葉たばこサプライチェーン

葉たばこの調達

JTグループが事業を行い、持続的に成長していく上で、葉たばこの確保は必要不可欠です。私たちは、直接契約農家や葉たばこディーラーと緊密に協力することにより、供給確保と葉たばこ調達先の拡大に努めてきました。これにより、市場の動向にも、より柔軟に対応しています。

2019年現在、JTグループでは、バングラデシュ、ブラジル、エチオピア、日本、マラウイ、セルビア、タンザニア、トルコ、米国、ザンビアの8万6,757戸の葉たばこ農家と直接契約を結んでいます。葉たばこ農家と直接契約することにより、耕作や労働慣行に関するモニタリングをより効果的に行うことが可能になります。

葉たばこサプライチェーン

葉たばこディーラーとの連携

JTグループは毎年必要な葉たばこの約半分を葉たばこディーラーから購入しています。葉たばこの品質や所要量により、調達国は年ごとに変わり得ます。葉たばこディーラーは、ほとんどの場合、葉たばこ農家から直接調達を行っています。つまり、葉たばこディーラーと葉たばこ農家が直接契約を結び、葉たばこ農家は葉たばこディーラーから栽培管理や適正な労働慣行についての助言を受けています。

一部の国ではオークションなどを通じて葉たばこが調達されています。この場合、特定の葉たばこ農家に対して、耕作労働規範(ALP)を展開することが難しくなります。こうした国では、葉たばこディーラーをはじめとしたステークホルダー(インドたばこ局など)と連携し、サプライチェーン・デュー・ディリジェンスの有効な実行に向け努めています。JTグループは30以上の国から葉たばこを調達していますが、ディーラー経由のうち、その大部分はグローバルな葉たばこディーラー8社から購入しています。私たちはALPの実施のため、これらのサプライヤーと緊密に協力しています。

持続的な農業生産

私たちは、高品質な葉たばこの長期的な供給を確保するだけでなく、葉たばこ農家にとっても有益な価値を築きたいと考えています。そのため、葉たばこ農家の生産性を上げる支援を行うと同時に、環境負荷の軽減と社会的責任の発揮を常に追求しています。これにより、収量の増加と品質向上、さらには葉たばこ農家が得られる利益の増加につながるのです。

葉たばこ農家の収益は価格だけで決まるのではありません。葉たばこ農家が、葉たばこの耕作、収穫、乾燥の効率化を通じ、適正かつ責任ある形で耕作資材や木材などを使用することで、より高い利益を上げられるよう、私たちはサポートしています。例えば、肥料や農薬の効率的な利用を推奨することで、場合によっては最大20%ものコスト削減を実現しています。

すべての葉たばこ調達先に、たばこ研究に関する国際的組織であるCORESTA(英語)別窓で開くが定める適切な農場管理とその実践(GAP)を遵守することを求めています。GAPの概念は、土壌、水、大気、生態系といった環境の保全、改善に配慮した上で、より良い農作物を生産し続けることを示しています。

GAPに加え、ほとんどの直接契約農家に対して、耕作に関する最低限の基準(MAS)を遵守することを求めています。私たちは基準を遵守する葉たばこ農家に対して、さまざまな支援を提供しています。例えば、資金調達が困難な農家に対して、耕作に必要な所定の資材を支給し、資材費は、買入が終わった後、その売上金から差し引くという仕組みを提供しています。JTグループの耕作指導員による専門的技術指導、耕作サイクル全般に及ぶ幅広い助言提案を受けることも可能です。

大規模な農場を経営する農家、特に米国の農家は、JTグループの専門的技術支援を必要としてはいません。すべての直接契約農家に対しMASの遵守を義務付けていないのは、このためです。

最適な耕作法は、葉たばこだけを対象としたものではありません。私たちは葉たばこ農家に対して、葉たばこと、落花生やトウモロコシなど他の作物を組み合わせて輪作することを奨励しています。これにより、葉たばこ農家はさらなる収入を得ることができ、食料の確保や土壌の保全につながります。


私たちは常に、葉たばこ耕作をより一層理解・改善するために努めています。葉たばこの画期的な生産方法について、先進的な国際学術機関と連携するなど、研究開発への投資を通じ、イノベーション創出に取り組んでいます。

デュー・ディリジェンス

JTグループの耕作労働規範(ALP)は、国際労働機関(ILO)の条約および勧告に基づいています。ALPは「児童労働の防止」「労働者の権利尊重」「適切な労働安全衛生の維持」の3つを基本としています。

ALPでは継続的改善に努めており、JTグループと葉たばこサプライヤー双方にとって、葉たばこ耕作の現場における課題を特定し、労働慣行を改善するのに役立っています。またサプライチェーン・デュー・ディリジェンスの一環として、葉たばこ農家コミュニティを社会面から支え、葉たばこ耕作のみならず広く持続可能な農業を行っていけるよう支援しています。契約農家からの直接調達であるか、葉たばこディーラー経由での調達かにかかわらず、JTグループに葉たばこを供給する農家にはALPに基づく活動の実践が義務付けられます。

JTグループの葉たばこサプライチェーン・デュー・ディリジェンスは、課題の特定、優先順位付け、対応、測定、報告という5段階に沿って行われます。その中でALPは、葉たばこ生産現場における課題を特定するのに役立っています。このプロセスは、経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)による「責任ある農業サプライチェーンのためのガイダンス」と、国際労働機関(ILO)の勧告に基づくものです。また、ビジネスと人権に関する国連指導原則にも則っています。

葉たばこサプライチェーン・デュー・ディリジェンスをしっかりと行うためには、考え方をシフトし、取り組み方を変える必要がありますが、私たちは着実にこれを進めています。2019年にも引き続き従業員やサプライヤーへの研修を行い、さまざまな国際機関に呼びかけ、業界横断プログラムについて他社と協力してきました。

Vuk Pribic,Director, Leaf Supply Chain Due Diligence,JT International

Vuk Pribic,
Director, Leaf Supply Chain Due Diligence,
JT International

Leaf Production Technicians

耕作指導員は農家訪問を通じて、ALPの取り組みを実施しています。耕作指導員は、担当農家と共に調整した訪問計画を基に、年複数回、葉たばこ農家を訪問します。2019年には、JTグループの耕作指導員は、契約たばこ農家を延べ35万回以上訪問しました。

耕作指導員は、農家訪問する際に、栽培管理についての技術支援を行うとともに、適切な労働慣行について農家と話し合います。労働慣行に関わる課題を認識した場合、その内容をシステムに入力します。課題の性質によっては、耕作指導員が葉たばこ農家に助言を行う場合もあります。

各国では、それぞれの現地マネジメントチームが農家における課題を分析し、その後の取り組みの優先順位付けを行います。これにより、根本原因解決のための適切な改善策を選び、負の影響に正しく対処ができるのです。私たちはKPI、社内評価、アセスメント、現地調査によって、実施した対応策が効果を上げているかどうかを確認しています。また、行政機関、NGO、影響を受けるコミュニティのメンバー、労働者団体、労働者といったステークホルダーからも意見をもらうようにしています。

目下の目標として、課題の特定・優先順位付け・対応・測定・報告という5段階の枠組みに、私たちのすべての取り組みを対応させようとしています。また各種取り組みが重複せず一貫したものとなるよう、サプライチェーン・デュー・ディリジェンスおよびALPとSustainable Tobacco Program(STP)との間のシナジーの創出を目指しています。

私たちが直面するものの多くは複雑な課題です。例えば、小規模農家における差別をどのように見きわめていくか、深刻な人権侵害に対処し被害者となり得る人々や通報者を守るためのプロセスをどうやって最適化するかなど、耕作指導員にとって難しい問題が存在しています。

深刻な人権侵害には、奴隷労働、強制労働、人身取引、暴力、あるいは重大な身体的・精神的・性的虐待など、労働者の権利の重大な侵害が含まれます。これらを耕作指導員が見つけて対応することは難しく、問題が犯罪行為ともなればなおさら困難です。そのため、深刻な人権侵害に対応するには注意が必要であり、また多くの場合、警察や行政機関、あるいはNGOの支援が必要です。

深刻な人権侵害への対処法を定めた管理プロセスを整備し、人権侵害の兆候に気付いた際は直ちに適切な行動をとれるようにしておくことが不可欠です。海外たばこ事業では、サプライヤーすべてに次の3つの要素を盛り込んだ管理プロセスを策定するよう求めています。

1.

被害者と通報者の保護

2.

明確な報告ルート、スケジュール、救済計画

3.

専門家による支援の確保

ALPについてはJTグループのリーフレットPDFを開くをご覧ください。

中期取り組み目標(KPI)

・耕作労働規範

2025年までにすべての葉たばこ調達国において耕作労働規範(ALP)プログラムを導入します。

進捗

  • 2019年において、直接契約、または葉たばこディーラー経由にかかわらず、JTグループに葉たばこを供給する全てのサプライヤーのうち、81%がALP実施状況を報告しました。
    【直接契約農家においては58%*、葉たばこディーラーにおいては98%にALPプログラムが導入されました。葉たばこディーラーより集約したデータは、インドと中国を除きます。】

  • 購入数量のうち74%が、ALPプログラムに取り組んでいる農家によって耕作されました。

*

2018年の96%から2019年の58%への減少は、2018年の買収により対象となる直接契約農家数が拡大した影響によるもの

たばこ事業のサステナビリティ戦略に関する進捗はこちらをご覧ください。

これまでのデータ

JTグループはこれまで、すべての葉たばこ調達国において2019年までにALPを実施することをコミットメントとして掲げていました。2018年には、直接契約農家の96%をモニタリングし、葉たばこディーラーの96%からALPに関する報告を受け、目標達成まであと一歩のところに来ました。目標に向けた3年間の進捗についてはJTグループサステナビリティレポートFY2018(46ページ) をご覧ください。

今回、2025年に向けた新たな目標を策定し、以下3つのKPIを定めました。新たな目標を設定する上では、2018年末までに買収したすべての企業を含みました。

「JTグループに葉たばこを供給する全ての葉たばこサプライヤーは、ALPプログラム実施状況を報告します」

2019年において、直接契約、または葉たばこディーラー経由に関わらず、JTグループに葉たばこを供給する全てのサプライヤーのうち、81%がALP実施状況を報告しました。

Supplier Entities Reporting

「JTグループに葉たばこを供給する全ての葉たばこ農家は、ALPプログラムに取り組みます」

直接契約農家では58%、葉たばこディーラー経由の農家では98%にALPプログラムが導入されました。直接契約農家の割合が2018年の96%から2019年の58%に減少したのは、2018年の買収により対象となる直接契約農家数が拡大した影響によるものです。例えば同年のバングラデシュのたばこ会社買収前の直接契約農家数は約4万戸でしたが、買収によりバングラデシュの直接契約農家だけで2万9,000戸が加わることとなり、目標達成のハードルを上げています。

Volumes covered

「購入する全ての葉たばこは、ALPプログラムに取り組んでいる葉たばこ農家によって耕作されています。」

エチオピア、バングラデシュ、インドネシア、フィリピンなど、近年いくつかの企業を新たに買収しています。ALP実施前に、現地の状況や文化、現地特有の課題を把握しなければならないため、こうした買収企業に対しては、それぞれの状況に合わせた導入を図っています。

バングラデシュでは、膨大な数の葉たばこ農家と接点を持つことが、第一の課題です。エチオピアでは、2019年にサプライチェーン・デュー・ディリジェンスの一環としてサプライチェーン影響評価を実施しました。同国では2020年からALPプログラムを導入する予定です。

インドネシアでは、ここ数年、葉たばこディーラーがALPプログラム実施状況の報告を行ってきました。2017年の同国での買収以降、葉たばこサプライチェーンが大きく変化したため、2020年に影響評価を行い、サプライチェーン・デュー・ディリジェンスやALPをどのように実施すればよいかについて理解を深める予定です。一方、フィリピンでは、すでにJTグループの葉たばこサプライヤーがALPを実施しており、定期的に報告を行っています。

日本におけるALPの導入

JTグループは国内の葉たばこ農家と長年にわたり信頼関係を築いてきました。2017年のパイロットプログラムに続き、2018年にはALPを全面的に導入しました。それに基づき、よりよい葉たばこ生産の実現に向け、農家の訪問や質問票調査を実施しています。2019年も引き続きJTグループの耕作指導員が葉たばこ農家に対し、フィードバックやアドバイスを実施しました。質問票については、それぞれの産地の実情に合わせてカスタマイズするようにしました。モニタリングの結果を基に、今後も改善を続けていきます。

国内での活動

・JTファーム

より効果的な葉たばこ耕作法を葉たばこ農家に提供することを目的に、2018年に「JTファーム」を開設しました。このファームにおいて、先進的な耕作法および新品種栽培を試行し、得られた知見や成果を葉たばこ農家に紹介することが狙いです。

2019年にはさらに、新品種試験や、他社との自律多機能型農業ロボットの共同開発などの取り組みを進めました。JTファームにおける新品種試験の目的は、得られたサンプルを研究開発部門において、製品に用いられるかどうかの確認を実施することです。また同ロボットは、農薬の散布や葉たばこの運搬など、農家の耕作活動支援を目指しています。いずれの取り組みも、葉たばこ農家の生産性向上を狙いとしたものです。

・作業効率と原料信頼性の向上

現在、乾燥や荷造りに係る時間を約15%短縮できる、新たなバーレー種の乾燥と荷造りのプロセスを推奨しているところです。この新プロセスは、梱包時の異物混入防止の効果もあります。2019年末までに、バーレー種を耕作する葉たばこ農家の5%がこの新プロセスを導入しました。2020年以降も同プロセスのさらなる展開を図っていきます。

日本における農家との協力

国内では、葉たばこ農家数、葉たばこ耕作面積の減少が続いています。その背景には、高齢の農家が引退しつつあること、若い世代が身体的負担の少ない仕事を求める傾向にあること、葉たばこ耕作に関わる農業技術が大きく進展していないことなど、さまざまな理由があります。その結果、多くの葉たばこ農家が農業の未来に不安を抱き、葉たばこ生産に投資しづらい状況となっています。

2019年に、JTグループと全国たばこ耕作組合中央会は、葉たばこ供給を持続的なものとし、葉たばこ供給の持続性と葉たばこの市場価値のさらなる向上を目指すべく、さまざまな新しい取り組みについて協議を行いました。2020年からは、個々の葉たばこ農家の実情に応じた支援や、経験豊富な葉たばこ農家のベストプラクティスを他の農家に対しても広く共有するなどの取り組みを開始していきます。

こうした活動が、葉たばこ農家の生産性向上および農家経営基盤の強化をもたらすようにし、日本の葉たばこ生産の持続性を高めていきたいと考えています。

ステークホルダー・エンゲージメント

ALPプログラムの進捗と成功の鍵となるのは、社内外のステークホルダーと連携した取り組みです。

直接契約農家との強固な信頼関係のもと、定期的な訪問や対話、研修を通じ、明らかな成果を生み出しています。国内外での葉たばこディーラーとの対話により、労働関連リスクに対処するために、どのような研修や仕組み、プロセスが必要かを認識することができます。また、それぞれの地域における公正で安全な労働環境を整備するため、私たちは事業活動を展開する国において、各国政府機関とも連携しています。例えば、私たちは、インドたばこ局との連携のもと、インドの労働者の権利を守るための取り組みを推進しています。

海外たばこ事業はSustainable Tobacco Program(STP)に参加しており、たばこ業界各社で構成されるSTP運営委員会の議長を務めています。STPは、人権、環境問題、その他の持続可能性に関する課題について各企業が協力し、継続的改善を通じて持続可能な農業を推進するための業界全体の取り組みです。2019年はSTP改編の年として、課題の特定・優先順位付け・対応・測定・報告という5段階の枠組みに沿った形でSTPを再編成しました。この改編は、影響に着目したサプライチェーン・デュー・ディリジェンスのプロセス整備を目的としたものです。新たなプロセスは2020年に策定される予定です。

2018年には、「責任ある農業サプライチェーン・ガイダンス」パイロットプロジェクトに参加しました。このプロジェクトは経済協力開発機構(OECD)が国連食糧農業機関 (FAO)と共同で運営しているもので、参加することにより、JTグループのこれまでの経験を共有するとともに、私たち自身の理解を深め、他組織との比較による自社の取り組み評価を行うことができました。

今年刊行されたOECD-FAO責任ある農業サプライチェーンのためのガイダンス別窓で開くには、参加組織が共有したパイロットプロジェクトの主な結果、学び、グッドプラクティス、サプライチェーン・デュー・ディリジェンスを実施する際の課題などが掲載されています。また、企業や政策立案者に対する農業分野に関しての勧告や次に取るべき施策も示されています。

ケーススタディ

・ザンビアの葉たばこ農家クラブ

JTグループはザンビアに、約488の葉たばこ農家クラブからなるネットワークを有しています。各クラブには、10戸から20戸の葉たばこ農家が参加しています。

このクラブの目的は、葉たばこ農家の結びつきを強め、効果的な対話を行うことです。クラブを通じ、葉たばこ農家の資金調達、ALP、MAS、ベストプラクティスといったさまざまなトピックについて、継続的な対話とエンゲージメントが可能となります。

2019年には、政府や金融機関と連携して、各クラブの代表者488名以上に研修の機会を提供しました。こうした取り組みにより、今ではザンビアの直接契約農家すべてが銀行口座を持つようになりました。

・タンザニアの葉たばこ農家や労働者に研修を実施

タンザニアでは2016年に、耕作指導員から特に懸念のある課題として、児童労働、労働者の権利、農場における労働安全衛生についての報告がありました。現地の担当チームは、こうした問題の根本原因をつきとめ、原因に対処するための一連の対策を立て、2016年から2019年までの間、その対策を実施しています。

葉たばこ農家には児童労働が与える影響についての研修を行い、親には経済力向上のために、さまざまな研修を行うとともに収入を得るための活動立ち上げに関して支援を行っています。そのほか遠距離の徒歩通学を減らすために学校を増やし、教室を改築して使えるスペースをうまく利用できるようにするなどの対策を講じました。どちらの施策も児童の通学率の向上につながっています。

葉たばこ農家、農場労働者、葉たばこ農家管理委員会のメンバーにはALPに関する情報や研修を提供し、農場労働者の権利が守られるように取り組んでいます。研修では、タンザニアの労働法が定める労働慣行の最低条件や、参加者やJTグループがどのようなことを守らなければならないかについて説明を行いました。

進んだ医療機器を備え改築された診療所のおかげで、基本的な医療サービスを受けやすくなり、葉たばこ農家や労働者もその恩恵にあずかっています。

研修の効果を測定するため、これまでに労働関連の問題が報告された葉たばこ農家や労働者のモニタリングを耕作指導員が実施しています。今までのところ、こうした問題が再発したという報告はありません。

・トルコにおける労働安全衛生研修

2017年に、トルコで、葉たばこの取り扱い時に適切な個人用防護具(PPE)を使用していない葉たばこ農家や労働者がいるという報告が、耕作指導員から寄せられました。

現地の担当チームは、これらの葉たばこ農家や労働者に労働安全衛生研修を受けさせ、適切なPPEを提供することとしました。その結果、2019年にはこうした問題が20%減少しました。

ARISEプログラム

私たちは、グループの中核的プログラムとして2011年に立ち上げたARISE(Achieving Reduction of Child Labor in Support of Education)を通じて、葉たばこ耕作コミュニティにおける児童労働の防止および撲滅の徹底を図っています。ARISEはこれまで長年にわたりこの分野で大きな影響を与えてきましたが、このプログラムの成果で2019年には6,186人の児童が正規教育を受けることができるようになりました。児童労働防止のために地に足のついた施策を実施することで、真に持続可能な変化をもたらしています。

また2019年には、新たなコミュニティへのARISEプログラム拡大に向けた計画の精緻化、ARISEプログラムを持続可能なものとするためのコミュニティの能力向上、ブロックチェーン技術を使った児童労働モニタリングシステムのデジタル化に注力しました。

ARISEプログラムについてはこちらをご覧ください。(英語)別窓で開く

ケーススタディ

・ブロックチェーンを活用した児童労働撲滅の取り組み

JTグループが葉たばこ農家と直接契約を結んでいるマラウイ、ザンビア、タンザニア、ブラジルでは、ARISEプログラムを通じ、ブロックチェーン技術をベースとしたデジタル児童労働モニタリングシステム(CLMS)を6カ月間試験的に展開し、成功を収めました。今後は本格的にこのシステムの使用を開始する予定です。

CLMSはクラウドベースのシステムで、児童、児童の家族、農家、地域のコミュニティといったARISEプログラムの対象者について詳しくモニタリングしていくことが可能となります。このシステムは、データ収集を効率的かつ機動的に行え、セキュリティも確保されています。この新システムが既存の児童労働防止活動を強化するとともに、そうした活動を最も必要としているコミュニティを見いだす際にも役立つものと期待しています。

耕作指導員は年に数回葉たばこ農家を訪れ、技術支援を行っています。こうした訪問時に葉たばこ耕作に関するデータ収集および労働慣行についてのモニタリングを実施します(ALP参照)。CLMSの新規導入により、同居している児童の名前や、通っている学校、学年など、葉たばこ農家の親族データも指導員が収集できるようになりました。このデータ収集には葉たばこ農家の同意が不可欠ですが、JTグループの正式な年次契約プロセスに組み込むことにより、葉たばこ農家の同意を得るようにしています。集めた親族データを新システムに入力し、サプライチェーンの中で児童労働のおそれのあるポイントを把握し、どこで集中的にARISEの施策展開を行うかを決定するために役立てます。これにより、児童労働を強いられている子供たちのみならず、児童労働の対象となり得る子供たちを救済することができるようになるのです。

新システムの基盤となるソフトウェアはBanQuが開発したものです。同社は画期的なBaaS(ブロックチェーン・アズ・ア・サービス)ソフト開発企業であり、葉たばこ農家とグローバルなサプライチェーンをつなぐ役割を果たしています。この技術によって、農家レベルに至るまでのサプライチェーン管理を透明性高く実行することが可能になりました。

葉たばこ農家、地域コミュニティ、ビジネスリーダー、各国政府と協力し、子供たちが質の高い教育を受ける権利を常に取り組みの中心に据えつつ、児童労働が生まれる根本原因の解決を目指して引き続き努力していきます。

ARISEにおけるJTグループのパートナーで、世界的に名高いNGOであるウィンロック・インターナショナル(本部:米国)は、今後もプログラムの実現に重要な役割を果たします。一方、BanQuとの協力など、新たな革新的パートナーシップにより児童労働のモニタリングのデジタル化を進めていきます

Elaine McKay,Social Programs Director,JT International

Elaine McKay,
Social Programs Director,
JT International

ARISE table

 

2019年は、ARISEのフェーズ3のための新たな取り組みへの移行と計画策定の年となりました。その一環として、新たなコミュニティへのさらなる展開、BanQuが提供する新技術の試行、コミュニティ行動計画の評価などを行いました。

2016-2018年実績は、ILOから報告された数値を含みますが、2019年実績は、ウィンロック・インターナショナルから報告された数値のみです*

*

前年までの数値には、ILOからの数値も含まれています。

社外からの評価

JTグループは、Global Child ForumがBoston Consulting Groupと共同で行った最新の調査の中で「Leader」ランクという高い評価を受けました。このベンチマークレポートは、世界の大手企業約700社について、各社がバリューチェーンの中で児童の権利をどのように保護しているかを分析したものです。

この調査では、サプライチェーンの中で児童の権利を保護するためにJTグループが行ってきた具体的取り組み、特に独自の児童労働撲滅プログラムであるARISEによる取り組みが評価されました。

葉たばこ農家支援プログラム

JTグループの葉たばこ農家支援プログラムは、葉たばこ耕作コミュニティの社会的ニーズに取り組むための投資として行っているものです。

GSP

 

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