Oral
with / Infused tobacco

RRPに係る科学的知見の透明性

JTグループは、喫煙に伴うリスクを低減する可能性のある製品の研究開発に取り組んでいます。よりリスクを低減することが可能な製品を開発し、お客様が適切な情報に基づいて製品を選択できるよう、研究とイノベーションへの投資に注力しています。

また、製品の含有成分を知りたいというお客様のご要望に応えるため、公開が義務付けられていない場合でも、大半の製品に関する研究結果や原材料の情報をウェブサイト上で公開しています。当社グループは製品に係る透明性確保の重要性を認識しており、その実現に向けて取り組んでいます。

私たちは公衆衛生の専門家、規制当局、科学者、たばこ業界が協力することで、RRPに関わる科学的知見の飛躍的な発展が実現できると確信しています。お客様に正確な情報とより良い選択ができる環境が整備されることで、当社グループのRRPの有するさまざまなメリットを享受いただけるものと考えています。

RRPの調達

JTグループは、RRPデバイスの調達に特化した専任のRRP調達チームを設置しています。RRPデバイスは、第三者の受託製造業者(サプライヤー)によって製造されていますが、当社グループでは責任ある調達の実現に向け、サプライヤーと協働しており、サプライヤーが独自にエレクトロニクスバリューチェーン上のサステナビリティ課題の特定と対応に取り組めるよう、支援を行っています。

当社グループは、責任ある企業同盟(RBA)のメンバーとして、RBAの行動規範に則り、さまざまな手法を活用して当社グループ製品の責任ある製造の担保に取り組んでいます。当社グループの全Tier1サプライヤーについては、RBA検証済み監査プログラムの一環として、独立した第三者機関による監査を受けています。こうしたサプライヤーとの協働の結果、2024年には全Tier1サプライヤーが160ポイントを超える監査スコアを獲得し、RBAが行う監査の各国の平均スコアを上回りました。

2024年には、当社グループの製品に含まれる金属の責任ある調達への取り組みとして、紛争鉱物に関する声明を策定しました。当社グループでは、経済協力開発機構(OECD)が採択した「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に沿ってデュー・ディリジェンスを実施しており、責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)によって提供されているツールを利用し、サプライチェーン下流までの可視化を図っています。2024年はこの取り組みを徹底し、バリューチェーン上のすべての製錬業者と精製業者が業界で認められた制度に沿って監査を受け、鉱物や金属の調達に伴う人権侵害などのリスクがないことを確認しました。

また、2024年にはRRPの調達ガバナンスを強化し、複数の調達先でサステナビリティ課題への対応能力向上を図る取り組みを実施しました。

Combustibles

Combustiblesの総需要は減少傾向が続いているものの、カテゴリとしては依然として底堅く、多くのお客様に支持されています。

JTグループは今後もCombustiblesを愉しむお客様のニーズを満たし、期待を上回る製品・サービスを提供すべく、強力なブランドエクイティを有しているGFB(Winston、Camel、MEVIUS、LD)に対して優先的に事業資源を配分する方針です。この方針により、市場シェアの拡大や機を捉えたプライシングの実行を実現していきます。

さらに、継続的なインフレ圧力を相殺し、Combustiblesカテゴリの利益率をさらに高めるため、コスト削減に向けた取り組みにも引き続き注力していきます。

Vector Group Ltd.の買収

米国におけるVector Groupの買収はJTグループの2024年度における重要な成果の一つであり、たばこ事業にとって飛躍的な変化をもたらす機会となりました。本買収は、単に当社グループのプレゼンスを高めたことにとどまらず、中国以外で最大の市場規模を誇り、収益性の高い米国のCombustibles市場において、当社グループを第4位のプレーヤーに押し上げたことに意義があります。

この買収により、米国市場は当社グループの利益トップ10市場の一つとなります。同国の紙巻たばこ1本当たりの粗利益率は他のCombustibles市場に比し高いため、CombustiblesのROI強化を目指す当社グループの戦略にも合致しています。米国市場で得た収益はRRPへの投資原資の確保に貢献するほか、米国ドルという為替変動の影響を受けにくいハードカレンシーの比重を高めナチュラルヘッジを強化することで、通貨エクスポージャーのリバランスに貢献すると考えています。

過去5年間の事業パフォーマンス

JTグループのたばこ事業は、GFBの伸長ならびにPloomを中心としたHTSに重点を置いた戦略による継続的な市場シェアの獲得により、過去5年間、総需要のトレンドを上回る販売数量の成長を達成してきました。

GFBの販売数量は6年連続で増加、2024年度には4,000億本を超えて当社グループの総販売数量の73%に達しました。WinstonおよびCamelは、販売数量をそれぞれ+4.4%および+7.9%伸長しました。この成果は、高い実行力とGFBへの長期間に亘る継続的な投資によって実現したものです。

2024年度においては、HTSセグメントへの投資をPloomの地理的拡大に集中し、Ploomのブランドエクイティ醸成と普及促進に取り組みました。2024年12月時点で、グローバルHTS総需要の約75%を占める市場でPloomを展開しています。Ploomについては、グローバル展開が進んでいるだけでなく、ローンチを完了したすべての市場でシェアが伸張しており、Ploomは2024年にHTSセグメントにおいてシェアが最も拡大しているブランドともなりました。

GFBおよびPloomの成長による販売数量増加に加えて、力強いプライシング効果やコスト低減により、為替一定ベースにおける自社たばこ製品売上収益および調整後営業利益は、この5年間着実に成長を続けています。

(注)1.

たばこ事業における「お客様」は喫煙可能な成人のお客様を意味します。なお、たばこやニコチンを含むその他の製品の使用可能年齢は、各国の法令により異なります。日本では20歳未満の方による喫煙・使用は、法律で禁じられています

2.

本セクションは、JTグループの事業活動を説明するためのものであり、当社グループの製品について、消費者への販売促進もしくは使用を促すことを目的とするものではありません

3.

Reduced-Risk Products(RRP):喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品

総販売数量*(10億本)

自社たばこ製品売上収益*(10億円)

調整後営業利益(AOP)*(10億円)

*

2020年から2021年の自社たばこ製品売上収益およびAOPの前年比変動は、国内たばこ事業および海外たばこ事業の合計に基づいて計算されています。2022年からはたばこ事業を統合し、2021年の数値も調整されています

サステナビリティ戦略

2024年度は「製品」「人」「地球」の各領域において社会的インパクトを示し、その成果は2024年度の実績に表れています。

2024年度の最も大きな成果の一つは、たばこ事業の事業活動に起因するGHG排出量を(基準年とした2019年以降)33%削減し、原材料・サービスの調達に由来するGHG排出量を22%削減したことです。これは、再生可能エネルギー由来の電力の活用、社用車の脱炭素化、サプライヤーとの連携、たばこ乾燥工程の効率化、ならびにたばこ乾燥工程での持続可能燃料の使用量増加を大幅に進めることで実現しました。特に、再生可能エネルギー由来の電力使用量を2025年度までに50%にするという目標は前倒しでの達成を実現し、2040年度までに100%にするという目標の達成に向けても順調に進んでいます。

JTIは、グローバルサプライチェーンの国際的な評価機関であるEcoVadis社より、サステナビリティマネジメント体制の質の高さから、過去12カ月以内にEcoVadis評価を完了した企業の中で、サステナビリティ評価において上位1%にランクインしました。人と地球にとってより良い未来を実現するためには、実践的な取り組みと変革が不可欠です。この評価は、全社一丸となって事業活動のあらゆる側面にサステナビリティの考え方を組み込んできたことが認められたものと考えています。

この1年は、サステナビリティとビジネスの融合が一段と進んだ年でもありました。これは当報告書で紹介している通り、「製品」領域におけるコミットメントと事業戦略の間に共通項があることでも明らかであり、我々はたばこ事業の成長に向けた道筋の中に、RRPに係る科学的知見の透明性、RRPの調達といったテーマを織り込んでいます。

バリューチェーンの上流では、たばこ事業における継続的な重点領域である「人」と「地球」の2つにおいて顕著な社会的インパクトを創出しました。

資源循環

責任ある廃棄を取引先およびお客様に働きかけていくために、JTグループではPloomデバイスの回収・リサイクルスキームおよび消耗品のポイ捨て防止キャンペーンを開始しました。私たちの目標は、持続可能な社会のために電子廃棄物の削減やリサイクルの促進をお客様に推奨することです。

英国では、Ploomの担当チームが民間リサイクル企業であるTerraCycle社の廃棄物処理の専門家と協力しPloomデバイスのリサイクルプログラムを立ち上げ、電子廃棄物の適切な廃棄を推進しつつ、資材のリサイクルや潜在的なリユース機会の創出に取り組んでいます。

日本では、お客様から使用済みPloomデバイス(バッテリー)、たばこカプセル、カートリッジを回収するボックスを設置しています。2021年には対象エリアを全国へと拡大し、1,100カ所の回収拠点を設置しています。現在では、複数のたばこ会社が協力し、お客様により手軽で便利にリサイクルしていただける環境を提供しています。

葉たばこ農家の生活水準

労働者の権利と安全の強化を目指し、直接契約制度を採用しているすべての葉たばこ調達国において、耕作労働規範(ALP)プログラムの導入を2025年までに完了することができました。この成果は、サステナビリティに関するリスクを積極的に管理し、持続可能な農業の実践を推進する取り組みによるものです。

JTグループのALPプログラムは、葉たばこ農家コミュニティにおけるサプライチェーン・デュー・ディリジェンス(SCDD)の一環として実施されています。2028年までにすべての葉たばこ供給事業者において、SCDD成熟度スコア90%超を独立機関による第三者保証をもって達成することを目指します。

SCDDプロセスは、経済協力開発機構(OECD)および国連食糧農業機関(FAO)による「責任ある農業サプライチェーンのためのOECD-FAOガイダンス」と、国際労働機関(ILO)の提言に沿って実施されています。また当然ながら、国連による「ビジネスと人権に関する指導原則」にも準拠しています。

葉たばこ農家の収入、サプライチェーン全体での人権の尊重、そしてすべての農場従事者を支援し保護するための実効性あるグリーバンス・メカニズムの提供は、私たちにとって重要なテーマです。

2024年には、すべての直接契約葉たばこ産地において生活収入の測定を行うという目標を達成しました。これにより、得られた知見を活かしながら、生産スキームを通じて葉たばこ農家を支援する取り組みを継続していきます。

JTグループの直接契約モデルは、葉たばこ農家に対する深い敬意に根ざしています。農家と緊密に連携することで信頼関係を築き、公正な価格を保証するとともに、個々の農家の状況を踏まえた生産性と品質の向上に資する耕作支援を提供しています。こうした取り組みは地域経済の活性化や、地域コミュニティの強化を通じ、繁栄とレジリエンスの促進に寄与します。

気候対策の強化

農業を中心としたサプライチェーンを持つグローバルメーカーとして、気候関連のリスクがもたらす影響は当社グループの事業だけでなく、当社が事業を展開する地域や社会全体にとっても大きな脅威となるものです。当社グループは、気候変動を助長する影響を低減させる責任と、増大する気候関連リスクに適応する必要性を認識しています。

JTIは長年気候変動への対策を進めていますが、今年は取り組みを強化し、出資額を増やしつつ、GHG排出量と環境負荷をさらに低減させました。期限を定め、コスト計算も伴った行動計画である気候移行計画を初めて策定し、気候目標の実現方法と、低炭素経済への移行に寄与するビジネスモデルの転換の在り方を明示しています。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく報告書も初めて発行しました。ポーランドの工場では、地域最大の24,000枚以上のPVパネルからなる大規模な太陽光発電所を建設し、工場で使用する電力の約20%を賄うとともに、エネルギーコストを年間約400万米ドル削減します。JTIはドイツに、地元のエネルギー供給会社や銀行とともに、16.8MWの風力発電所を建設し、現地の工場や地域に電力を供給しています。これにより、JTIが電力購入契約(PPA)を締結することでJTIは風力発電所で発電された電力の50%を確保することが可能になりました。また、2024年末までに、当社グループが使用する電力の56%が再生可能エネルギー由来のものとなりました。

当社の取り組みはこれだけにとどまらず、引き続きGHG排出量削減プログラムの拡大、再生可能エネルギーの生成・使用量の増加、社用車の脱炭素化を推進していきます。さらに、気候・自然・人へのリスクに対応するため、統合的なアプローチによる取り組みも一層強化していきます。

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