コミュニティインベストメント

JTグループが持続的に成長するためには、社会の持続的な発展に貢献することが必要不可欠であると考えています。JTグループコミュニティインベストメント基本方針PDFを開くでは、その目的を「包摂的かつ持続可能な地域社会の発展へ貢献すること」と定めています。すべての人は社会の一員として受け入れられるべきであり、包摂的かつ持続可能な地域社会は事業にとっても重要であると考えています。私たちは、この方針に基づき、責任ある地域コミュニティの一員として、幅広いステークホルダーとともに、社会課題の解決に向けて取り組んでいます。

重点領域

包摂的かつ持続可能な地域社会の発展のために、国内外の様々な団体とのパートナーシップを通じ、世界65カ国で498のコミュニティインベストメントプログラムを実施しています。世界各国の事業拠点は、JTグループコミュニティインベストメント基本方針に沿ったプログラムを実施しています。

JTグループのプログラムは、グローバルな社会課題および地域特有の課題に対応するように設計されており、次の3つの領域を重点領域として位置付けています。


  • 1. 格差是正: 恵まれない人々の食料や水、衛生設備、教育、文化芸術へのアクセス向上 など
  • 2. 災害分野: 災害発生時の緊急支援活動や復興支援活動、災害リスク軽減に向けた防災活動 など
  • 3. 環境保全:森林保全や生物多様性の保全、環境美化活動 など

ターゲット

包摂的かつ持続可能な地域社会の発展を目指し、2015年から2030年の間に、600億円の投資を行い、従業員が30万時間のボランティア活動に従事することを目指します。

ターゲットに対する進捗

2015年より、地域社会へ655億円を投資し、従業員は就業時間内に260,512時間のボランティア活動に従事しました。2019年に目標を掲げて以来、地域社会に対する投資を継続して実施してきました。その結果、投資額の目標を6年前倒しで達成するに至りました。

これまでのコミュニティインベストメント実績(2015年から2024年)

地域別投資実績

日本、フィリピン、台湾といったたばこ事業の主要市場を抱えるアジア地域において、2015年以降の投資額の約50%を占める331億円を拠出しました。また、西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中東・アフリカ、南北アメリカまで、事業を展開する世界各地において、現地の事業拠点が主体となって社会課題の解決に取り組んできました。

領域別投資実績

「格差是正」に向けては、恵まれない人々の食料や水、衛生設備、教育、文化芸術へのアクセス向上に取り組んでいます。2015年以降の投資額の約47%が「格差是正」に対するものです。

「災害分野」においては、災害発生時の緊急支援活動や中期的な復興支援活動に加えて、平時における災害リスクの軽減活動に取り組むことで、安全で持続可能な地域社会づくりを推進しています。2015年以降の投資額の約10%が「災害分野」に対するものです。

「環境保全」では、世界各地で森林保全や生物多様性の保全、環境美化活動に取り組んでいます。2015年以降の投資額の約10%が「環境保全」に対するものです。

2015年以降、これまでに世界各地で延べ5,891団体を支援し、延べ2,651万人に支援を届けてきました。今後も包摂的かつ持続可能な地域社会の発展に向けて、更なる社会的インパクトを創出すべく、取り組みを進化させていきます。

2024年のコミュニティインベストメント実績

効果の測定・管理

JTグループでは、Corporate CitizenshipによるBusiness for Societal Impact (B4SI)別窓で開く*フレームワークを用いて、取り組みの実績およびインパクトを測定しています。2024年には、JTグループが事業を展開する国々において、コミュニティインベストメントとして、約72億円の投資を行いました。プログラムが社会的インパクトを与えられるよう、より正確な測定と開示に取り組んでいます。

*

企業の活動の社会的インパクトを効果測定する国際基準

JTグループの取り組み

格差是正

JTグループでは、包摂的社会の実現に向け、多くの団体とのパートナーシップを通じ、地域社会の人々のニーズに応えるさまざまな支援を行っています。

多くのコミュニティにおいて、清潔な水、食べ物、教育など、私たちが当たり前のように享受していることが、容易に享受できないという現状があります。私たちが関わる世界中のコミュニティのために、この状況をできる限り変えていきたいと考えています。

2024年には、JTグループが事業を展開する58カ国において、格差是正に関する368のプログラムを実施し、延べ40万人に支援を届けました。

OrchLab:音楽作りで社会に変化を

英国のコミュニティインベストメントチームは、障がいのある方々に音楽そのものを楽しみ音楽作りの喜びを感じてもらうため、世界的に名高いロンドン・フィルハーモニー管弦楽団別窓で開く(ロンドン・フィル)と協働しています。OrchLabと名づけられたこのユニークなプロジェクトは、障がいの有無にかかわらず、あらゆる人々が音楽に親しむことのできる社会の実現をテクノロジーでサポートする団体「ドレイク・ミュージック」とのパートナーシップの下、ロンドン・フィルが運営しています。参加者は、使いやすく工夫された楽器や先駆的な支援技術、ロンドン・フィルの録音演奏曲、そして自ら演奏できるオンライン楽器を使って曲を作りながら、オーケストラの音楽の世界に浸ることができます。

さらに、OrchLabでは、画期的なデジタル楽器を提供するほか、対象者に合わせたワークショップや研修、イベントを開催するとともに、双方向型のウェブサイト別窓で開くも運営しています。このウェブサイトでは、参加者は、検索で自分が見つけたさまざまなロンドン・フィルの演奏を楽しんだり、オンライン楽器で自分の曲を作れるほか、音楽に関するゲームやクイズなどのコンテンツを楽しむことができます。このプロジェクトは、障がいの有無にかかわらず誰もが参加できる音楽作りを通じて、参加者の心身の健康を向上させることを目的としています。

2017年のプロジェクト開始以降、OrchLabは、年間28時間の音楽ワークショッププログラムを中心に、障がいのある方々の音楽活動を精力的に支援し(年間平均85名)、参加者の心身の健康と自信の向上に大きく貢献してきました。2024年には、参加者の84%が生活の質や幸福感にプラスの影響があったと、また88%が自信の向上につながったとコメントしています。

また、2024年には、4回目となるOrchLabフェスティバルデーを開催しました。当日は障がいのある方とケアスタッフ計200名が、OrchLabの新しい楽器を試し、他の参加者と音楽作りの体験を分かち合いました。

災害分野

災害分野においては、被災地における支援活動のほか、災害リスク軽減に向けた活動に平時から取り組むことで、安全で持続可能な地域社会づくりを推進しています。

2024年には、JTグループが事業を展開する22カ国で、災害分野における70のプログラムを実施し、延べ15万人に支援を届けました。

災害への備え:Preparedness

持続的な地域社会の発展に寄与することを目的とし、災害捜索救助隊の育成支援など、リスク軽減に向けた平時の活動支援を行っています。

緊急支援:Disaster Relief

国内外での災害発生時には、グループ各社で連携し、被災地への緊急支援に取り組んでいます。

復興支援:Disaster Recovery

被害が甚大な災害において、より良い復興(Build Back Better)を目指した中期的な復興支援活動に取り組んでいます。

ピースウィンズ・ジャパンとのパートナーシップ

日本に本部を置くピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、困窮している人々や、紛争や貧困などの要因により危機にさらされている人々に対して世界的に支援活動を行うNGOです。

JTは災害分野での取り組みの一環として、2016年からPWJとパートナーシップ協定を締結しています。2022年には協定を3年間延長し、引き続き、レスキューチームの育成や、世界各地での被災地支援活動をサポートしています。

JTグループはPWJによる以下の取り組みを支援しています。

  • International Search and Rescue Advisory Group基準に基づく広範囲かつ継続的なSearch and Rescue (SAR) 訓練及び人的配置によるチーム育成

  • 国内の大規模災害時の支援受け入れを念頭に置いた、合同訓練の実施等による海外のSAR活動団体との強固な連携体制の構築

  • 救命活動に必要な装備・資機材の整備及びロジスティクス能力の強化

  • 大規模災害による被災が想定される自治体や病院等との支援協定締結、支援団体や医療関係者との連携体制構築を含む、国内のステークホルダーとの関係強化

  • 多機関協力型フィールドホスピタル実現に向けた、ロジシステムの構築や実働訓練

  • 国内外の有事に対応するための準備

国内での主な取り組み

環境保全

環境保全では、世界各地で森林保全や生物多様性の保全、環境美化活動に従業員も参画する形で取り組んでおり、地域社会と従業員がともに恩恵を受けられるよう努めています。
2024年には、JTグループが事業を展開する33カ国で、環境保全に関する57のプログラムを支援しました。

日本国内では、全国9カ所で、森林保全の取り組みである「JTの森」を実施しており、元気な森づくりを支援するとともに、ボランティア活動に参加する従業員に環境保全の大切さを体感できる機会を提供しています。2024年には303名の従業員がボランティア活動に参加しました。ボランティア活動後のアンケートでは、多くの従業員が、ボランティア活動に参加することで、環境保全を意識した行動をするようになり、働くことへの満足感が高まったと答えています。

「JTの森」で森林保全ボランティア活動に参加した従業員からのフィードバック

  • 99%が、ボランティア活動を通じて仕事の満足度が高まったと回答

  • 71%が、環境保全の重要性を認識し行動に変化が生じたと回答

  • 84%が、ボランティア活動によって業務に役立つスキルを身につけることができたと回答

国内での主な取り組み

グローバルプログラム

グローバルWASHイニシアチブ(安全な水と衛生設備へのアクセス改善)

JTグループでは、新興国における重要な社会課題の一つである安全な水と衛生設備へのアクセス改善に重点的に取り組んでいます。
2019年の開始以来、WASH(安全な水と衛生設備)関連のプロジェクトを運営する国際団体や現地団体と協働し、地域の課題やニーズに応じたプロジェクトに取り組んできました。
これまで、インドネシア、カザフスタン、バングラデシュ、ベトナム、エチオピア、モロッコ、ブラジル、ボリビア、メキシコ、ブルガリアにおいて取り組みを進めており、延べ90万人以上の人々が直接的な恩恵を受けています。

グローバルWASHイニシアチブの詳細、および海外での取り組みについては、JTインターナショナルのウェブサイト別窓で開く(英語)をご覧ください。

ボランティア活動

ボランティア活動は、従業員、私たちの事業、地域社会の3者に、相互の恩恵をもたらすものです。従業員がその知識とスキルを活かすことで、彼らが暮らし、生活の糧を得ているコミュニティにプラスの影響を与えることができます。また、従業員による社会参画は、従業員自身の新たな気づきや知見の獲得にもつながると考えています。

JTグループでは、従業員がボランティア活動に参加することを積極的に奨励しており、ボランティア活動の機会(コミュニティインベストメントプログラムやイベントへの参加)の提供や、支援(従業員からの寄付の受付、会社からのマッチング拠出、ボランティア休暇、物的支援)を積極的に行っています。

2024年には、世界各国で延べ11,104名の従業員が、就業時間内に延べ42,444時間のボランティア活動に従事しました。

従業員参加型寄付(TFTプログラム)

TABLE FOR TWO(TFT)プログラムとは、2007年10月に設立された、世界の食の不均衡の解決を目指す日本発のNPO法人であるTABLE FOR TWO International別窓で開くが主催する寄付活動です。主な寄付方法の一つとして、社員食堂のメニューに、寄付金を加えた価格の食事メニューを用意するというものがあり、従業員等がTFTメニューを1食購入するごとに、開発途上国における給食代金1回分に相当する20円の寄付金が、TFTを通じ、開発途上国の学校給食向けに寄付されます。

JTでは、2010年からTFTプログラムに参加し、東京のJT本社の食堂で従業員等が購入したTFTメニュー1食につき、給食1食分の金額を寄付しています。新型コロナウイルス感染拡大後は、在宅勤務が標準的な勤務形態となり、食堂の利用が減少しました。そこで、私たちは、従業員の健康を維持しながらこのプログラムを継続する新たな取り組みである「ウォーキングラリー × TFT」を2020年から開始しました。

「ウォーキングラリー × TFT」とは、健康ポータルサイトPep Upを利用した全社イベントである「ウォーキングラリー」でJTグループの従業員が1日8,000歩を達成するごとに、会社から給食1食分の金額を寄付する取り組みです。2024年には、5月と10月の2回開催し、全国各地に勤務するのべ6,787名の従業員がウォーキングラリーに参加し、最終的にはTFTに2,192,100円を寄付することができました。

また、2021年からは、福利厚生であるカフェテリアプラン(従業員がポイントを使って福利厚生メニューを選択して利用)に寄付メニューを導入したことで、多くの従業員がTFTに寄付することができるようになりました。

なお、2023年にはこれらの支援(食堂でのTFTプログラム、ウォーキングラリー、ポイントでの寄付を含む)に対して、TFTより「プラチナパートナー」として認定されました。

「ウォーキングラリー × TFT」に参加した従業員からのフィードバック

  • 75%が、社会貢献に対する意識が高まった、社会貢献にも取り組む自社を働きがいのある会社だと思ったなどと回答

  • 59%が、健康的になり幸せを感じることができた、目標を達成することへの自信がついたなど、生活面での効果があったと回答

  • 64%が、同僚や上司と会話する機会が増え、コミュニケーション力やチームワーク力が向上したなど、仕事面での効果があったと回答

その他の日本での取り組み

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