JTサンダーズ
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2016/17シーズン、JTサンダーズの行く道とは。

2016/10/21COLUMN

国内リーグ50周年を迎えるV・プレミアリーグが22日に開幕する。昨年、5位で終わったJTサンダーズは、その悔しさをばねに心身を鍛錬し、開幕を待っている。再びブランデージトロフィーを手に入れるために――

安定感のあるチームを作り上げることが目標

来る10月23日(土)、JTサンダーズは2016/17V・プレミアリーグの開幕戦を戦う。ヴェセリン・ヴコヴィッチ監督を迎えて4シーズン目となる今シーズン、昨年度の5位という成績からどうチームを立て直し、優勝を目指すのか。開幕を間近に控えた監督と選手に話を聞いた。
ヴコヴィッチ監督は語る。
「準備してきたことに、大きな変化はありません。すべてのプレーをより細分化し、それぞれの質を高める練習を積んできました。今シーズンはタフで難しいリーグになると思いますが、シーズンを通して安定したプレーができるチームが勝てるし、そういったチームを作り上げることが目標です」

就任1年目、強力なサーブを武器にチームを準優勝に押し上げ、2年目には戦略に忠実に動く組織的なブロック力を含めた守備を強化。日本リーグ時代を含めた初のV・プレミアリーグ優勝へと導いた。昨年は主力の越川優の故障離脱などもあり5位と低迷したが、安井勇誠や唐川大志といった新たな力の台頭もあった。
「昨年はシーズンを通じて唐川選手がリベロとして試合に出場しました。前任の酒井大祐選手は日本の中でもトップクラスのリベロで、10年近くチームを支えてきたベテランです。どうしても比較されてしまうし、物足りなく映ってしまうのは仕方ないこと。しかし、唐川選手はあの年齢、キャリアを踏まえるととても力のある選手であるのは事実です。そして昨シーズンの1年間でとても大きな経験をし、飛躍的に成長することができました。唐川選手にとっては厳しいシーズンだったかもしれませんが、彼の経験と成長が現チームのプラスになっています」(ヴコヴィッチ監督)

キーマンは越川。期待ではなく計算できる選手

バレーボールは一人の力で戦うものではないと常々語っている監督だが、あえて、今年のキーマンを挙げてもらうと、真っ先に越川の名前を出した。
「昨年、越川選手が故障で離脱したときに、チームは連敗し、不在の大きさを痛感しました。彼がいて結果を残すことで、チームが強くなるのは一目瞭然です。越川選手に関しては、期待ではなく、計算できる選手として構想に入れていますからね」

その越川は言う。
「昨シーズン、チームとして結果を出せなかったことは残念だし、何より僕自身は故障で戦線を離脱して悔しい思いもしました。V・プレミアリーグで結果が出せなかった後に、黒鷲旗で優勝して、良いこと、悪いことの両方を経験できたシーズンでした。リーグ中、僕が故障で離れた後は安井がコートに立って、いい働きをしました。僕が復帰してからは、また僕が試合に出ることになり、“なぜ自分じゃないんだ”という、彼なりの複雑な思いや悔しさもあったかと思います。むしろ悔しさを感じてくれなければチームとしては困るし、きっとその思いが安井の黒鷲旗での活躍につながったんだと思っています」
安井にもともと備わっている爆発力。そこに安定感が加われば、チームにとってこれほど心強いことはないだろう。

チームを立て直すトスが求められる深津

今シーズンから新しく主将に就任し、スパイカー陣を統べる司令塔であるセッターの深津旭弘は語る。
「今シーズンの開幕に向けて自分が取り組んできたのは、悪い状態を、どういい状態に持って行くかということです。レシーブが乱れる場面というのは必ず訪れます。そこで自分が悪いボールを悪いままスパイカーに託すのではなくて、自分のプレーで、よい状態に変えてスパイカーに託せるように練習してきました。昨シーズンは、そういう場面で、自分自身がいっぱいいっぱいになってしまって、悪い状態のまま戦ってしまった。トスの質だけではなく、精神的な部分も含めて、今年は自分のトスでどうやってチームをいい状態にできるかが大切です」
もちろんレセプション(サーブレシーブ)の成功率は高いに越したことはない。しかし強いサーブで攻めるチームが多い現代のバレーボールにおいて、レシーブを崩された場面でこそ、さらに攻撃の幅を広げることが重要となる。
「レセプションが乱れたときを想定して、自分の中で意識して練習を積んできました。レセプションが正確に返ったときにクイックを使うというパターンだけではなくて、悪いときにクイックを増やすことも意識しています」(深津)

課題は記録に残らないミスを減らすこと

一方で、これまでブレーク(自チームにサーブ権がある状態)での得点力のアップに関しては、毎年、着実に前進してきたといえるだろう。深津は続ける。
「自分たちの強みは、やはりブレークの得点力だと思っています。そこは継続して良い結果を残したいですね。加えて今シーズンはサイドアウトや、ブレークラリーの最中の細かいミスを減らすことを念頭に置いて練習してきました。数字に表れない、パスの精度やつなぎのミスを減らすことを再確認しています」
セッター以外の選手が上げるトス(二段トス)の精度や、ブロックがそろいやすいハイセットを決めるスパイカーの能力など、個々の成長も注目ポイントの一つである。

開幕1カ月前、予期せぬアクシデント。逆境をはねのけてV奪回へ――

2シーズン、勝利に貢献したレアンドロ・ヴィソット・ネヴェスに代わり、今シーズンは新外国人選手としてポーランド代表のエースの加入が決まったものの、開幕約1カ月前、急きょ、体調不良を理由に契約を見送ることになった。しかし、ヴコヴィッチ監督は冷静だ。
「人生とは予期せぬ出来事が起きるもの。受け入れるしかない。会社側もチームも最善を尽くしてくれて、最適な選手と契約することができました」

開幕直前に合流したセルビア出身のドラジェン・ルブリッチはイタリア、ポーランドなどのクラブでプレーした経験を持ち、2016年にはセルビア代表のオポジットとしてワールドリーグでも活躍した。
「ワールドリーグの準決勝、決勝戦にも出場していて、優勝メンバーの一人です。ずば抜けたパワーがあるとか、そういう第一印象にインパクトのあるタイプではありませんが、頭のいい、短所の見当たらない選手です。何より、チームプレーに徹することができる。練習からチームのコンセプトに沿ったバレーボールをしっかりプレーしている。もちろん、私の目指すコンセプトにも合っている選手です」(ヴコヴィッチ監督)
主将の深津も「ルブリッチも含めて、リーグを戦う中で、どんどん成長していくチームを見てほしい」と語る。
「今年のJTサンダーズの選手には年齢の幅もありますが、力のある選手がそろっていると思います。その力が一つになることができれば、大きな力になる。自分は主将としてチームがうまく回るように働きます」(深津)
V奪回に向けて、どのようなスタートを切るのか。まずは初戦の堺ブレイザーズとの戦いに期待したい。

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